【#94】肥料を入れずに育てる野菜の凄さ!?【野菜は小さい方を選びなさい01】
この記事のポイント
  • 無肥料栽培によって作物の本来の大きさがわかる.
  • 虫食いが減り,農薬が要らなくなる.
  • 病気にも強くなる!

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は「肥料や農薬がなくても野菜はできるのか?」というお話をさせていただきます.
今回のお話は,ある書籍を読みまして,そこから参考にさせていただいております.
その本のタイトルは「野菜は小さい方を選びない」というものです.
著者は岡本よりたかさん,この方は自然栽培ネットワークTokyoの代表理事を務める方で,「無肥料栽培を実現する本」という非常に人気の高い本をご執筆なられた方でもあります.もう既に本を読んだよ!という方も多いのかと思われます.

今回,ラジオでお話しさせていただくのは,この書籍「野菜は小さい方を選びない」の第1章の部分で,僕が深く感動した所を取り上げてお話ししたいと思います.
すでに本を読んだ方は復習程度に,そして,まだ書籍を読んでいない方で,無肥料栽培をやってみたいけど,どういう効果が期待できるのか分からない!という方へ,ご参考になったらと思います.

無肥料栽培とは!?

岡本さんの農法は「無肥料栽培」というものです.
有機肥料すらも使用しない栽培です.

僕らも一部の野菜や果樹を無肥料栽培という方法で作っているので,非常に勉強になりました.

無肥料で野菜や果樹ができるのか?という疑問を持たれる方も多くいると思いますが,実はできるんですね.
近年では,多くの方が,自然栽培自然農法という形で,野菜の栽培をされておりますが,彼らも基本的には無肥料栽培にあたります.
そして,現在では,色んな人たち(youtuberさんなども居られますが)が色んなやり方で,農薬や肥料を使用しない栽培というものをされております.

けんゆー

この辺のお話を深掘りして理解したい人は,以下の記事どうぞ!


今回の内容は,肥料がなくても野菜は育つのか?というお話しですけれども,肥料を入れなくても野菜は十分育ちます.
岡本さん曰く,「肥料がないと野菜が育たないというのは単なる思い込み」か「野菜が育つ仕組みを知らない」のだと言います.

無肥料で野菜を栽培するための重要なキーワードは「循環」です.
自然界のもつ循環という仕組みをうまく利用することで,無肥料栽培によって作物ができると言います.

本来,植物が育つためには,土の中に,生き物植物などの有機物が必要です.
土の中の土壌動物微生物などの多くの生き物が関わり,根っこなどの有機物を分解しながら,植物が成長するために必要な栄養を作り出すことができます.

しかし,現在の農業では,こういった生き物たちや植物の根っこを排除し,かつ耕すという行為で土壌動物などを追い出し,農薬などによって虫を死滅させてしまっているので,土の中で必要な養分を作り出すことができなくなっていると言います.そのため,野菜を育てるためには,わざわざ肥料を与えるという行為が必要になり,肥料が切れたところでは野菜が育たなくなります.

岡本さんのところでは,この自然の持つ循環を利用して,無肥料栽培で野菜を作っているのですが,そうすることによって見えてきたものがいくつかあると言います.

無肥料栽培で見えてきたもの!

本書によると,無肥料栽培によって実感できたことは以下だと言います.

  • 作物の本来の大きさがわかる.
  • 虫食いが減り,農薬が要らなくなる.
  • 病気にも強くなる!

それぞれ深掘りしていきたいと思います.

作物の本来の大きさがわかる.

本書曰く,野菜には本来の大きさがあると言います.
つまり,大きければ良いというのは,消費者の勝手な認識で,野菜側からすると,実は色々とリスクを背負っているのかもしれないです.

肥料といものは即効性があり,野菜がすぐ大きくなりますが,しかしそれは細胞数を増やしているわけではなく,一つ一つの細胞の肥大化に伴うものであることが多いのです.細胞が肥大化すると,もちろん細胞壁が薄くなり,外部から異物などが入りやすくなります.
そうなると,植物は弱くなり,病気にもかかりやすくなってしまいます.

植物は窒素肥料を吸収して体内で硝酸態窒素という形で溜め込みますが,そうなると虫食いが現れやすくなるのです.

けんゆー

硝酸態窒素のことは一度詳しく取り上げているよ.


虫食いが減り,農薬が要らなくなる.

植物は,光合成によって炭水化物を作り,取り込んだ窒素分でタンパク質を作り,自身の体を作ります.
植物というのは,かつての飢餓状態を生き抜いてきた生物であることが多いので,土の中の窒素をできるだけ溜め込むという習性があります.
肥料を与えず,自然環境で栽培すると,適切な量の窒素を吸収するのですが,肥料を与えてしまうと,体内に過剰に硝酸態窒素が残ってしまうのですね.

岡本さんは以前,虫食いと肥料の関係を調査したようです.
そこから分かったのが,どうやら虫は硝酸態窒素をめがけて飛んでくるようです.

硝酸態窒素が体内に溜まりすぎると,植物はその窒素を空気中にガス化して放出することがあるようです.
溢泌液(いっぴつえき)といって,朝方に葉っぱに小さな水玉が付いていることがありますが,この溢泌液に窒素が含まれており,これが蒸発してガス化すると窒素が放出されているようです.
そうすると虫たちがその信号に呼ばれて飛んできます.
これは化学肥料によった話ではなく,もちろん有機肥料にも同様なことが言えます.

岡本さん曰く,無肥料の畑は窒素が少ないというよりも自然界の法則に従って適切であり,植物が窒素を溜め込まないと言います.

病気にも強くなる!

自然界の循環がうまくいっている土で育った野菜は,かなり病気に強いと言います.
これは,植物自身が体内で保有する内生菌(ないせいきん)である微生物「エンドファイト」がうまく機能しているからだと言います.

人間も腸内細菌が減れば免疫力が低下するのと同じように,植物も保有する微生物が減ると病気になりやすいと言います.
このエンドファイトがそうなのです.
このエンドファイトには,黴(かび)バクテリアの2種類があります.
カビ状のエンドファイトは毒素を生み出し,虫からの攻撃に備え,バクテリア状のエンドファイトは植物自体の免疫を高めます.

化学肥料や農薬というのは,害虫だけではなく,土の中の土壌動物や微生物,バクテリアも死滅させたりしますが,同時に植物と共生関係にあるエンドファイトも死滅させてしまうことがあるようです.
そうすることによって,弱々しい野菜になってしまうと言います.

山や森の中で育つ植物はいつも立派です.
肥料や農薬を使わずとも,うどんこ病や青枯病にならず,生き生きとしてる理由は,このエンドファイトが機能しているからだと言います.

今回は第一章の部分で気になった所を取り上げたのですが,次回は第二章を取り上げていきたいと思います.
本書「野菜は小さい方を選びなさい」を気になった方は,ぜひご覧くださいね!