【接ぎ木】実際に果樹栽培している生産者が,「接ぎ木」の理屈について徹底解説!
この記事のポイント
  • この記事を読むと「接ぎ木」に関する知識がパッと手に入る!
  • 接ぎ木の成功率を上げるための理屈を紹介!
  • 接ぎ木の利点や,枝・茎の構造,接ぎ木のメカニズムを紹介!

けんゆー

接ぎ木という魔法の技術!!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
おいらたちもアボカドマンゴーの栽培においてかなりの数の接ぎ木を行います.
これまでやってきた経験より,果樹栽培に欠かせない「接ぎ木」について徹底的に解説していきたいと思います.

  • なぜわざわざ接ぎ木をするのか?
  • そもそも枝ってどのような構造をしているのか?
  • どのような理屈で接ぎ木が成されるのか?

などなど,多くの疑問をスッキリさせていきたいと思います.

接ぎ木初心者の方であれば,絶対に有用な記事にしました.
また,接ぎ木をちょっとかじったことある人にも,満足できる内容になっています.

けんゆー

枝の構造や接ぎ木のメカニズムを徹底的に解説するよ!!!

なぜ接ぎ木をするのか!?

まずはじめに,なぜわざわざ接ぎ木をするのか?ということについて解説していきます.
接ぎ木をする利点は,大きく分けて以下の4があげられます.

  • 結実期を早めることができる.
  • 矮小性の木をつくることができる.
  • 特定の品種を増やすことができる.
  • 強い木をつくることができる.

上に掲げた4つのメリットを具体的に深掘りしていきましょう.

結実期を早めることができる.

一般的に,タネから発芽した実生苗(みしょうなえ)は,花が咲くまでの多くの年月を有ます.

けんゆー

「モモクリ3年カキ8年」というね!


多くの果実は花が咲かないと結実(けつじつ)しないので,植えて数年は果実が取れない期間があります.

幼い木は,木や枝自体の成長にエネルギーが使われるため,花芽(はなめ)をつけないのです.
そのため,もともと花芽形成がされる木の枝を接ぎ木することによって,結実期を早めることができます.

矮小性(わいしょうせい)の木をつくることができる.

矮小性というのは,木が大きくならず,低くなる性質のことです.
木が低いと,栽培がしやすく管理が楽なので,多くの果樹農家さんは,なるべく低く木を仕立てます.
一般的には,接ぎ木苗の木は,新梢(しんしょう:その年に育つ枝)が強く伸びずに花芽が形成されるので,樹形がコンパクトになります.

また,矮小性の台木を使用することで,身長が高くなる品種の穂木でもかなり小さく仕立てることが可能です.
矮小性の台木は,果樹ごとに違うので,目的の果樹の品種を探してみてください!

木がコンパクトになると,摘果や枝葉の調整がやりやすく,きちんと甘い果物をつくることへ繋がります.

特定の品種を増やすことができる.

特定の品種を増やすことができるのは,果樹栽培をしている農家さんにとって非常にメリットが大きいです.
希少価値の高い品種や,優れた特性のあるもの,発芽が難しいものなども,接ぎ木を使うことで増やすことが可能です.

穂木にした品種の遺伝的特性は変わりません.

強い木をつくることができる.

上に書いたように,穂木の遺伝的特性は変わることはないですが,台木の影響は受けるので,強い木をつくることができます.
強い木とは,例えば,耐寒性乾燥などの環境面への強さ,また病害虫などへの抵抗力などが強い木をつくることが可能です.

もちろん,そのような耐寒性や病害虫に強い品種を台木として選ばないといけないです.

その他

その他にも,カクテルツリーなどの一本の木から多品種の果実を生成できたりと,面白い木が作れます.

どうでしょうか.接ぎ木によるメリット重要性が理解できましたでしょうか!
こちらの理解ができたら,次は,枝の組織の理解と,どのような理屈で接ぎ木ができるのか?ということについて紹介していきます.

木の枝(茎)の理解

ここでは,イラストを使って木の枝(茎)の理解をしていきます.
木の枝を真っ二つにすると,以上のような組織から構成されています.

  • 内側(中心部)は髄(ずい)・・・海綿状の柔らかい細胞
  • 髄の周りにある維管束(いかんそく)・・・篩管・形成層・導管から成る.
  • 最後に樹皮・・・樹皮のうち,最も内側にあるのが内皮,その外側に皮層,空気に触れている部分が表皮.

この中で,接ぎ木に重要なところは,維管束の部位です.
その中でも形成層は,枝の内側の輪状に配置されており,細胞分裂を行う層です.
形成層に傷が入ると,カルスといって,癒合組織(癒傷組織)が形成されます.

けんゆー

人間で言うところのカサブタみたいなものだね!


このカルスのおかげで,接ぎ木が上手く行われます.

維管束のうち,形成層の内側には,導管(どうかん)といって,主に養水分を通す管があります.
また,外側には,篩管(しかん:師管とも)と言って,主に光合成によって生まれた有機物を通す管があります.

なので,接ぎ木の上手くいくポイントは,台木と穂木の形成層を上手く合わせる!ということになります.

接ぎ木の理屈

接ぎ木は,穂木台木をただ繋ぎ合わせるものではないと,上で説明しました.
お互いの切断面を接着させるだけ,と思っていたら,接ぎ木に失敗することが多々あります.

一番大事なことは,お互いの枝の形成層を接合させる必要があります.
こちらでは,接ぎ木の流れをイラストをもって説明していきたいと思います.

⓵台木と穂木の加工.
こちらは,接ぎ木用のナイフで加工します.

けんゆー

おいらが使っている接ぎ木用のナイフ(こちら)です!1000円以下で買えるもので十分だよ.接ぎ木用の加工枝切りみたいなものは必要ないよ!


接ぎ木には,切り接ぎ腹接ぎ芽接ぎ合わせ接ぎなど,多くの方法があります.
これらの方法については,またまとめますので,今は読み進めてください.

⓶お互いの形成層を合わせる.
繋ぎ目の箇所は,ナイフでカットされているので,壊死した細胞層のネクロシス層(壊死したという意味)が形成されます.

⓷カルスができて連絡形成層が発達する.
2週間ほど経つと,お互いの枝の形成層からカルスができてきて,ネクロシス層を突き破ります.
カルス形成の後に,お互いに繋がる連絡形成層が発達してきます.
連絡形成層が繋がると,維管束が分化・発達し,篩管導管も発達します.

⓸形成層が繋がり活着する.
その後,数ヶ月を有しますが,二つの枝が徐々に一体化します.
これを活着と言います.

けんゆー

接ぎ木の理屈を理解できたかな!?ただ単に枝を合わせているだけでは,接ぎ木の成功率は上がらないよ!


ということで,本日はここまでです!果樹生産者さんのためになれば幸いです.
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