接木のメリットとデメリットの再確認.
この記事のポイント
  • 接木の大きなメリットは開花期を短縮できる!
  • ただ,木が小さいうちの接木はリスクもある!
  • 成長スピードが遅くなり,花を摘まないといけなくなるかも!

けんゆー

ハイサーイ!


けんゆー

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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

今回は,接木のメリットとデメリットを確認していこうかと思います.
接木は絶対的に正しい!と考えている方は,ぜひ一度読んでいただけると幸いです.

けんゆー

ざっと読みたい方は,動画でどうぞ!


以下は,上の動画を見てくれた方のコメントです.

いつもありがとうございます.
皆さんの果樹栽培ライフがもっと楽しくなることを願っております.

果樹栽培の接木とは!?前提知識の共有.

果樹栽培には,「接木」と呼ばれる技術があります.
植物の茎の内側には「維管束系」と呼ばれる養水分を送るための管や組織があります.
人間でいうところの「血管」みたいなものです.

その「維管束系」の中に,「形成層」という傷口を修復するときに活躍する組織があって,植物体は,それがくっつくと,合体します.

上の図のようなものです.
鉢に入っている土側の方は「台木」と言います.
そして,新たに上からくっつけられた方は「穂木」と言います.

この合体させる技術のことを「接木」と呼びます.

なぜこの接木が必要なのでしょうか.

いくつか理由があるのですが,大きな理由は2つで,

・花を早く咲かせる.
・特定の品種の果実を作る.

というものです.

けんゆー

他にもメリットはあるのですが,主にこの2つ!


桃栗三年柿八年」という言葉があるように,果樹は植え付けからなかなか果実が収穫できません.これの理由は,花が咲かないからです.木は十分に大きくなった後でないと,「子孫を残す行為=花を咲かせる」ということをしません.

花が咲くと,受粉して,種ができ,種の周りの子房が膨らみ,果実になるという順番があります.
花は生殖器官なのです.綺麗ですけど.綺麗ですけどという表現もおかしいですけど!笑
つまり,木は自然的に育てた場合,大きくなって生殖器官の花を咲かせるという行為を覚えるのです.

接木という技術は,人工的に無理やり穂木をくっつけるわけですが,この穂木が花を咲かせるという行為を覚えてしまっている場合,接木が成功すると,木が大きくならずとも,花を咲かせます.

というのが接木のメリットなのです.

接木って本当に良いの!?

さて,今日の本題はここからです.
では,接木ってメリットしかないの?ということなのですが,僕は考えなければない問題も存在すると思います.

問題は2つあると思っていて.

1.木が小さすぎるうちに花を咲かせても果実の収穫が難しい.
2.花を咲かせてしまうと「木が大きくなる成長スピードが遅くなる」.

というものです.

果実には,葉果比というものがあります.
葉果比とは,適切な葉っぱの枚数と果実の比です.

つまり,木が小さすぎると,葉っぱの枚数が少ないので,物理的に,果実の収穫が困難というものです.
そして,一旦花を咲かせてしまうと,木の成長に使われるエネルギが花を咲かせるために使われてしまい,木が大きくなりにくいというものです.

そして,極め付けは,せっかく咲いた花を自分の手で摘んでしまうという作業をしなければならないということです.

これはなんとも悪循環....

こちらの木は,昨年小さい木に接木をして,今年花が咲いたのですが,自分の手で花を摘みました.そして木の成長スピードは明らかに遅いのです.

こちらも花を摘んでしまいました.

つまり何が言いたいかというと,今年どうせ花を摘むくらいのサイズの木であれば,昨年は,接木をしない方が良かったということです.
今年,花を摘んでしまっているので,どうせ果実はできません.
つまり,昨年から今年まで全力で木の成長をさせてあげたら良かったのです.

ちーん.

しかし,ハウス栽培などをされている方で,栽培スペースに限りがある方や,木を小さく仕立てたいという方などは,もちろん接木をした後に,木を作っていくという考え方もあります.
しかし,僕たちは解放的な露地で,そして木を大きくしたいという目的があったのにも関わらず,このような悪手をとってしまいました.現在は接木の時期ですが,去年の反省を踏まえ,片っ端から接木をするのをやめます.

木がある程度大きいものは接木します!