草刈りのコツ,高刈りのメリット,刈り草は5~8cm程度残した方が良い!?
タイトルが入ります。
  • 高刈りの6つの効果について.
  • 草刈りによって草種や生態系が変わる.
  • 圃場によって適切なやり方がある!

けんゆー

ハイサーイ!


けんゆー

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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は「高刈りのメリット」についてお話ししていきます.
夏は草刈りの頻度が増えると思いますが,草を刈る高さをほんの少し高くすることによって,実は驚くほど良い効果があるのです.

経済栽培をされてる方の常識は,出来るだけ下草を残さない管理方法が主流であり,草も可能な限り,刈り高を低くして,さらに3週間おきなどに草刈りを実施するのが当たり前です.
もちろん,全くの無除草であれば,草の背丈もすぐに大きくなり,作業の障害や,もしかすると,病害虫の発生源となる可能性もあります.

ただ,草刈りの高さを変更するだけで,草種(そうしゅ)構造が変化することが知られており,それに伴って生態系も変化すると言われます.そのため,従来言われていた草の刈り高を出来るだけ低くすることではなく,適切な草の管理,適切な刈り位置を把握するということは重要であると思われます.

けんゆー

もしかしたら,ちょっと草を刈る位置を高めにすることによって,現在よりも多くの観点より,費用対効果の高い栽培が実現できるかもしれないね!

そこで,本日は,そんな草の管理に通ずる「高刈りのメリット」をお話ししたいと思います.

高刈りの効果.

まずは,メリットから羅列したいと思います.
6つあります.

  • 疲れにくいし,スピードも上がる.
  • チップが長持ちする.
  • シロツメクサが増える.
  • 害虫の大量発生を減らせる.
  • 土が裸にならないので,雨風で流亡しにくい.
  • 草刈りの頻度も実はそんなに変わらない.

という点です.
地際で草を刈ると,どうしても腰に腕,手に変な力が入ってしまうこともあり,長時間の作業が大変です.
また,石や地面にチップが触れる回数が多いので,どうしてもチップの摩耗が激しいのですね.
さらに,草を地際で刈って地面を裸にしてしまうと,雨や風で土が流れやすくなってしまいます.
なので,こういった問題を解決するためにも高刈りは有効なのです.
こういったメリットは,感覚的に分かりやすいので,シロツメクサが増えるとか,害虫の大量発生を減らせるという点について深掘りしたいと思います.

シロツメクサが増える

農研機構さんが2007年に出した論文「りんご園の草生群落の種構成に及ぼす異なる刈り高による草刈りの影響」によると,刈り位置を変えると,生えてくる草の種類も変わってくるようです.

低く刈ったところでは,最大で25種程度の草本が確認されてますが,季節によって優先種や草種構成が大きく変わったことを報告してます.
低く刈った場合,4月中旬から6月上旬まではシロツメクサ,セイヨウタンポポ,ミドリハコベ,スズメノカタビラが共存し,その後,気温が熱くなって夏が来ると,イネ科の草本が優先し,そして9月中旬,気温が落ちてくると,シロツメクサ,ハルジオン,メヒシバ,イヌビエなどが共存したということを報告してます.

面白いのが,6cmの高刈りをした場合は,4月中旬から6月上旬まではセイヨウタンポポが優先したものの,その後8月中旬意外,シロツメクサの占有率が優先するという結果になっております.

つまり,高刈りは,夏のイネ科雑草やロゼット型雑草の勢いを殺すということが期待されるので,ぜひ一度試してみてください!

けんゆー

圃場の状況などによっても違うので,試してみてね!

害虫の大量発生を減らせる.

畑の雑草というのは,実は多くの虫たちが生息してる場所でもあります.
多様な虫たちが,食物連鎖を構築し,生きております.
実は果樹や野菜などの害虫被害を減らすためにも,雑草の高刈りが有効である可能性が確認されております.

例えば「草刈りの高さがリンゴ園下草でのカブリダニ類の発生に及ぼす影響」という論文があります.農研機構,岸本さんという方が2020年に書かれたものですね.
この研究では,りんご園に生える雑草を切る高さを1cm,4cm,8cmと変え,害虫と言われるハダニとそのハダニを食べるカブリダニ類の関係を調査しました.
高刈り区の8cmの方では,ミチノクカブリダニ(ハダニを捕食するカブリダニ)が多く,1cmと4cmでは極めて少ないことを報告してます.本論文中には,その他色々と試験をしており,エッセンスは多くあるのですが,高刈りによって,逆に害虫であるハダニの密度抑制に効果的である,高刈りが虫の防除に有効であるということが示唆されております.

今回は,一例のお話でしたが,高刈りをすることによって,こういった多様性の維持にまで貢献できる可能性があるということは驚きですよね.

最後に草刈りの頻度なのですが,地際で刈った方が,草が伸びる速度は遅いですが,逆に夏場は,イネ科雑草のみの圃場になって,逆に大変になることもありますし,ぶっちゃけ5cm程度残したくらいで,そんな大して変わらないと感じてます.
それでしたら,身体への負担が少ない,そして刈る速度も上がる高刈りが良いのかと思います.
ぜひ,拘って地際から刈ってる方,一度,試してみてはいかがでしょうか.

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