誘引の方法について徹底解説
この記事のポイント
  • 誘引の最も大きな役割は,実をつけるため!
  • 誘引の方法は!?太い木は切り込みを入れる!
  • 徒長枝の対処は誘引で防ぐ!

けんゆー

はいさーい!今日は枝を曲げる回だよ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
この記事では,果樹を栽培するにあたって必要な誘引(ゆういん)について詳しく解説していきます.
誘引は,熱帯果樹に限らず,基本的にフルーツ全般を栽培するときに必要なスキルだと思います!

誘引とは?という基本的なことから,誘引によって得られる効果,方法などをイラスト付きで詳しく説明していきたいと思います.

けんゆー

イラストは頑張って書いたよ!笑

誘引とは!?

誘引とは,紐などを用いて,木の枝を支柱や棚に固定することです.
基本的に,上に伸びる枝をもしくは斜め上に誘引することが多いです.

けんゆー

大体は水平に誘引を行うのが基本だね!難しく覚える必要はないよ!簡単に言ってしまうと,ただ真横に引っ張って固定するだけ!笑

誘引による効果は以下です.

・実つきをよくすることができる.(実自体も甘く美味しくなる)
・外観を綺麗に整える.
・風通しや日当たりを良くすることができる.

それぞれ深掘りしていきたいと思います.

実つきをよくすることができる

誘引して枝を支えてあげると,枝の幹を太らせるために使用されるエネルギーが,実の方に使われて,果実生産に効果があるといいます.
枝を太らせる必要がなくなった分は,果実の方に栄養が使われるのですね.

仮に誘引をせず,ほったらかしにしておくと,徒長枝(とちょうし)といった枝が伸びてきます.
これは,葉っぱで光合成をして蓄えた養分が枝の成長に使われるからです.

こうなると,もちろん実もつきにくくなり,養分がうまく実に輸送されないので,味や品質も低下します.基本的に果実の実つきに関しては,伸び過ぎた枝は良くないです.
たまに木は大きくした方が良いという方がおられますが,適切な長さがありますので,枝を伸ばしっぱなしにするのはかなり良くないです.
徒長枝はほとんどの果樹で不要とされています.すでに徒長枝として成長している枝(実のなってない不要なもの)は,見つけ次第,枝元から剪定すると良いです.

けんゆー

おいらも徒長枝は見つけ次第,切り落としているよ!無駄な養分を消費されたらもったいない...!!

徒長枝の防ぎ方は以下です.

  • 枝を誘引する.
  • 枝の先をハサミで摘芯(てきしん)する.
  • 肥料(チッ素)のやり過ぎを抑える.
  • 枝を手で捻る(捻枝).
コラム:「捻枝(ねんし)」とは!?
周囲に誘引する場所がないときの方法として,捻枝と呼ばれる方法があります.
字のごとく,枝を捻って,向きを変える方法です.上向きに伸びている枝を斜めもしくは水平にねじります.「パキパキッ」と小さな音がなる程度です.これは,その年に伸びた新梢(しんしょう:若く新しい枝)で非常に有効です.捻られて向きが変わることによって,無駄な伸びが抑えられて,花芽(はなめ)が付きやすくなり,実つきが良くなります.
けんゆー

捻枝は慣れるまで結構難しい技だよ.おいらも何本か失敗して木を折ってしまいました.失敗は成功の素なので,しょんぼりせずに何度も挑戦しよう!

外観を綺麗に整え,風通し,日当たりをよくする

誘引して,きちんと整理することによって,木自体の外観が綺麗なります.
この外観を整えるというものは,葉っぱの光合成や病害虫の予防に効果的です.枝が混み合うと,光を遮ったり,風が通らなくなるため,誘引をしてうまく整えることが大事です.

誘引の注意点:成長が速い!

とくに,熱帯果樹をされている場合,注意が必要なことがあります!
トロピカルフルーツの生育はかなり速いです!あっという間に木が大きくなるので,誘引において使用するための支柱や棚は木が小さいうちから作っておくことをお勧めします.慌てます!

けんゆー

あっという間にビニールハウスを破っていた!ということもあるよ!

誘引資材のあれこれ!

誘引に使用するのは,誘引用のひもが安心です.そのほかにもプラスチックの結束バンドなども効果的です.アマゾンなどでいろんな種類が売っていて,すぐに購入することができます.色々とありますので,自分が使用する用途,長さに応じて使うものを選んでください.(強度があればどれでも良いと思っていますので,そんなにナイーブにならず!!)

水平誘引が良い

温帯果樹でもそうですが,花芽(はなめ)をつけるためには熱帯果樹でも水平誘引がなされます.
マンゴーなどの熱帯果樹の枝も全て水平誘引という方法を取っていますよね.徹底した水平誘引により,低くつくるのが基本とされています.

なぜ水平誘引が良いのか?

誘引をしない場合は,枝の先端から上向きに太く長い枝が発生します.
これは,実つきが悪く,徒長枝になりやすいです.

一方で,水平に誘引すると,枝の全体から短い新梢(しんしょう)が発生します.これは短い枝で,実付きが良いです.
杭(くい)などを用いて,なるべく水平誘引を心がけましょう!

誘引に関しては,斜め上方向よりは,なるべく水平が良いとされています.
斜め上の場合は,新しい枝が生えてくる位置が,全体ではなく誘引した枝の中央〜先端になり,先端に近づくほど長く太い枝が発生するためです.

根が深く伸びすぎるとダメ!?

根が深くなると樹が強くなって良さそうなイメージがありますが,果実生産という面においてはあまり良くないのです.

根のせいで徒長枝が発生しやすくなる!?

実は,根が深く伸びすぎると,徒長枝と呼ばれる上に向かう果実がつかない枝が多く発生するので,良くないと言われます.せっかく水平に維持した樹の形を邪魔してしまうわけです.
そのため,ポット栽培防根シートなどの使用した根域制限を行うことや,頻繁な水・養分をやることが望まれます.浅い位置で養水分を吸収してくれる根っこを多くするのですね.

けんゆー

過度に水と養分をやりすぎるのも良くないよ!常識の範囲内で,地表が乾いたタイミングで水をあげる!などということを心がけてね!

根と枝の関係について,三輪正幸さんの「果樹栽培」に面白いことが書かれていました.

樹木は地下部の根と地上部の枝のバランスを常に保とうとしていることが原因と推測されています.根の量がそのままで,地上部の枝を大量に取り除くと,バランスを保とうとして枝を大量に発生させるというわけです.この習性を利用して,プロの果樹農家さんの中には,木を低くするために枝を多めに切った場合は,専用の機材などで土を掘って根を切り,徒長枝の発生を抑制して低木化と収穫量の確保を両立させることがあります.

果樹栽培(実つきが良くなる「コツ」の科学),三輪正幸,p115.

水分ストレスで花芽が付きやすい!

根を浅くすると,土壌が乾燥することによって,水分ストレスがかかりやすくなります.
そうすることで,花芽が誘導されやすくなります.花芽がつけば実がなりますね.

けんゆー

果物や植物って面白いよね!水ストレスや乾燥ストレスに反応するものが多いよね!

折れやすい太い木の誘引は!?

太い木の誘引は結構難しいと思いますが,ナイフやノコギリで軽く切り込みを入れてあげると楽です.こちらの方法は,「庭先でつくるトロピカルフルーツ」を参考にしました.

とくに太い枝の無理な下方誘引は禁物である.のこぎりで枝の下方向から半分程度まで切り込みを数カ所か入れ,ノコギリ刃の厚さ分の空間が密着するまで下に下げると,枝の上部方向の樹皮が裂けて折れることはない.それでも水平にできない場合はあるが,数年かけて少しずつ下方に下げるようにする.

庭先でつくるトロピカルフルーツ,米本仁巳.P.22.

太い木はテンションをかけすぎるとポキっと折れてしまうので,上のような方法で徐々に行なっていきましょう.あまり先急ぐと失敗する可能性が高いので,足りないかな?くらいで良いと思います.数年かけて下方誘引してみてくださいね.

けんゆー

上手に誘引できたら嬉しいですよね!このブログの記事を参考に,実践で経験を積んでくださいねー!


けんゆー

読んでくれてありがとうございます!Youtubeもやっているので,良ければ応援の方よろしくお願いします!

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