【#110】なぜ畝を立てるのか?作物や土質,狙いによって適切な立て方がある.
この記事のポイント
  • 周囲よりも高さがあるので,排水性が良くなり,きちんと空気が入る.
  • 日光がよく当たり,地温が上がる.
  • 物理的に,根が張る空間が増える.

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は「なぜ畝を立てるのか?」ということについてお話ししていきたいと思います.
家庭菜園の方でも,農業をされている方でも,この畝立ては野菜を植え付ける前の最も大事な作業になるかと思われます.
野菜を植えるときには,畝を立てるべきだ!と強く思われている方も多いと思いますけれども,なぜ畝立てが必要なのか,作物にとってどのようなメリットがあるのか,そういったところを今一度,再確認していきたいと思います.

よろしくお願いいたします.

畝を立てると根の張りがよくなる.

早速,結論から申し上げると「根っこの張り」がよくなります.
その結果,野菜の生育が良くなるわけですが,根っこの張りがよくなる理由や,畝立ても作物別や土の性質ごとに,実はもっとこうした方が良いよ!というのがあったりします.

畝とは!?

まず,畝について確認していきたいと思います.
畝とは,土を盛って周囲よりも高くした所のことです.
数値で言うと,大体10cm程度の畝が一般的かな,と思います.

大体は,一方向に,直線上に土を盛り上げることが多いですね.
これは,野菜作りの作業性や,畝立てをする際の道具による部分が多いですね.
農家さんとかであれば,現在は,耕運機や,トラクターなどで耕運をした後に,同時に畝を立てますが,そういった機械がない場合は,スコップで盛り上げていきます.
僕も,梅雨前は,畝立て作業をしましたが,機械がないので,だいぶ体力を使う作業です.

畝を立てると,根の張りがよくなる!

畝を立てると,根の張りがよくなるのですが,その理由は以下です.

  • 周囲よりも高さがあるので,排水性が良くなる.
  • 水はけが良くなり,きちんと空気が入る.
  • 日光がよく当たり,地温が上がる.
  • 物理的に,根が張る空間が増える.

こういった理由で,根の張りがよくなるのですが,土質の影響や,育てたい作物,栽培方法などによって,10cmではなく,あえて畝を低くしたり,あえてもっと高い畝にしたりと,様々なやり方があります.
そういった点も深掘りしていきたいと思います.

排水性が上がり,空気も入る.

まずは,畝による効果は,排水性が上がり,水はけが良くなると言うこと,それによって,空気の出入りが良くなるということがあります.
植物の根っこは,水分も必要ですが,実はそれと同じくらい酸素も求めます.
肥料というのは,二の次で,水分と酸素が重要なのですね.
また,水のやりすぎなども,呼吸ができなくなり,根腐れがおきます.
そういったことを防ぐためにも,畝立てが必要なのですね.

根っこが求める水分や酸素についての詳しいお話は,こちらの記事をご覧ください.

地温が上がると良い効果

畝を立てると,日光がよく当たります.
家庭菜園でしたら,できれば南北の方向に畝を立てると良いです.
東から太陽が昇り,西に落ちるので,南北畝ですと,均等に畝に光が差すのですね.
土が温まりますと,多湿の環境が改善されて,土壌微生物などが棲みやすい状態になります.
カビなどによって発生する病気も,ある程度,太陽の光がきちんと当たることによって,改善できます.

物理的に根がはる空間が増える.

畝を立てて土を盛った分,根っこが張る場所が増えます.
作物が根っこを問題なく伸長できる土の層を作土層というのですが,この下には,硬い硬盤層というものがあります.
これは,人に踏まれて鎮圧されたり,耕運機のロータリーが届かず,逆に叩かれて固まってしまった層です.
野菜の根っこは,深いところまでいく深根性のものもありますが,浅いところに広がる浅根性のものもあります.
ほとんど大体は,硬盤層を突き破ることができないので,畝を立てて,根っこが広がる空間を物理的に作るということがあります.

また,硬盤層も,水の抜けが悪いなどと,問題になる場合がありますが,一方で,その地域が以前,水田だったとか,地下水位が高いとか,そういったことがある場合,逆に硬盤層が,地下の水をブロックしてくれてる,ということもあります.
一概に硬盤層が悪者である,というものでもないです.

土質

畝を立てるときに,低めの畝でも十分野菜が育つ,という場合もあります.
これは,土の性質が,砂質の畑ですね.
粘土が少なく,乾きやすいという特徴がある畑であれば,畝の高さが問題になる場合があります.
畝が高いことにより,水はけが良すぎて,すぐに乾いてします.などといったことで,乾燥害が発生する場合があります.

逆に,粘土質の強い畑では,一般的な10cm程度の高さよりも,もう少し高くした方が良いかなと思います.
砂質の土とは逆の理由ですね.水はけが悪いからです.

畝の高さで野菜のできが変わる.

野菜にとっても,心地の良い畝があります.
例えば,サトイモなどは,乾燥を嫌うので,低めの畝が良いです.
水を好む野菜かどうかで,畝の高さを調整すると管理が楽になるのですね.

また,ナスや根菜類などの野菜は,根を深く伸ばす性質があるので,若干高畝にして作土層を増やした方が,生育はうまくいきます.

逆に,トマトなどは,根っこの量を制限して,水分が吸収できる根っこの量を抑えることにより,糖度が上がりやすいとも言われます.
根域制限と言いますが,根が広がらないように,あえて通路の部分は耕さず,固めておく,などといったやり方があります.
粘土質の土であれば,高畝にする必要がありますが,砂質が強ければ,若干低めにするという手もあります.

逆にキュウリやカボチャなどは,主根ですが,根が浅く,側根が周囲に広がりやすいので,通路部も畝立てまえに耕運しておくといいです.

他にも例えば,サツマイモなどは,ひげ根で浅い位置に根っこを広げますが,元々,原産地がメキシコの砂漠地帯周辺ということもあり,乾燥した,痩せた土地を好みます.なので,水はけに気をつけ,畝を高めにすると良いです.
ちなみに,作物の根っこは大体4つのタイプに分類できます.
詳しく知りたい方は,こちらの記事をどうぞ!

というような感じで,畝は,役割が大きく,また作物や土の状態,栽培方法などによって,変わってくるのですね.
現在畝を立てておられると思いますが,一度,作物別に見直してみると,他に資材などを投入せずとも,より良い効果が期待できるかもしれないですね.