【#103】種まきを成功させるために知るべきこと.科学の話.
この記事のポイント
  • 種子の発芽には温度・水分・酸素の3つの条件が必要.
  • その他にも光が必要なもの,必要ではないものがある.
  • 色がついてる種子の理由も解説!

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は「野菜の種まきを成功させるための科学」を共有していきたいと思います.
種を撒くことを「播種」というのですが,この播種は実は科学なんですね.

この播種を成功するためにも,1%でも成功率を上げるために,種が発芽する仕組みを知っておいた方が良いと思います.
野菜というのには,旬があって,育てやすい時期,育ちやすい環境というものがあります.
これはもちろん,発芽にも大きく関わっており,播種の時期,やり方,最適な環境があります.
逆にいうと,発芽のメカニズムや条件さえクリアしたら,いつでも,そして誰でも発芽を成功させることができます.

今回は,そういったお話をさせていただきます.
家庭菜園をしてる方,これから種まきをしようと考えている方のご参考になれば幸いです.

発芽条件.

種子が発芽をするためには,3つの条件があります.
この3つとは,

  1. 温度
  2. 水分
  3. 酸素

です.野菜の種類によって,それぞれの最適な値は異なりますが,この3つの条件によって発芽はコントロールされてます.
この3つは絶対条件なのですが,この3つ以外にも,もう一つ重要な要素もあります.
それは光です.
また光に関しても後ほど説明していきます.

休眠解除

野菜の種というのは,温度・水分・酸素の3つの要素+などが最適な時に発芽をします.
これは,どの種子でも一緒です.そして,現在は作物別に,どの温度が良いのか,水分量はどのくらい必要なのか,そして光を好むのか好まないのか,こういったことが明らかになってます.インターネットで調べると本当にすぐ出てきます.育てたい作物の種を撒くときは,そう言った条件を知ることが大事です.

なぜ,温度・水分・酸素などの条件が必要なのかという話をさせていただきます.
植物というのは,動物のように移動ができません.
一度根を下ろしたら,その一生をそこで生きます.

なので,根を出すタイミング,発芽するタイミングがかなり重要なのです.
例えば,何も考えずに,適当に発芽したときに,周りが極寒の環境であれば,寒さにやられてしまうかもしれないです.
また,暑過ぎる場合,乾燥しきっている場合,仮に芽が出ても,その後の生育に大きく影響してしまいます.

そのため,植物というのは,周りの環境を常にセンシングしており,最適な環境になったタイミングで発芽してくるのです.

周囲が最適な環境になっていない状態の場合,種子は「休眠」というものをしてます.
発芽不良というのは,この休眠がうまく解除されていない場合がほとんどです.

例えば,春になると一斉に咲き出す菜の花なども,周囲の温度や水分,酸素の環境が最適な状態になり,眠りから一気に解放されます.

光が必要な種子

発芽に,光が必要な種子もあります.
こう言った種子を好光性種子と言います.一方で,日が当たるのをあまり好まない嫌光性種子というのもあります.
これらの植物も,発芽した後にきちんと光合成ができる環境であるのか,もしくは,強過ぎる日光が生育阻害を誘発するのではないか?そう言ったことがあるので,種に光が当たるもしくは当たらないというのは,重要な要素になり得るのです.

例えば,ニンジンはものすごく発芽が難しい野菜だと言われます.
発芽が成功すると,ほとんど難は去ったと言われます.

その理由はすでに科学的に解明されております.
一つは,休眠解除に多くの水分が必要であるということ,もう一つは光を好む,好光性の種子であるということです.
この水分を好み,好光性であるという組み合わせは最悪です.

なぜなら,好光性の種子だと,種を浅く植える必要があるのですが,浅く植えると,土の表面は乾きやすいので,発芽に必要な水分が保たれにくいのですね.
なのでニンジンの場合は,光を通すネットなどを被せて,保湿性を高めたり,発芽までは,水やりが大変だったりします.
余談ですが,ニンジンの原産は元々アフガニスタンあたりだと言われていて,日が強く降雨量がものすごく少ないところなのです.
砂漠に近いような地帯が広がる場所です.
なので,その中でも雨が多いタイミングを見計らって芽を出さないと,発芽後の生死にかかるので,水分が大事であることが遺伝子レベルで組み込まれているのですね.

けんゆー

ニンジンの発芽にいつも失敗するというかた,是非,浅く種をまき,水分の管理をしっかりと行ってくださいね!

休眠から目覚めるステップ

休眠から目覚めるステップも現在は明らかになっております.

まず,第一ステップには水分が最も重要です.
種が水分を吸水します.
その後の第2ステップでは,種子内の細胞(子葉や幼根,胚軸などの形成)のための活動をするために,酸素が必要です.
この時に呼吸や代謝が始まりますが,この時に活動をするための酸素や適切温度環境が求められます.

第一ステップで,水分量が適切で休眠が解除されたとしても,第二ステップで,酸素や温度条件が合わなければ再休眠に突入します.

例えば,ホウレンソウは冬に旬を迎える野菜で,効果的な発芽を促す際に種を水につけておく,ということをしてるところが多いと思います.
発芽促進や,芽が出るタイミングが揃います.
これは休眠解除の第一ステップに相当するわけです.

しかし,夏場などの旬が外れた暑い時期に,水につけて発芽をさせてしまうのはかえって逆効果なので注意ですね.
発芽後の周囲の環境が暑すぎて,発芽してもすぐに枯れてしまう可能性が高いです.

けんゆー

気をつけてね!

夏野菜の発芽率を上げるための技.

現在は夏野菜の植え付け時期なので,夏野菜の発芽率をちょっとでも上げる技を紹介します.
(もちろん,冬野菜にも応用が効くところもあります.)

夏野菜の種まきは,「梅雨明け後1週間以内」が最適な時期です.
梅雨が明けたら種を撒きましょう.
絶好のタイミングです.

休眠から目覚めるステップを把握していると水分の大事さはわかりますね.
梅雨明け後の1週間以内は,土の中の水分が十分であり,発芽後,水分がひき,酸素が回る!という理由です.

ちなみに,播種後の水やりは基本的に発芽やその後の生育を阻害することが多いです.
なぜかというと,人が行う水やりは,大したことがないからです.
人が行う水やりは,地中深くまで水が浸透しないので,発芽した後に,水分が切れて環境に合わない,ということがあったり,播種後の頻繁な水やりが表面の土を固めてしまい,空気を通さなくなってしまう,ということが起こります.
なので,夏野菜は,雨のタイミング,梅雨のタイミングはとても大事です.

一度に大量の水をかける!という場合も,掛け方によっては種が流れたり,地中深くには染み込まず,表面付近の流れやすいところを水が通り,どこかに滞留するするということもあります.やはり,雨のような均等,均圧なシャワーは偉大です.

人工的に行う発芽率UPの方法.

梅雨あけの状態を人工的に作り出す方法もあります.
3つの方法があります.
一つは「根水」と言われる方法です.

種を植え付ける前に,3日くらいかけてしっかりと土を濡らしておくのですね.
地下までしっかりと水をはる,朝昼夕3回に分けて,シャワーの水をかける.
これを行うことで,発芽率はぐんと上がり,そして発芽が揃います.

もう一つは,播種後の鎮圧です.
種を撒いた後,撒いた箇所を足などで踏んでしっかりと土と種をつけます.
これを行うことによって,土の中の水分が種に吸水されやすくなります.
人が種まきの時に踏む一回の圧力くらいはちょうど良いです.

色がついてる種子

最後に余談ですが,種子にコーティング剤などが塗られており,色がついている場合があります.
あの理由は,殺菌剤撒かれた種の位置をわかりやすくしているという効果があります.
また,硬い種皮を取り除いたり,薄くしたりして,発芽促進をしている種子もあります.
こう言った種子はよく「プライミング」という表記がついていることがあります.

最後まで読んでくれたありがとうございます.
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