- オレンジの状態で食べると甘さ(糖度)が増して美味!
- 沖縄ではおいらを含め栽培している農家さんが多い!
- 旬の時期は11月〜3月くらいまで!
見た目よし!味よしの超絶オススメのフルーツを紹介するよ!
けんゆー(@kenyu0501_)です.
「糸満フルーツ園 けんちゃん」ではスターフルーツも栽培しております.
そこで,この記事では「スターフルーツ(別名:ゴレンシ)とは?」という根本のところから,その原産や品種,特徴,栽培,食べ方についてかなり詳しく書いていきたいと思います.
また,沖縄で栽培している時に発生する害虫などについても少し取り上げていきたいと思います.
最近,動画での解説も行いましたので,ぜひお時間ある方はどうぞ.
スターフルーツとは?
スターフルーツは熱帯果樹の一つで,星型の独特な形をしているのが特徴的です.
ゴレンシ(五斂子)とも言われています.専門的な区別だと,カタバミ科ゴレンシ属の果樹になります.
学名は「Averrhoa carambola L.」と言います.
スターフルーツと呼ばれているのは,見た目の通り,細長い五稜形(ごりょうけい)の果実であるからであり,包丁で横に切ると,断面に綺麗な星が現れます.
緑色の果実の状態から,熟すと黄色になりますが,完熟するとオレンジになります.
オレンジの状態はとても糖度が高くて美味です.(品種によって様々ですが)
実際にスターフルーツを作っている農家さんが,枝を誘引して樹自体を低くしたり,ブドウのように棚にしてフルーツの栽培をしているのが見受けられますが,管理をせず自然条件下の実生になると,10mにもなる樹です.
おいらたちも剪定をせずに置いといたら,ハウスの天井を破られてしまいました
果実は,徒長した枝の先端付近に鈴なりに着くことが多いので,果実自体の重さで,枝が垂れ下がります.もともと高く育つ樹なので,下垂した曲った枝の付け根や先端から新しい徒長枝(とちょうし)が伸びます.
上部に向かってまっすぐ伸びる枝.養分が枝の成長に使われて花芽が付きにくい.日当たり不足や水のやりすぎ,過剰な窒素肥料などの原因によって発生しやすい.よく剪定の対象になる.
スターフルーツの原産!?
スターフルーツの原産は,熱帯アジアで,マレー半島やジャワ島,モルッカ島などです.
古くから世界各国に広がっていきました(大航海時代に,熱帯アメリカ地方や西インド諸島に広がったとされている).
中国では紀元前400年に入っているようですね.ちなみに中国語では「羊桃」と書きます.オシャレですね.
一年に何度も花が咲く!
スターフルーツは,調子が良いと年に2~3回花が咲きます.
複数の木を近くに植えておくと,かなり爆なりして,食べきれない程の結実をします.
栄養素や効能について
以下の表にスターフルーツ100gあたりの栄養素を示します.
栄養素 | 含有量 | 効能 |
---|---|---|
カロリー | 30kcal | 低い! |
カルシウム | 5mg | 骨や歯の形成 |
リン | 10mg | 骨や歯の形成 |
マグネシウム | 9mg | エネルギ代謝 |
鉄 | 0.2mg | 貧血改善 |
カリウム | 140mg | 高血圧予防 |
ナトリウム | 1mg | 体内の水分バランス |
ビタミンC | 12mg | 免疫力,老化防止 |
ビタミンB1(チアミン) | 0.03mg | エネルギ代謝 |
リボフラビン(B2) | 0.02mg | 脂質の代謝 |
ナイアシン(B3) | 0.3mg | 神経系,健康維持 |
パントテン酸(B5) | 0.38mg | 動脈硬化予防,ストレス緩和 |
ビタミンB6 | 0.02mg | 神経を正常に保つ |
ビタミンE | 0.2mg | 抗酸化作用 |
葉酸 | 11μg | 赤血球の生成・貧血改善 |
食物繊維 | 1.8g | 腸内環境を整える |
βカロテン | 74μg | 皮膚や粘膜の健康維持!免疫向上 |
スターフルーツは,カリウムやビタミンC,食物繊維が豊富ですね!
カリウムは,体内に余分に含まれるナトリウムの排出を促すので,血圧が高い方にオススメです.
また,ビタミンCは,肌の調子を整えたり,免疫力の向上が期待されています.
食物繊維のペクチンについて!
スターフルーツの食物繊維は100g中,1.8gと,フルーツの中でも比較的多い方です.
ペクチンと呼ばれる水溶性食物繊維が豊富です.悪玉コレステロールを防いだり,整腸作用や抗がん作用もあります.
プルーンにもペクチンが入っているよね!
(参考:鉄分が豊富は嘘である!水溶性食物繊維が豊富な「プルーン」についてとことん紹介)
スターフルーツの花について
スターフルーツの花は!?
写真は「オキナワクマバチ」だよ
スターフルーツの花はものすごく小さくて可愛いらしいです.花が咲く時には,20℃以上の気温が必要です.
数十〜百の小さい花が,複総状花序(ふくそうじょうかじょ)につきます.
複総状花序とは,花軸がいくつも分岐して,総状といってふさのように花をつけるものです.
スターフルーツは虫媒花によって結実しますが,長花柱花(Pin型)と,短花柱花(Thrum型)の二つの品種があって,上手く結果をさせるためには,この二つの品種を混植して育てる必要があるようです.
実際に,おいらもこの二つの種類のスターフルーツを植えて,果実を上手くつける工夫をしています.
上の写真は,長花柱花(Pin型)です.果実が長いです.
上の写真は短花柱花(Thrum型)です.果実が短いです.
花の生理について詳しく解説
スターフルーツの花は,雄しべと雌しべの長さが異なります.
雌しべが雄しべよりも長い長花柱花と,雌しべが雄しべよりも短い短花柱花の二種類がありますが,これを異型花柱性といいます.
下の図だと,左が長花柱花で,右が短花柱花です.
どちらも弊園地から採取した品種の異なるスターフルーツの花です.
一本では結実しにくいと言われているのは,こういった理由で,物理的に雄しべと雌しべの距離が離れているために,花粉が行き来しにくいのです.つまり,送粉昆虫の口吻(もしくは体そのもの)の付け根には長花柱花の花粉が,先端のほうには短花柱花の花粉がつくために,同一品種だけを植えていても,うまく花粉が行き来しません.
ゆえに,タイプの異なる系統の品種を導入すると,送粉昆虫の口吻の付け根についた花粉と先端についた花粉が,うまく品種間でクロスし結実するということです.
親近交配を避けたい
じゃあさ,,,人間も男性と女性,性別を分けずに,一個体だけで子孫が作れたらさ,,,超合理的だよね.
という発想が,スターフルーツの雄しべと雌しべの距離を近づけよう!ということを意味すると思います.つまり,自分自身の花粉で,受粉をしてタネを作ろうということがそれです.
大体の植物では,もちろん両性花(雄しべと雌しべを持つ花)を持つし,自分自身の花粉で受精する「自殖」を行うものも多いです.ただ,自殖で増えるものは,全体の10-15%,他の品種の花粉を必要とするもの(他殖)は40%以上もあるとされてます.残りは,「自殖」も「他殖」も両方行えます.
(The Evolutionary Enigma of Mixed Mating Systems in Plants: Occurrence, Theoretical Explanations, and Empirical Evidence)
短期的にみると,自殖の方が,子孫繁栄が簡単で,数を増やすことができて,お得に見えますが,ただ,長期的にみると実はマイナスがとても大きいのです.
只より高いものはないと言いますが,まさにそれですね.
僕ら人間もそうですし,生きているものは全て,コストを支払ってまで,オスとメスを分けております.もしくは「ある程度」生殖器官を離して,近い遺伝子による交配を避けているのです.
そうやって,オスとメスを分けてきた種が長期的に生き残ってきたという見方が正しくて,非常に強い近親交配は具合が悪いのです.
なぜ近親交配は具合が悪いのか?
「その場にとどまるためには,全力で走り続けなければならない」
鏡の国のアリスに登場する「赤の女王」が言ったセリフです.
つまり,生き残るためには,進化をし続けなければならないということです.
生物界ではよく「赤の女王仮説」と呼ばれるものですが,つまり「他の生物種との絶えざる競争の中で,ある生物種が生き残るためには,常に持続的な進化をしていかなくてはならない」というものです.
環境は目まぐるしく変化します.
朝がきて夜が来て,気温が変化し,空気が変わる.
毎日ちょっとずつ,しかし確実に変わります.その積み重ねを肌で感じるころには,この世界はすでに変わりすぎているのです.
周りは動き続けています.
そう,つまり,生き物がその場にとどまるためには,常に進化をして,その動く環境に適合し続けることが必須です.
では,どのように進化するのか?
なるべく遠い遺伝子を持つ父親と母親が子孫を残すことが大切.
生き物は,寄生者と宿主の関係があります.つまり,何かから栄養を取ったり,何かを利用して,自身の繁殖に努めます.
ここでは,分かりやすいように,植物や果樹を「宿主」側として.病害虫が「寄生者」側だと考えてみましょう.世界は寄生者と宿主で回っています.
寄生者は,特定の宿主を食べたり,感染したりしますが,宿主も全くの無防備であれば,全滅してしまうため,彼らに取り憑かれないような抵抗性を発達させます.
ただ,寄生者も食っていかないと存続できないため,世代更新をして植物の抵抗性を上回るように進化をします.大体の寄生者は,体も小さく寿命も短い.そうなると,世代更新の速度が早いため,驚異的な速度で進化するものも出てきます.つまり,植物や果樹らからすると,このような環境で生き残るためには,なるべく遠い遺伝子を獲得し,多様な子孫を残して,多様な形質を獲得し,寄生者の脅威に太刀打ちできるようにしておかなければいけないのです.
自殖をしやすくして,沢山の数を用意しても,ダメなのです.
生物界では,同じ多数の個体よりも,少ないが確実に違う個体がいることが大切です.
そのため,スターフルーツも,アボカドも,ホワイトサポテも,パッションフルーツも,アテモヤも,他の花粉を歓迎するような仕組みを導入しています.
(国産アボカド栽培者が,アボカドの系統や品種について徹底的に解説します!)
(【初心者編】ホワイトサポテ(シロサポテ)について解説.育て方の注意点など!)
生物というのは,多くの他生物との関わりがあり,それが脅威にもなるし,進化できるという側面があります.そういった性質が,スターフルーツの異型花柱性に示されていると考えられます.
異型花柱性を獲得していなければ,スターフルーツは今頃絶滅していたのかもしれない.そう考えると,雌しべと雄しべの長さのちょっとした違いが,スターフルーツの生存の明暗を分けたとも言えます.
ご存じのようにアボカドは,雌雄異熟という方法で,自殖を避けます.
異型花柱性ではないが,雌しべと雄しべが活動する時間をずらす.これがあるから生き残っているという見方が正しいのかもしれないのです.
上の図は,アボカドの開花ステージの違いです.
アテモヤも雌雄異熟で,先に雌しべが熟します.
生存のため,雄しべと雌しべは,物理的な距離を離す場合もあるし,距離は違うが,活動する時間帯をずらす場合もあります.もしくは,そのどちらも,,,というものもあります.念には念が入っているのです.
ドラゴンフルーツや,パッションフルーツなどは,自家不和合性と言って,自分の花粉では,そもそも受粉しないものもあります.
ホワイトサポテは花粉すらを持たないタイプがあります.
稀にモルツビーなどのような自殖性もありますが,やはり自殖よりは他殖を歓迎しているようです.
自殖は「近交弱所勢」という地雷を踏む
また,自殖はロシアンルーレットのように,たまにえげつないマイナスを含みます.
それが「近交弱勢(きんこうじゃくせい)」というものです.
wikipediaにものすごく的を得た回答があるが,それを借りると,以下のようなものです.
「劣性遺伝子という形で隠蔽されている有害遺伝子が、近親交配によってホモ接合化し、その有害な効果が表現形質として現れる。」
つまり,僕らのゲノムの中には,一つの遺伝子座に二つの遺伝子が共存したとき,形質の現れやすい「優性(もしくは顕性)」と現れにくい「劣性(もしくは潜性)」という表現を示します.
分かりやすく解釈すると,僕らはみな,なんらかの障害を表現する遺伝子は持っているんだけど,それが表には出てきていないというものです.優性遺伝として健常的な活動を可能にします.
ただし,自分の遺伝子だけで子孫を作ると,その隠れていた劣性遺伝子が,表に出てきてしまうよ,というものです.劣性遺伝が現れてしまうと,この世の中では障害という枠組みになるかもしれなくて,生き残っていくには都合が悪いということになります.
おそらく,アボカドのアルビノとかも,そういったもの(葉緑体が作れないという劣性遺伝)じゃないかなと思っています.
スターフルーツの葉は!?
葉っぱは,奇数羽状複葉(きすううじょうふくよう)といい,鳥の羽のようについていて,葉の枚数が奇数なのです.夕方になると,萎れてきます.
羽状複葉は,効率よく日光からエネルギーを得るための形なんだって!だからスターフルーツが鈴なりにたくさんできるんだね!すごいね!
スターフルーツなどの複葉は,かつて元々は単葉だったと言われます.以下の図のように,受光効率などを最大化するために,変容を遂げているのだと言われております.
また,スターフルーツの葉は,萎んでいることがよくあるのですが,アレは栄養状態が悪いのではなく葉の運動であることが多いです.
オジギソウのように,葉を畳むということがあります.また,オジギソウほど,葉を折り畳む速度は速くはないのですが,スターフルーツも接触刺激を受けると,20~30s程度かけて,葉を折り畳みます.
実際の葉っぱの詳しい運動の映像は,以上の動画を見ていただけると嬉しいです.
沖縄県が打ち出したブランドで美ら星というものがありますが,それは,長花柱花のカレーという品種のスターフルーツです.
ブランド化して販売しています.ちなみに,おいらたちもこのカレーという品種を扱っています.皮が薄く,そのまま食べれます.
酸味があまりなく甘くて美味しい品種です.
スターフルーツの原産!?
葉っぱは,奇数羽状複葉(きすううじょうふくよう)といい,鳥の羽のようについていて,葉の枚数が奇数なのです.夕方になると,萎れてきます.
羽状複葉は,効率よく日光からエネルギーを得るための形なんだって!だからスターフルーツが鈴なりにたくさんできるんだね!すごいね!
スターフルーツの生理的な特徴
スターフルーツは,温度条件さえ整うと連続して果実を収穫できます.
20℃〜32℃の温度では発蕾するのですね.沖縄では,年間2回収穫ができるとされていますが,3回取れたりもします.
ただ,受粉に関しては,花の品種の違いによって不和合性があるとかないとか,様々な報告があります.
米本さんが2012年に熱帯農業研究として執筆した論文(原稿はこちら)によると,短花柱花と長花柱花を交互に植えた方が受粉効率が良くなるとのことです.
交配実験の結果,異型交配では結実したが,同型交配ではPin型×Pin型のみで結実し,Thrum型の同型交配とPin型とThurm型の自家受粉では結実しなかったと報告している.しかし,水野ら(2010)は自家不和合性が欠落し,自家受粉する品種がPinとThrumの両型で見られたとも報告している.
論文からの引用
詳しくは,米本さんが執筆された報告書の方を読んでください!
スターフルーツの栽培で見かける害虫たち
スターフルーツを栽培していると,しばしば害虫の被害にあうことが多々あります.
おいらは毎日パトロールしてやっつけていますが,こんな虫たちがおります.
マメクロアブラムシ
葉っぱの裏側や果実にいますね.植物ウイルスの媒介虫となるらしいので注意が必要です.
ダイズ矮化病を引き起こす元になるようなことを聞いたことがあります..
コシロモンドクガ
かなり沢山います.圧倒的な繁殖力ですね.
2枚目のものは,その卵です.
沖縄にはスターフルーツに限らず,どこにでもいます.マンゴーやアテモヤなどでもかなり見ます.
小さいサイズから大きいサイズまで様々です.葉っぱや果実をとことん食べ尽くしますね.タイワンキドクガと比べて,毒は小さいようです.
タイワンキドクガ
熱帯果樹全般にてよく見かけます.
オレンジの一本線,両側の黒いこぶ,こぶ中の白い斑点が特徴です.
実はこのタイワンキドクガの幼虫は,毒針毛(どくしんもう)を持っていて,触れるとかぶれたり,痛みを伴う発疹がでるようなので気をつけてくださいね!
長袖,長ズボン,軍手,メガネ,首にタオルを巻いて作業をしてね!
美味しい食べ方
スターフルーツは熟す前の緑の状態と,熟した後の黄色〜オレンジの状態で,二つの顔があります.
緑の状態は酸味が強く,完熟するととても甘みが増してフルーツしてそのまま食べることができます.
緑の状態
緑の状態だと,ピクルスにしたり,サラダに添えたりします.
写真は,スターフルーツのピクルスです.ビンに詰めてカンタン酢につけて置いておくだけでできます.
前菜にどうぞ!
サラダの彩りとして食すことができます.
レタスと一緒にどうぞ!
オレンジの状態
星型の端の部分の皮をむき,そのままかじりつきましょう!
食べる前に冷やすとさらに美味しいです.
横に切って,星型を楽しみながら食べるのもありです.
サラダに添えたり,ケーキの上にトッピングしたり,様々な食べ方ができます.
フレッシュジュースにしても美味しいです!!いろんな食べ方をどうぞ!
ジューサーで絞った100%のスターフルーツジュースです!
また,完熟のスターフルーツを使ってブランデー果実酒も作ってみました!
(参考:ブランデーで作ったスターフルーツ酒がかなり最高でした!)
出荷できなくなった形の悪いものなどで作っていますが,かなり美味です!
「糸満フルーツ園 けんちゃん」ではスターフルーツの販売をしていますので,気になる方はぜひご注文くださいね!
販売ページはこちらです.