インドナツメについて.生理的側面,栽培方法など.
この記事のポイント
  • クロウメモドキ科ナツメ属!
  • インドナツメの棘を除去する「エイジング」方法!?
  • 水の管理が大事である!

けんゆー

ハイサーイ!


けんゆー

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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は,インドナツメについて解説していきたいと思います.
あまり知られてない果実ですが,実はかなり美味しいのですよね.
熱帯果樹が好きな方でしたら,知っていると思いますし,沖縄では実際に栽培をしてるという人も多いと思います.

今回は,インドナツメの基本的なこと,生理的側面,果実や花,そして栽培方法について網羅的にシェアしていきたいと思います.
栽培されてる方も,これから栽培をしてみたいと思う方もご参考にしてください.
動画の方でも解説してますので,ぜひ気になる方はご覧ください.

インドナツメの基本的なこと.

インドナツメの学名は「Zizyphus mauritiana Lam.」と言います.
クロウメモドキ科ナツメ属に当たりますね.
元々,和名のナツメというものは,季節の夏に入ると芽が出てくることから「ナツメ」と呼ばれるようになりました.

ナツメ属(Zizyphus)には,多くの種がありますが,主要な果樹とされてるのが2種あります.
一つが,このインドナツメで,もう一つは,シナナツメと呼ばれるものです.
両者はとても似ていて,かつては同種とされていたこともありますが,現在は,違うものとされてます.

両者の決定的な違いは,インドナツメの葉裏や葉柄(葉の一部で,茎や枝につないでいる細い柄の部分),または新梢にある細かい白い毛がありますが,シナナツメにはそれがありません.

原産は!?

インドナツメの原産は,インドやミャンマーあたりであるとされます.

けんゆー

名前がついてるくらいだからね!


現在,インドナツメは,世界的に分布し栽培されておりますが,インドでの栽培が最も盛んです.
インドでは,インドナツメの栽培が既に2500~3000年前から行われており,現在も莫大な面積で栽培がなされております.
インドでは,栽培面積約1万haにも達すると言われており,栽培地は北インド一帯やインド半島南東部で盛んということです.

また,インドのお隣バングラディッシュ(バングラデシュ)でも野生種がみられますが,栽培も盛んです.
熱帯の果樹(農林水産省 国際農林水産業研究センター)」の書籍では,栽培面積は,1100haにも及ぶと見積もられてます.

木の特性

インドナツメは,常緑の果樹で,樹冠がとても広く開張したような格好をしてます.

けんゆー

常緑というのは,樹木が一年中落葉しないで常に緑である樹木だよ.また,樹冠というのは,樹木の上部で葉が茂っている部分のことだよ.


枝が分岐しやすく,ジグザグに進み,先端は下垂します.
枝がジグザグに伸びるので, 開張したような見た目になるのですね.

棘がある!

また,葉腋(ようえき:葉と茎の間)から棘が1〜2本あります.

けんゆー

棘がない,もしくはかなり短い栽培品種もあります.


この棘は,もともと托葉(たくよう:双子葉植物に多くみられる葉っぱの基部にある小さい葉.)から変異したものだと言われます.
インドナツメは果樹の中でも,極めて変異が多いというのが特徴で,品種も多くありますが,形状や特質が変わったものが多いです.

この棘が作業をするときに邪魔になります.
僕も,何度も棘に引っかかって,作業着の袖が破れたこともあります.

棘を無くす処理として,柑橘栽培ではお馴染みのエイジング処理というものがあります.
これは,株の先端の枝を穂木として使い,同一株の根元付近を切り返して,これに接木をするというものです.
例えば「べにばえ」などの棘のある品種は,このエイジングによって棘を軽減させることが可能ですが,インドナツメもこのようなやり方で,棘を小さくすることができると言われますが,既に棘なしの品種があるので,それを接木するのが,早いと言う側面もあります.

葉の特性

葉の形も,円形ですが,ちょっと長い円形やほぼ円形などと変異が多いです.
長さは4~8cm,葉っぱの裏には,白く見える短毛があります.

花の特性

花は,とても綺麗な星形の小さい花が咲きます.
葉腋から出てくるのですが,極めて短い集散花序という形態で複数の小さい花が咲きます.
沖縄県での開花は,大体8~10月ごろ,果実収穫が,1月~3月ごろです.
ただし,熱帯地域の国や,台湾などでは,剪定にもよりますが,年に2回開花します.
8~10月ごろだけではなく,4月~5月にも開花が見られてるということです.

けんゆー

乾季の終わり頃,季節が変わる時に,花が咲き始めることが多いです.

花は,両性花で,虫媒花です.
虫による受粉が必要になります.
自家受粉が可能な品種もありますが,自家不和合性の品種も存在します.
開花するのに,全く果実がならない!という方は,もしかしたら,他の品種と混植をした方がよい場合もあります.

果実

果実は,円形から楕円形,長円形,卵型など,品種によって様々です.

先端が若干細まるものもあります.
100gを超えるものもありますが,基本的には,数10gと小さいので食べやすいです.
果皮は,緑色ですが,若干白みがあったり,黄色みがあったりします.
果皮はとても薄く,剥いて食べるというよりは,洗って皮ごとそのまま食べます.
皮の苦さはなく,気になりません.

果肉は,白いです.
りんごや梨の風味に似ると言われます.
収穫が早いと淡白な味ですが,しっかり樹の上に置くと甘味と酸味があり,とても美味しいです.
シャリシャリっという少々硬めの食感がまた美味しいです.
熱帯果樹の栽培(農文協)」の書籍によると,石垣島の露地栽培で糖度18程度の果実ができたということで,品種によっては,高糖度のものがあります.

果肉の内側には,一個の種子が入ります.
表面が凸凹してます.種子を割ると観察できますが,種子の内部は二室に分かれます.
ただ,胚が入ってないものが多いので,そういった品種は発芽しないことが多いということです.
そのため,実生苗は,野生種などを播種し,その後,優良品種の接木をするというのが一般的です.

栽培に関して!

インドナツメを栽培してみたい!もしくは既に栽培をしてるよ!と言う方向けに栽培に関する内容もシェアしておきます.
生育適温は20~30℃です.比較的耐寒性がある果樹だとされており,霜が降りない場所では,越冬も可能です.
成木は,0℃程度の低温には耐えると言われますが,ただ,長期にわたって低温が続くと,越冬の対策をした方が無難だと言われます.
ある程度主幹を切り返して,不織布や断熱材などで覆ってください.

樹勢は!?土壌は!?

樹勢はとても強く,一年で大きく成長します.
土壌は,排水性通気性の良い土壌が最適ですが,多くの環境に適応するとも言われます.
例えば,地下水位の高い場所は,乾燥地でも育つと言われます.
耐塩性も高いので,沿岸部でも栽培が可能です.

仕立て方は!?

おすすめな仕立て方は,やはりブドウのような棚仕立てです.
自身の身長の高さで無理のない場所に,棚を設置し,そこに主枝を這わせます.
後で詳しく述べますが,インドナツメは,毎年強剪定をして,毎年主枝をその棚に這わせて栽培をする,と言う繰り返しが推奨されます.

水管理

インドナツメは,とても樹勢が強く,枝が伸びながら,花芽も分化し,開花するという特徴があります.
ゆえに,花芽分化時に肥料が多く聞きすぎたり,水をやりすぎたりすると,枝ばかりが伸びて花が咲かないということがあります.
そのため,枝がある程度伸びると,水を切り,乾燥ストレスと与えてあげると花が咲きやすいと言われます.
露地ではコントロールが難しいので,雨避け栽培が求められます.ハウスや鉢などで栽培されてる方は,その点注意です.
花が十分咲いた後に,かん水量は増やしましょう.

また,果実が成熟する時期も,やや乾燥気味にすると糖度のりが良くなります.
開花結実期はかん水をしないと,結果不良が起きますが,果実がある程度大きくなり,成熟する段階では,やや乾燥させると良いです.

育苗について!

インドナツメの増やし方についても解説します.
インドナツメは,種からの実生繁殖や,接木挿木取り木が可能です.
ただ,最も一般的になされている方法は,取り木かなと思われます.

実生苗に関しては,やはり発芽しても変異が大きいので,接木がなされたりします.
ただ,いくつかの園芸品種では,野生種との接木不親和性も確認されております.

インドナツメの最も大事な作業は剪定

収穫が終わる頃は,大体3月下旬or4月になると思いますが,その時に剪定を行います.
ここで肝心なのは,インドナツメは,毎年「強剪定」をした方が良いとされます.
樹勢がものすごく強いため,強剪定をしても,また一年後には枝が伸び,花が咲き,収穫までできます.

ただ,強剪定をすると,多くの枝や葉がなくなり,樹上の貯蔵養分が失われます.
そのため,施肥とかん水を気持ち多めに必要になります.
施肥量は,「熱帯果樹の栽培(農文協)」を参考にしてください.
樹齢別に,窒素-リン酸-カリウムのおおよその施肥例が載っております.
軽くご紹介しておくと,年間一本の木あたり,1年生の木で,硫安が0.9kg(窒素分),過リン酸石灰と硫酸カリがその半分程度の量ですね.
本書によると,年々,少しずつ増えていきます.

品種

以下は,台湾で作出された品種「大里」という品種です.
お友達からいただきましたが,とても大きくて驚きました.

味質も上品な梨のようでとても美味しかったです.
娘にもすりおろしてあげました.

ということで,今回は,インドナツメの基本的なことや生理学的なこと,木や花,果実の特徴,そして栽培方法などについてご紹介させていただきました.また,お隣の畑の金城幸栄さんが毎年立派なインドナツメを作っており,youtubeの動画の方でも公開しております.
そちらの動画の方もとても楽しいと思いますので,お勧めしております.