カミキリムシ対策!キンチョールの効果
この記事のポイント
  • イチジクを加害するクワカミキリの被害解析.
  • ペルメトリン・エアゾールによる適切な防除方法.
  • 防除効果と残留基準値についても把握.

けんゆー

ハイサーイ!


けんゆー

記事リンク付きの感想ツイートなどは掲載される可能性あり!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

今回はイチジクによく入る「カミキリムシの被害解析とキンチョールの効果」をお話ししたいと思います.イチジクによく入る虫「カミキリムシ」厄介ですよね.イチジク以外の果樹でも多く入るのですが,やはり多くの果樹生産者さんや家庭菜園をされている方を悩ましているのだと思います.
僕もイチジクのことを話してると,コメント欄の方で「カミキリムシについてお願いします」と言われたので,今回は,学術論文を探してみて,面白そうなものがあったので,報告します.

今回は,カミキリムシが,イチジクにどう被害を及ぼしていくのか?そして,キンチョールの効果をお話ししていきます.防除には時期が大事なのですが,いつやれば効果が高いのか?などもお話しします.

参考にする文献.

今回参考にする文献はこちらです.
イチジクを加害するクワカミキリの被害解析並びにペルメトリン・エアゾール剤の防除効果と作物残留」です.こちらは,1999年に,兵庫県農業技術センターさんから執筆されました.
インターネットで無料で読めますので,ぜひ原本を読んでくださいね.
今回の記事では,ざっくりとエッセンスの部分を紹介していきます.

カミキリムシの被害から!

本文献を参照すると,イチジクを加害するカミキリムシは,4種存在するようですね.

  • キボシカミキリ(Psacothea hilaris
  • クワカミキリ(Apriona japonica
  • マダラカミキリ(Anoplophora malasiaca
  • シロスジカミキリ(Bαtocera lineolata).

と言うことですが,兵庫県では,キボシカミキリとクワカミキリの被害がとても多いとのことです.

それぞれ,被害部位が異なり,キボシカミキリの産卵は,主幹と主枝部に多くみられ,孵化幼虫が樹皮の比較的浅い位置に生息しているため,既存の登録農薬の散布で防除が可能であると報告されてます.
こちらの記事1999年に記事には,ジメトエート乳剤の散布と記載がありますが,使用する際には,ご自身できちんと調べてください.自己責任で使ってください.

一方で,クワカミキリの産卵は,直径2cm程度の新梢に多いということが言われております.
カミキリムシの種類によっても,産卵場所が異なるのですね.
本文献中にわかりやすい図が紹介されていたので,こちらでも引用させていただきます.

クワカミキリの産卵は,主に一年生の枝に図のように卵を産むことが紹介されております.
このクワカミキリの既存農薬の散布に関しては,新梢に入るため,農薬が果実にかかってしまうため,困難であることが言われおります.また,散乱された場所をキリ等で刺殺するか,木槌などで叩き圧殺する方法も紹介されてますが,こちらの方法も,木に大きな傷が入りやすく,実用性の観点からよろしくない場合が多いと報告されてます.

そこで,本研究では産卵場所への園芸用キンチョールEを紹介しており,この効果を検証してます.
こちら正式名称を「ペルメトリン・エアゾール剤」といい,家庭園芸用に販売されているものですね.

キンチョールは効果があったのか!?

結論から言うと,キンチョールの効果は大きく,ほとんどの幼虫を駆除することに成功してますが,実は時期がものすごく大事です.時期が遅れてしまうと,ほとんど防除できなかったことを報告してます.

適切な時期は!?

この研究では,9月下旬の生育期と12月下旬の休眠期に,それぞれ,キンチョールを試したのですが,なんと9月の処理では,キンチョールを使用してから2日後には94.7%,7日後には100%の防除ができてます.

しかし,12月の休眠期に殺虫率41.7%と,約6割の虫は駆除できなかったことを報告してます.
なぜそのようなことが起こったのかを深掘りしていきます.

9月の方が効果が高い理由.

9月の方が,効果が高い理由としては,

  • カミキリムシの孵化幼虫の日数が浅く,幼虫の薬剤感受性が高い.
  • 産卵された場所から10cmしか進んでいないため,薬剤が届きやすい.
    (食入孔(ショクニュウコウ)は5mm程度で,10cm進んだことになると,必要な薬剤は2mlになる.)

と言うことでした.

一方で,12月の休眠期の防除に関しては,効果が低かったのですがこの理由としては,

  • 幼虫が老齢になり,薬剤に対する感受性が低くなっている.
  • この時期は,産卵場所から50cm移動していたので,薬剤が届かなかったと考えられる.
    (食入孔は8mm程度で,50cmだと,必要な薬剤は25mlとなる.)

キンチョールの場合は,食入孔へ注入するため,薬剤の飛散よる薬害がなく,さらに9月の処理だと,薬剤の量も少量ですみ,経済的であると考えられます.
本文献では7月から効果があると言われておりますが,その時期は,カミキリムシの産卵時期でもあります.そのため,一斉処理により効果が高いのは9月だと言われております.

また,本研究では残留農薬もきちんと算出されておりますが,基準値を超える農薬は検出されてないことを報告してます.僕ら無農薬栽培なので,キンチョールを使ったことがないですが,ぜひ,試してみたいよ!と言う方は,適切な方法と効果の高い時期を守って使ってみてください.

この記事を読んでいただいた方は,以下の記事もおすすめです.