沖縄県の街路樹でよく見かける「ビロウ」とはどんなヤシ?
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けんゆー

こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.


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本日は沖縄県の街路樹にもよく植えられているヤシ「ビロウ(Livistona chinensis」について解説をしていく.
名前の通り,ビローッと垂れる葉っぱが特徴的で,沖縄県の公園や街路樹,海辺など,多くの場所で生えている.
沖縄の言葉では「クバ(久葉)」とも呼ばれる.他にも,ホキ(蒲葵)や古い名前でアジマサ(アヂマサ)と呼ばれることもある.

ビロウとは!?

学名は Livistona chinensis である.
原産は,中国から琉球(日本),台湾などの東アジアである.本土では,九州の宮崎県や鹿児島県に自生がある.単幹性のヤシであるが,葉が扇状に広がり周囲に大きく感じる.

ビンロウと名前が似ているので,混同されることもあるが別種である.

沖縄県では,乾燥させたビロウの葉を用いて,笠や扇,カゴなどを作る習慣がある.

上の写真は,ビロウ(クバ)の葉で作ったカゴ.
クバ笠や扇などは,撥水性もあり,さらに風通しもよいということもあり,かつては材料として重宝されていた.

かつての平安時代の王朝では,何よりも神聖的に扱われていた植物で,公卿(太政官の最高幹部)の牛車の屋根材などにも活用されている.大きな葉は身分の高い方の乗り物の屋根材となっていたようである.

現在,自生地の宮崎県青島と高島,鹿児島県の枇榔島の群落は,天然記念物に指定されている.

また,沖縄県の伊平屋島にも,ビロウがたくさんなる久葉山があり,県指定の天然記念物となっている.
至る所にビロウが生えているという.

形態的特徴など

幹の高さは2~5m程度,環境の良い場所だと10m以上にもなる.基部が太い.葉は1m程度で掌状形である.葉柄は1.8 m程度.

花序は1〜1.2 mで,3つの順序に分岐し,6つまたは7つの部分的な花序がある.雌雄同体の花は、4-7のクラスターで,白または黄色,2-2.5 mmの花が咲く.果物は緑または青緑色,球状から楕円状または洋ナシ型,1.5-2.6 x 0.9-1.8 cmの小さなサイズである.
果実は,鳥や他の動物などによって広がりやすい.発芽は容易.

以上の写真は,2024年2月19日 沖縄県の豊見城の街路樹として植えられているビロウを撮影したものである.

侵略性の概要

ビロウは,観賞用として利用するために,世界の熱帯および暖かい温帯地域に広く導入されているヤシである.ただし,栽培だけではなく,人の手が入らない自然地域でも帰化している.

ビロウは,大量の果物を生産し,発芽率が高い.葉も大きく広がり背丈も大きくなるため,多くの在来種が影になってしまうリスクがあると指摘されている.現在,ハワイ,フロリダ,バミューダ,モーリシャス,レユニオン,ニューカレドニアで侵略的としてリストされている.