イチジク(Ficus carica)の樹勢衰弱の原因とは?いや地の理解.
この記事のポイント
  • イチジクが急激に枯れる原因は!?
  • いや地とは何か?
  • いや地の原因と私たちが気をつけるべきこと!

けんゆー

ハイサーイ!


けんゆー

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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

今回は,イチジクの忌地についてお話ししたいと思います.
前回,イチジクについての基本的な内容を書きましたので,ご覧いただけたらと思います.

今回お話しさせていただく「忌地」に関しては,イチジク栽培をされてる方はとても困っていることだと思いますし,これからイチジク栽培をする上で必要な理解であるとも思います.
このラジオでは,学術論文をもとに,忌地についての理解と,イチジクの生育阻害要因について深く理解することを目指します.

イチジクいや地圃場における生育阻害要因

けんゆー

写真は,桝井ドーフィンだよ!

今回参考にさせていただく論文は1998年に大阪府立農林技術センタからでた論文です
タイトルが「イチジクいや地圃場における生育阻害要因」というものです.

忌地とは!?

イチジク(Ficus carica L.)は,特に「いや地」に対してとても被害の多い果樹だと言われております.

忌地(いや地)とは!?

同一または分類学的に近縁な種類の作物を連作した場合,作物の生育が悪くなり,収量が減少もしくは皆無となる現象を言います.
忌地の原因は十分に解明されてはいないが,いくつかの要因が複雑に影響しあっていることが多いと考えられております.その要因として例えば,

  • 土壌中の特定の養分の消耗
  • 病原菌や線虫
  • 害虫の蔓延(まんえん)
  • 作物の根からの生育阻害物質の分泌
  • 残根中の毒素
  • 土壌の物理性の変化

などがあげられています.

例えば,普通種(夏秋兼用種)と言われる「桝井ドーフィン」の場合,新しい土に定植しても数年で樹勢衰弱が始まり,15年から20年で経済栽培が困難になる場合が多いと言われております.

樹勢衰弱の他にも,日本植物病理学会からは,株枯れ病や紫紋羽病(むらさきもんぱびょう),白紋羽病,白絹病などが,イチジク根部から発生する病気だと言われていますが,これらも,忌地現象によって生じる可能性も高いとされてます.

この場合の対策としては,大規模な客土(他所から土を搬入してくること)をするか,水稲などのような他の作物に一旦転作をするなどのことがなされることが多いです.一度,木が衰弱すると,新しく植え替えを行なっても,木の樹勢は戻らないということが言われております.

また近年では,いや地に対する抵抗性台木などを活用したりと接ぎ木による苗も検討されているのだと感じます.また,この辺りはおいおい,学術的な内容を紹介していきます.

忌地の原因は何なのか!?

忌地の原因に関してですが,現在色々と推察がなされておりますが,

  • イチジク自身から出る物質が毒性を示し,イチジクのみならず多くの植物の生育を阻害する.これは,一部同定されていて,プソラレン(Psorarene)及びベルガプテン(Bergaptene)と呼ばれる毒物質.
  • ネコブセンチュウによる被害.サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)によるもの.樹勢の弱ったイチジクの根を観察すると,ネコブセンチュウの寄生によって根粒と呼ばれる粒が見られることが多い.

などと言われております.

今回,紹介した文献では,ネコブセンチュウとイチジクの関係を調べたもので,もちろん,ネコブセンチュウの有無によって,イチジクの生育が阻害されることが示されました.ただし,ネコブセンチュウが元々いた土壌から,ネコブセンチュウを死滅排除したのちの土壌でも,生育阻害は軽減はされただけで,根の生育や新梢の生育が劣ることが示されています.また,挿し木の活着率も悪いです.

本論文では,忌地土壌と呼ばれるものはやはり,ネコブセンチュウ以外にも強い生育阻害の要因が存在することを認め,この要因はやはり何らかの病原微生物由来する可能性が高いことが示唆されております.また,水溶性の毒物質などに関する不確かさも残っており,多くの要因がイチジクの生育阻害になり得ることが言われております.

気をつけることなど!

気をつけることなどは,まずは,イチジクが忌地による被害が著しく出る果樹であることを理解することが大事です.購入した際には,植え付けの際などに根っこをしっかりと確認することも大事です.ネコブセンチュウなどは根粒が確認されるので,これを見逃さないことですね.購入先も,個人間売買などは特に気をつけるとして,しっかりとした信頼のある場所から買うこともおすすめです.

イチジクは挿し木で容易に増えるので,畑の土の隅で増やす方も少ないかと思います.
それを鉢上げして販売される方も予想できるので,そうなると,やはりセンチュウ被害などが生じる可能性があります.僕もこの辺はかなり気を付けております.

ということで読んでいただきありがとうございます.
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