イチジクの葉が急に落葉する新病気が見つかった．

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こんにちは．
本日はイチジクの葉が急激に落ちる新病気の話をシェアしたいと思います．
これまで，イチジクの学術的に理解されてる基本的な生態の部分や，糖度を上げる栽培方法や，忌地の話など，取り上げてきました．まだお聞きでない方は，概要欄から覗いてみてください．

本日紹介するものは，2018年のかなり最近報告された文献で，病気自体もかなり新しいように思われます．イチジクの葉が急激に落葉する症状が出ている方は，ぜひ今回紹介する文献に目を通していただけたらと思います．イチジクの栽培をしてる方や，これから始めてみたいと思われいている方のご参考になれば幸いです．

今回紹介する文献．

今回紹介する文献は，2018年に書かれたものです．
九州病害虫研究会報と言う雑誌より，福岡県農林業総合試験場さんから文献が出ておりますね．
タイトルが「イチジクで発生したLasiodiplodia theobromaeによる落葉病（新称）」と言う文献です．

本書で紹介されているのは，落葉病と言う新しい病気です．
これまで，落葉病という病気はなかったのですが，この論文で初めて「イチジク落葉病」と呼ばれました．この落葉病を誘発するのは，Lasiodiplodia theobromaeという菌の一種なのですが，国内による本菌の病気はこれまで報告がなかったものです．

病気の症状

この病気がどのようなものなのか，というのを紹介したいです．

・初めて報告されたのは，福岡県．2016年5~6月．

・イチジクの葉が急激に落葉する症状が出る．

・しかし，落葉した葉っぱや．葉身の部分には，褐変や黄化はない．

・葉柄（付け根の細くなった部分）付近の内部組織の一部が褐変してる．

・菌を分離して調査した結果，Lasiodiplodia theobromaeという菌であり，この菌の生育温度は15~40℃，生育適温は30℃である．

ということです．
初めて報告されたのは，福岡県ということですが，実は福岡県はイチジク栽培において，栽培面積が全国2位なのですよね．イチジク自体が西日本を中心に栽培されているということもありますが，イチジク栽培の主要な県で見つかった病気になります．

福岡県では，主に「蓬莱柿」と「桝井ドーフィン」，「とよみつひめ」の3種が主に作られておりますが，今回は「蓬莱柿」で，症状が出ているということですね．
さらに，施設加温栽培ということです．この菌の生育適温が30℃ということで，5~6月にかけて症状が現れたということですね．

この菌にかかると，園内全ての木が多かれ少なかれ落葉の症状が現れるということですね．
落葉は2~3割程度だということです．枝に残された葉も，手で触れると容易に脱落したと報告がなされております．

本文献では，落葉した葉も，痛々しい感じの弱っている感じではなく，結構葉っぱとしてまだまだいけるかな？という感じのものだったので，驚きです．
白黒写真が添付されてましたが，おそらく緑色のままで，本当に人為的に葉っぱを摘み取ったのかな？と思わせるほどの状態でした．

今回の病原菌のLasiodiplodia theobromaeというのは，元々熱帯果樹を宿主としております．
国内では，マンゴーにも厄介をかけるもので，軸腐れ病を発生させたり，カカオの果実腐敗病を起こさせたりというものですが，ここにきて，イチジクにも本病気が罹るということですね．

今回報告されたものは，とても最新のものなので，対策などはまた僕もこれから調査してはみますが，ぜひ皆さんも分かることがあれば，ご共有いただけたらと思います．
おそらく，マンゴーの軸腐れ病の対策を参考にするのかな？とも思いますが，この辺はまだはっきりとは分かりません．

温暖化の影響も懸念

最近は，温暖化の影響もあり，柑橘などもそうですが，これまで作れた果樹が作りにくくなったりしております．柑橘の場合は，浮皮の問題などが顕著ですが，その他果樹でも多くの病気が出てきてもおかしくないのですね．ただ，大事なことはまずは知ることかなとも思います．そして，情報共有，これに尽きると思います．僕もイチジクは趣味程度でにちょこっとで，大規模にはやってませんが，信頼のある文献のデータを共有しながら，情報共有させていただきます．

最後まで読んでいただきありがとうございました．
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