- イチジクの挿木の成功率のあげ方!
- ポイントは黒マルチとビニール!
- 活着率やその後の成長度合いも大きく向上!
ハイサーイ!
記事リンク付きの感想ツイートなどは掲載される可能性あり!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
本日は「イチジクの挿木」について科学的に現在明らかになっている事実をとことん紹介します.
この記事では,現在の学術的研究から得られた知見,成功するやり方,メカニズム,そして数値の部分を共有したいと思います.ある程度,挿木や果樹栽培に関する素養があって,かつ,深いところを知りたい!といういう探求意欲の高いあなたに向けた記事になっております.
参考にした論文
今回参考にさせていただいた論文は2013年に,千葉県農林総合研究センターさんが書かれたイチジクの挿し木の研究ですね.タイトルは「イチジク挿し穂の活着と生育に及ぼす挿し木床及び挿し穂の温度と水分の影響」です.こちらの論文,非常に面白かったです.
これからイチジクの挿木をやりたいと思っている人にもおすすめできますが,これまでイチジクの挿木を既にやっている人にも新しい発見があるかと思われます.
この研究では,二つの実験をしてます.
一つは,挿木をする時のマルチ,もう一つは,挿し穂にまくテープやロウ,この辺の実験を経て,どのようなやり方が効果があったのか,またなぜ効果があったのかを解説してます.
黒ポリマルチで,萌芽日数が半減!
一番衝撃的であったのが,「黒ポリマルチ」の利用です.
こちら衝撃です.
結論から申し上げると,黒ポリマルチを活用するとなんと,挿木の活着率はかなり上がり,そしてマルチをしてないところと比較すると,萌芽するまでの日数が,二倍以上の短縮されたという結果を報告してます.また,芽が出たあとの生育も雲泥の差です.
まずは,実験結果をご覧ください.本論文から引用させていただきます.
衝撃ですよね.
今回の実験では,3つの方法で,挿し穂の萌芽日数,そして活着率,そして苗木の生育度合いを示してます.黒ポリをしたところは,平均36日で芽が出てきました.対する無処理区では78日,また,活着率も70%で,10本中3本は活着しないという実験結果になっております.
そして,極め付けは,苗木の成長度合い,見てください.2倍以上大きくなっております.
また,一方で藁を使ったマルチですが,何もしないよりは良好なものの,黒ポリを活用したものに比べては,劣っておりますね.ただ,活着率は高いという結果になりました.もしかしたら,この辺の活着率などは,再度実験などをすると,多少の変化はあるのかもしれないですね.
ただ,このような魔法のような挿木の方法があるよ!と話をさせていただくと,うちの圃場ではやってみたがそうならない!とか,36日で萌芽しないじゃないか!とか,たまにコメントが入るのですが,やはり栽培環境,品種,樹齢などにも左右するものがあるので,参考にする!という立ち位置で話を聞いてください.
この記事を日頃読んでいただいてる方は,果樹栽培リテラシーが高いので,そういう意見はあまりないですが,たまに一部の人が攻撃的で,反応に困ってます.
また,論文も共有してるので,実際に読んでください.
以下,なぜそうなるのか?をざっくりと解説します.
なぜそうなるのか!?
本論文で,なぜ黒ポリマルチが良好な結果を得られるのかという考察がなされておりましたので紹介します.まず,黒マルチをすることで,地温が高く保たれたことが良い結果をうんだと言います.
イチジクは,初期生育を促進するために,気温のみではなく,地温を上げることが有効であると言われております.そのため,黒ポリマルチがうまく機能したのだと考えられます.実際に,本論文では,その時の温度推移や,土壌水分の推移があるのですが,確かに,黒マルチは,かなり地温の上昇に効果があります.
次に,挿し穂の乾燥防止としてまく,資材についての実験です.
テープの方が良好
挿木を行う際は,挿し穂が乾燥しないように,切り口などに何らかしらの処理をする方が多いと思います.
本実験では,2種類の方法「テープ」と「ロウ」を調査しました.
結論からいうと,テープの方が優れているという結果になりました.
テープというのは,ニューメデールですね.パラフィルム系の素材です.
ろうは,蝋燭のろうですね.
どういった資材が良いのか,結論から申し上げると,テープの処理の方が,萌芽日数も短く,活着率も高く,その後も成長も良好でした.
実験結果も論文から引用してご紹介いたします.
原本は,概要欄からご覧ください.
なぜテープがよかったのか!?
なぜテープがよかったのか?ですが,テープの方が挿し穂の含む水分率が高いということがわかりました.テープの方が,乾燥しにくいのですね.
挿し穂の水分含有率を高めることによって,発根や新梢の発生が促されたのではないかと推察しております.また,ろうを使ったものよりも,テープを使った方が,挿し穂の日中の表面温度も高かったことがわかり,この挿し穂の温度上昇が挿木を良好なものにしたと言われてます.
いかがだったでしょうか.
イチジクは,挿木の成功率が高いので,気にせず処理をせずにやってる方も多いと思いますが,ちょっとした手を加えることで,活着率や,萌芽日数の短縮,そしてその後の成長などがより良くなることがわかりました.すごいですね.