パッションフルーツの水やりの話.
この記事のポイント
  • パッションフルーツの水やりの量や頻度.
  • 果実の品質などを向上させるための管理方法.
  • 乾燥ストレスを与えるタイミングで質が変化する.

けんゆー

ハイサーイ!


けんゆー

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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

今回は「パッションフルーツの水管理」のことについて共有したいと思います.
水管理,土壌の水分の管理はとても難しいですよね.
この土壌水分というのは,ほとんどの果樹で,樹体の生育や果実の品質などに大きく影響されます.
水のあげすぎも実は,あまり良くなくて,過剰な土壌水分は,通気不良になり,根っこの呼吸が阻害されます.その結果,根腐れを引き起こす原因になります.

けんゆー

毎日水をたっぷりあげて,手をかけて枯らすってちょっと残念ですよね.


また,過度な乾燥ももちろん良くないです.
こちらも光合成が上手くいかず,樹体の生育不良や,葉や果実が萎んだりします.
光合成は水が必要ですね.

そのため,適度な乾燥状態も与えつつ,水分も与えることになるわけです.
今回は,パッションフルーツの適切な水管理について,学術論文をもとにシェアしていきたいと思います.

適度な乾燥タイミングが必要.

今回紹介する文献は,2018年,鹿児島大学から出された文献です.
タイトルが「水分管理がパッションフルーツの樹体生育および果実品質に及ぼす影響」ですね.
筆頭著者は島田温史さん,セカンド著者が冨永茂人先生,もう人方が山本雅史先生ですね.
最近では,冨永先生とよくお話しさせていただいております.この前もZoomで盛り上がりました.

本文献による実験より得られた結論から申し上げると,「土壌の過剰な湿度や乾燥は,生育は良くないが,ただし,一時的な乾燥ストレスは,結実率や果皮の着色などを向上させる」ということが報告されました.

乾燥させる時期,タイミングが重要であるということですね.

今回の実験に関する情報

今回の実験に関する情報をお伝えします.
今回は,鹿児島大学の無加温ビニールハウスで「サマークイーン(P.edulis × P. edulis f. flavicarpa)」という品種を用いました.一年生の挿木苗です.

けんゆー

サマークイーンも美味しいですよね,よく出回る紫色の品種です.

8号鉢で,用土が,黒土,ぼら土細粒,ぼら土中粒,バーミキュライト,牛糞堆肥,バーク堆肥,苦土石灰,ようりん,チアメトキサム粒剤を混合した用土を活用してます.

二年間実験をやっていて,一年目は,乾燥区,標準区,湿潤区の3つの試験区を設定して,それぞれ15鉢ずつ管理しました.試験は5月2日から8月15日までの約3ヶ月10日間です.
この間,水を与える回数は同じにして,水を与える量を変えてます.
乾燥区では一回,250ml,標準区では500ml,湿潤区では1lの水をそれぞれあげてます.
灌水回数は,5月17回,6月に21回,7月に25回,8月に12回です.

けんゆー

大丈夫でしょうか!?

2年目は,4つの試験区を用意しました.
標準区,前期乾燥区,後期乾燥区,全期間乾燥区です.
こちらも,灌水する回数は同じだが,量は調整してます.
標準区は一回の灌水に500ml,乾燥処理は250mlです.
前期乾燥区は,試験開始から着果後約20日まで乾燥処理で,それ以降は標準です.
すなわち,前半は水の量を少なくしてるというものですね.
一方で,後期乾燥区は,試験開始から着果後約30日までは標準処理で,それ以降は乾燥処理です.すなわち,前半は水の量が多く,後半は水の量が少ないのですね.
全期間乾燥区は,ずっと250mlのままです.
各月の灌水回数は,5月に17回,6月に15回,7月に26回,8月に18回です.

けんゆー

試験区が頭に入っていなかったらもう一度お聞きくださいね!

結果について!

結果については,本文献の一部を引用しますが,具体的に知りたいという方は「水分管理がパッションフルーツの樹体生育および果実品質に及ぼす影響」という本文を確認してくださいね.インターネットで無料で見れます.

まず,湿潤区では,樹体生育が抑制されて,結実率が低下したことを示してます.
水のあげすぎは毒ということですね.
具体的には,7月以降に光合成速度が著しく低下して,葉の黄化や根腐れが確認されてます.根のデンプン含量が低下し,果実成熟日数も他の処理区と比較してとても短いという結果になりました.

けんゆー

水,毎日1l近くあげてる人はいませんか?大丈夫ですか.排水性が良い土壌を作っても,水のあげすぎは気をつけてくださいね.

乾燥区では,樹体生育や花芽分化が抑制されて,果実の成熟が遅れました.
果実は小さく,糖度が低いということが報告されてます.
なので,果実が小さいとか糖度のりがあまり良くない,という方は,水が足りない可能性がありますね.具体的な数値は,論文を見てくださいね.

次に,乾燥ストレスを与える時期ですが,前期乾燥区(着果後約20日まで乾燥)では,花や子房,及び果実は小さくなるが,葉緑素含量(SPAD値)や結実率が向上したという結果になりました.

また,後期乾燥区では,樹体生育,花芽形成,光合成速度が抑制されるが,果皮の着色はよかったとされてます.
つまり,極度な乾燥や過湿は,生育を抑制するものですが,乾燥させるタイミングによっては,結実率が向上したり,着色が良かったりと,良い側面もあるということがわかりました.

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