バナナの生い立ち,人との関わり,バナナの構造的な話や増え方.
この記事のポイント
  • バナナの繁殖の方法について詳しく解説!
  • 花や植物体の構造的疑問を解説.
  • 7000年前に栽培されてた初期農園の紹介.

けんゆー

ハイサーイ!


けんゆー

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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

今回はバナナのお話をしていきたいと思います.
自分もバナナの栽培をしているのですが,バナナの生い立ちや,人間との関わり,そしてバナナがどのような変遷を遂げてきたのか,についてはそこまで詳しくなかったです.
やはり,バナナ栽培をするにあたって,この辺のバナナの雑学が知っておいた方が良いと深く感じるので,今日は「バナナの世界史」という書籍から,あれこれ感動した部分をラジオでお伝えしたいと思います.

バナナを栽培してる方や,これからバナナを栽培しようと考えている方のご参考になれば幸いです.

バナナについて.

けんゆー

こちらの画像は,以前池原さんから頂いたアイスクリームバナナですね!

実は,バナナというのはとても多くの品種があり,世界には数千を超える種があります.
現代の日本などは,「キャベンディッシュ」と言われる一種類のバナナしかスーパに並ばないので,それがバナナと思い込みがちですが,多様なバナナがあります.
元々,野生種には,小指くらいの大きさの果実しかつけず,さらに,歯が砕けるほど硬い種がゴロゴロ入ってるものなど多種多様なバナナが存在します.
世界で最も食されてる果物はバナナですし,国内でもバナナがずば抜けて一位です.

けんゆー

ちなみに,2位がりんご,3位がみかんですね!


世界の農作物としても,小麦・米・トウモロコシにつぎ,4番目に多く栽培されてる作物でもあります.

バナナというのは,古代から人間と深く関わってきており,また国家を破壊し,多くの人々を狂わせた果実でもあります.ジャングルで育った一握りの種が,何千年もの時を経て,人間と手を組み,他に例のない方法で繁殖した,とても珍しい作物でもあります.

今回のラジオは,最近読んでとても参考になった書籍「バナナの世界史~歴史を変えた果物の奇妙な運命~」から,とてもためになった部分を抜粋して紹介します.こちらの本,著者はダンコッペル氏,2012年に発売になりました.
本書の目的は,明確に記載がなされているのですが「バナナを救うこと,バナナを救うために,正確に何が必要とされてるのかを探ること」だとされてます.
バナナというのは,種子がないので,株を分けて増やすという方法で,繁殖するため,遺伝的に同じ株ができるのですね.これが病気に対してとても脆弱で,歴史的に一度,バナナ業界に壊滅的なダメージがありました.なので,そういった辛い歴史を繰り返さないための書籍でもあるのですね.

本書「バナナの世界史」は,自然科学系の読み物であるが,著者の冒険談でもあります.
おすすめ書ですので,ぜひ原本の方も読まれてください.

本書は合計で第六部あるのですが,今回は第一部の「バナナの系譜」というところから面白かったところを抜粋します.

第1部,バナナの系譜より「バナナの繁殖の仕方」

本書,第一部より,「バナナの繁殖の仕方」について取り上げたいと思います.
このYouTubeチャンネルをご覧になられてる方は,いろんなところでバナナを紹介してるので,バナナの花の咲き方や増え方などは,すでに知ってるよと言う方が多いと思いますが,これから初めて聞く方も大勢いるかと思います.

まず,バナナの花および果実のなり方から説明します.

バナナの花について.

前提として,バナナというのは樹木ではなく,草本にあたります.世界最大の草なのですね.
ズドンと,木のように大きな幹があると思いますが,あれは木ではないので,幹とは呼べず「偽茎(ぎけい)」と呼びます.
外見が茎のように見えますが,葉鞘(ようしょう)というものが,何層にも重なりあって太くなっているように見えるものです.

さらに,「偽茎(ぎけい)」の上部から何枚も大きい葉が展開しているのですが,この頂点からラグビーボールのような赤紫色の物体が現れて,最終的には下向きにぶら下がります.花を包んでるものとして,「花包」と呼ばれたり,これから花が咲く花の蕾として「花蕾」とかと呼ばれたりします.皮が一枚一枚めくれていくと,そこに花序があります.
本書では,この赤紫自体を「花序」として紹介されているのですが,皮の下に花が隠れているような構造になってます.

花序の最初の部分は,バナナの雌花が咲きます.
それぞれの花の基部に,果房があって,これが後のバナナになります.
その後に,雄花が咲きますが,ここには,果実がつきません.

つまり,バナナの花は,単性花という性質を持っているとされ,雌花には子房があり果肉として肥大し,後の雄花は子房を持たず,不必要なもとされることが多いと思われます.

ちょっと本書からズレる内容なのですが,
ただ,米本さんの文献中で引用されてる高橋氏・西山氏らの研究報告では,バナナの花は構造的には完全花の形態をゆうし,雄花と呼ばれる先端の花は,栄養供給不足に伴う子房の未発達によるものであると報告がされてます.

すなわち,単性花という味方ではなく,間性花という認識です.
ただ,どこまで栄養が必要であるのかはまだわかっていないところもあり,今後の学術的進展が求められるようですね.

花が果実に変わるのに,およそ6ヶ月程度かかるとされますが,僕の経験ではもう少し早いような気があります.
夏だと大体3~4ヶ月程度で完熟して収穫ができます.

花が咲き終わり,果実ができると,それぞれの果実は,上むきに反り返り,螺旋状についていきます.
これは果実が肥大してもある程度ぶつからないように,綺麗に配置されているのだと考えられます.

私たちが普段バナナを食べるときに向く部分は,基部側で持ち手の方の先端に雌花がついており,上むきに反り返ってる方角です.どっちが上でも下でも良いですが,私たちは,よく基部側から食べていることになります.

種がないのにどうやって増えるの!?

現在の多くの栽培種のバナナには,種がないのはご存知の通りですが,ではどのように増えるのでしょうか.
結論から言うと,種子繁殖ではなく,株元から新たな子株が生えてきて,それから増やすことになります.

ちょっと具体的に話を進めると,バナナの一生は二つの段階に分かれます.

一つが花が咲く前の「成長段階」,もう一つは花が咲いてからの「生殖段階」です.

バナナの本当の茎の部分は,実は地下部にあります.
茎のように見える地上部のぶっとい幹のようなものは,偽茎でしたね.
バナナの地下部には,球茎と呼ばれる地下茎があります.
電球のような,まん丸い球茎があります.

地下茎の雑草と同様に,ここがバナナの心臓部分で,ここから偽茎を伸ばし,偽茎を伝って,葉や花を展開させてます.
その球茎から根っこを生やし,水分や必要な栄養素なども吸い上げます.

バナナの繁殖については,この球茎から新たな球茎が生まれます.
繁殖は,この球茎から新しい芽が出ます.
吸芽と呼ばれます.漢字で書くと「吸い芽」と書きます.

つまり,完全に成長した植物体の下で若い個体が成長するというサイクルが生まれてます.
この二つの個体は,遺伝的に同じ株になります.
なので,株分けと言って,この吸芽を親株から引き離して,別のところに植える,そうすることで,繁殖がなされるわけです.
かつてのバナナ栽培をしてる多くの方々は,この増やし方によって,半永久的にバナナの繁殖が続いていくものだと思っていましたが,やはり問題もあるのですね.

このような増やし方は,遺伝的に同一であるため,高い品質は保持されるのだが,特定の病気に弱いとか,感染が一気に広がるなどのリスクがあります.

余談:バナナは木の上では黄色いまま

バナナは大体の場合,木の上に置いてる限り,青いままです.
親株の葉っぱの光合成能力がなくなるなどで,若干枯れ出してくると,木の上完熟と言って黄色くなってくる場合もありますが,相当木の上に置かないといけないです.

商業利用等は,大体は青いまま収穫されます.
バナナは,切り離された瞬間に,エチレンガスが放出され果実が熟し始めます.
この辺のエチレンという植物ホルモンの話は,以前youtubeでとことん解説したので,そちらを見てください.

追熟の過程では,酸味がまろやかになってきます.
植物体の細胞壁を接着してるペクチンの量が減り,果肉が柔らかくなります.
同時にクロロフィルが分解されて,皮も緑色から黄色くなります.
肝心なのは,青い果肉の大部分を占めるデンプンが糖へと変化し,甘く美味しくなります.

クックの初期農耕遺跡

こちらの画像は,wikipediaから参照しました.

最後に,バナナが初めて栽培された農園を紹介したいと思います.
本書「バナナの世界史」によると,紀元前5000年頃,クックの初期農耕遺跡というものが発見されてます.
世界遺産にもなっておりますが,パプアニューギニア南部の農業遺跡ですね.
7000年以上前にまで遡る農業の遺跡です.

ただ,当時のバナナは,現在のバナナのように果実が甘くなく種が多く,食べられたものではなかったといいます.
色々調査を重ねると,どうやら,当時7000年前の方は,球茎を食用としていたのではないかと言われてます.
地下茎ですね.ここは,調理すれば,芋のようなデンプン質多めの野菜として食べられたのではないかということが濃厚です.
つまり,古代ニューギニアの方々は,この地下部を食していき,栽培の過程の中で,徐々に果実が甘く大きくなっていくと,地上部の果実を食べるようになったのではないかと推察されております.

最後まで読んでいただきありがとうございました.
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