【バナナ栽培】バンチートップウイルス,バナナセセリ,バナナの花について
この記事のポイント
  • バナナバンチートップウイルスについて.
  • バナナの葉っぱを食害するバナナセセリ.
  • バナナの花のちょっとした構造的話題.

けんゆー

ハイサーイ!


けんゆー

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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

ここ数日は,バナナ農家さんとお会いすることが多く,彼らから多くの情報を聞くことができております.
僕自身は,バナナの形態学的な側面はある程度勉強したのですが,沖縄県の栽培における現状の問題についてあまり深く考えては居ませんでした.つまり,害虫,病気,そして気候的な要因が及ぼす果実生産の影響などをあまり深く考えたことがなかったのです.

今回,彼らから受けた刺激を一過性のものにしたくなかったので,本格的に網羅的に調査していきたいと思います.

バンチートップウイルス

上記の画像は,wikipediaからの引用です.

まず,沖縄県の三尺バナナ(M. acuminata cv. Dwarf Cavendish, AAAゲノム)島バナナ系統(小笠原種,ゲノム不詳)などで多く問題となっているのは「バンチートップウイルス」であると言われます.

バンチートップ病というのは,世界的にも最も深刻な病気の一つと言われます.
症状としては葉の萎縮が代表的です.
また,株が著しく矮化して,葉が狭く直立し,果実の生育不良or結実不良になります.
クロスジコバネアブラムシ(Pentalonia nigronervosa)という害虫によって伝搬されるウイルス(バンチートップウイルス(BBTV: Banana Bunchy Top Virus))です(沖縄におけるバナナバンチートップウイルスの発生,1993).

けんゆー

1990-1991年に台湾とオーストラリアの研究者が明らかにしてます

終戦直後は,バショウゾウムシ(Cosmopolitess ordue Eermar)による被害であると考えられていたとされてました(バナナのバンチートップ病発生調査,1968)が,徐々に発病形態が明らかになり,クロスジコバネアブラムシによって伝搬されるようですね.
このバンチートップウイルス病は,1879年にはフィジーで発生していたと言われます.
現在では,中南米を除く多くの国で発病が報告されております.

罹病株は,回復することは稀で,むしろ他の株に症状を移してしまう感染源となってしまう場合が多いので,取り除かれることが多いです.現在の食用バナナは3倍体という特徴を持っているため,栄養繁殖の株分けで個体が増やされます.そのため,園芸品種では遺伝的多様性の低下により,このバンチートップウイルスが広がりやすいと言われます.

ウイルスの具体的な説明と抵抗性品種.

イトバショウのバナナバンチートップウイルスに対する抵抗性,2012によると,本ウイルスは,Babuvirus属バナナバンチートップウイルス(BBTV)で,粒子の直径は18~20nmの小球形,6つの約1kb環状1本鎖DNAを必須ゲノムとします.

現状,BBTVに対する,抵抗性品種はまだ育成されていないと報告があります.
そのため,罹病してない健康な株を活用し,媒介する虫を寄せ付けない施設栽培が必要であるといいます.

ただ,上記論文においては,イトバショウ(M. balbisiana var. liukiuensis, BBゲノム)は,BBTVに対して,免疫性を持っている可能性が認められたという報告がなされております.

バナナセセリ

バナナの葉が部分的にクルクルっと巻いている場合がありませんか?それはおそらく,バナナセセリという害虫の仕業です.

バナナセセリ(Erionota torus)は,バナナの葉っぱに被害を及ぼす害虫です.wikipediaによると,多くみられるのは2~10月ごろのようですね.上のGIF画像も,うちらの農園で確認されたバナナセセリです.もう蛹になっているような感じでした.

幼虫がバショウ科のバナナの他,リュウキュウバショウ(野生種のバナナ)なども食害するようです.成虫は,大きな赤い目が特徴です.バナナの花を訪れて,長い口吻(こうふん)で蜜を吸うことが確認されています.バナナの花は細長いので,それに合わせて口吻の形状も長いのでしょうね.

上の画像は,wikipediaからの引用です.

沖縄本島で初めて確認されたのは,1971年です.
侵入経路は,ベトナム周辺から来たアメリカ軍の衣類や荷物などについていた虫が沖縄に入り広がったというのが,ほぼ定説になっております.
バナナセセリは,昼間は活動をしません.
沖縄では,夜間の燈(ともしび)に飛来することが知られております.

長田氏の「バナナセセリはどうやって侵入したのか?」という文献によると,バナナセセリのこのような性質から,どのように沖縄に侵入してきたのかが考察されてます.

沖縄本島でバナナセセリが発見された当時は,ベトナム戦争が激化の一途をたどっていた時期である.
沖縄のアメリカ軍空軍基地では,日夜関係なく,軍用機がベトナムとの往復を頻繁に行なっていた.
ベトナム基地周辺に生息してるバナナセセリが軍用機の燈に飛来して機内に潜り込み,そのまま沖縄まで運ばれてきた.
沖縄本島にもバナナは栽培されてたので,バナナセセリが定着できる条件は揃っていた.
同時期に,サイパン,グァム,ハワイでもバナナセセリが発見されており,軍用機がバナナセセリを広げたと考えるのは妥当である.

バナナセセリは,東南アジアにいくつかの種がありますが,沖縄県に生息する本種は,当時,台湾やフィリピンには生息してないのに,沖縄県本島にのみ単独で分布してるので,ベトナム戦争において持ち込まれたとさらに決定づけられてます.

けんゆー

お友達の圃場で見つけたバナナセセリ!

バナナの花は間性花?

バナナの花は,単性花という性質を持っているとされ,雌花には子房があり果肉として肥大し,後の雄花は子房を持たず,不必要なもとされることが多いと思われます.

ただ,米本さんの文献中で引用されてる高橋氏・西山氏らの研究報告では,バナナの花は構造的には完全花の形態をゆうし,雄花と呼ばれる先端の花は,栄養供給不足に伴う子房の未発達によるものであると報告がされてます.

すなわち,単性花という味方ではなく,間性花という認識です.

ただ,どこまで栄養が必要であるのかはまだわかっていないところもあり,今後の学術的進展が求められるようですね.

最後まで読んでいただきありがとうございます.
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沖縄恩納村でバナナ栽培をしてるお友達の圃場です.
ぜひご覧ください.