【#118】野菜の生育に必要な必須元素!カルシウム,マグネシウム,硫黄など11種類!!
この記事のポイント
  • 植物(野菜)の生育に必要な栄養素について!
  • カルシウム・マグネシウム,硫黄は,比較的多量を必要とする必須元素!
  • その8つの必須元素も紹介!

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

今回は「野菜の生育に必要な必須元素」について窒素・リン酸・カリウム以外の要素を詳しくお話しできたたらなと思います.
前回,窒素・リン酸・カリウムのお話をさせていただきましたので,まだ読まれてない方は,そちらをどうぞ!


ちょっとおさらいとして,17種類の必須元素を確認しておきたいと思います.

三大栄養素と呼ばれ,最も必要とされるものは,窒素(N)リン(P)カリウム(K),でしたね.
そして,それ以外に比較的多くの量を必要とする3つは,カルシウム(Ca)マグネシウム(Mg)硫黄(S)でした.

微量ですが,生育の上で必須である他の8つは,鉄(Fe)マンガン(Mn)亜鉛(Zn)銅(Cu)塩素(Cl)モリブデン(Mo)ホウ素(B)ニッケル(Ni),でした.
大気や水などに存在する酸素(O)炭素(C)水素(H)の3つも必要なものでした.

比較的多い量(中量)を必要とする元素について!

窒素・リン酸・カリウムについては,以下の記事をご覧ください.

今回は,中量元素と呼ばれる,カルシウムからお話ししていきます.

カルシウム

カルシウムは,色々なことをになってますが,頭に残りやすい覚え方は「組織を丈夫にするもの」と考えると良いかなと考えます.人間も骨を強くするためにカルシウム分を取りましょうと言われるのですが,それと結びつけて覚えると良いです.植物は骨が無い代わりに,自身の身体を細胞壁というもので支えます.この細胞壁を強くするものが,カルシウムなのですね.厳密には,ペクチンと合体したペクチン酸カルシウムというものです.

なので,カルシウムが欠乏すると,細胞分裂が盛んなてっぺんの部分(頂芽)で,ふち腐れが起こったり,果実先端で尻腐れが生じたりします.

また,土壌改良剤の石灰として土壌pHをあげる時もカルシウムですね.消石灰と呼ばれる水酸化カルシウム,炭酸石灰と呼ばれる炭酸カルシウムなどがあります.

他にも,ちょっと科学的になりますが,例えば,光合成で作られた糖類の移動に関与したり,根の成長を促したり,窒素をよく吸収させ,カリやマグネシウムなどの吸収を調整したりします.

マグネシウム(苦土)

このマグネシウムは,園芸分野や土壌改良材としては苦土とも呼ばれます.
漢字には,苦いという文字が使われます.
実は,酸化マグネシウムが苦いことから,マグネシウムは苦土と呼ばれるようになりました.
豆腐を作る際に使用される「ニガリ」にはマグネシウムが入っていますね.

マグネシウムは,葉緑素のもととなる元素です.
葉っぱが緑色に見えているのは,葉緑素のせいですが,この葉緑素というのは,光合成で光からエネルギーを生み出すのに必要なものです.
マグネシウムが欠乏すると,葉緑素ができなくなるので,葉っぱが黄色くなります.
よく,葉脈は緑だが,葉っぱは黄色くなっているというのは,マグネシウム欠乏のサインですね.
さらに窒素も足りなくなると,葉全体が黄色くなります.

実は,葉緑素の構成元素は,マグネシウムを中心に,4つの窒素原子が繋がっている形態をとります.
クロロフィルaと呼びますが,これが葉緑素のもとになっているので,窒素とマグネシウムは緑色に必要な元素なのですね.

マグネシウムは,葉っぱの光合成以外にも,例えばリン酸の移動を助けたり,タンパク質や脂肪の合成に必要な元素でもあります.

硫黄

硫黄は,タンパク質の合成に必要な元素です.
働きとしては,窒素に似ていますね.
窒素と似ているというよりも,窒素とともにタンパク質をつくるアミノ酸の成分になるのですね.
もちろん葉緑素の生成も助けます.
硫黄欠乏でも,窒素欠乏のように,葉っぱが黄色くなる症状がよくみられるのはそのためです.

けんゆー

大体は,下の方の葉っぱから黄色くなっていくよ!

硫黄というよ,火山や温泉の黄色い鉱物が思いつくと思うのですが,実は日本の土は硫黄が多いのですよね.
火山灰土壌では,硫黄欠乏はほとんど出ないと言っても過言ではないと考えられます.

微量要素について!

次に微量要素についてお話しさせていただきます.
鉄(Fe)マンガン(Mn)亜鉛(Zn)銅(Cu)塩素(Cl)モリブデン(Mo)ホウ素(B)ニッケル(Ni),でしたね.

鉄(Fe)

植物にとっての鉄は,例えば,葉緑素の形成に関わったり,呼吸をスムーズに行ったりなどの役割があります.
鉄不足だと,葉っぱが黄白化するのはそのためです.
クロロシスとも言いますね.そうなると,タンパク質合成が阻害されてしまいます.

しかし,植物は動物ほど,この鉄を必要とはしません.
動物は,体内に血が流れており,赤血球に鉄分が多く含まれるため,動物には鉄が多いです.
一方,植物は葉緑素があり,葉緑素はマグネシウムが中心元素なので,鉄の代わりにマグネシウムが多いのですね.

マンガン(Mn)

時間があまり無いので,サクサクいきます.

マンガンは,乾電池などの材料として活用されてる金属元素なのですが,植物体内では,酸化還元反応系の働きを促進します.例えば,炭水化物や有機酸,窒素などの代謝に関わる酵素などに含まれます.ビタミンの生合成にも必要ですし,光合成を行う際の,二酸化炭素の固定にも必要になります.

亜鉛(Zn)

亜鉛は,トタンの板などに塗るメッキの材料,金属元素です.
植物体内の各種酵素の構成成分になります.
こちらも色々な役割があるのですが,例えばオーキシンの代謝,タンパク質の合成などに関係があると言われます.

銅(Cu)

銅も金属なのですが,こちらは鉄などと同様に,葉緑体に多く含まれるものです.
光合成や呼吸作用に重要な役割を担っております.
また,植物に傷がつくと,植物はフェノール類という殺菌作用のある物質を出します.
例えば,リンゴを剥くと茶色くなるものもそうで,こういったものも銅が関わって出てくる酵素の働きによるものです.

塩素(Cl)

塩素は,光合成によって生成された糖類の移動,病気の抑制,作物の成熟などに関わる元素です.
高濃度の塩素は一般的に毒とされますが,ある程度は必要なのですね.

モリブデン(Mo)

モリブデンはも金属なのですが,これは必須元素の中でも最も必要量が少ない元素です.
窒素代謝,根粒菌の窒素固定,など,そういったことに効果があります.

ホウ素(B)

ホウ素は,細胞壁生成において重要な要素です.これは非金属元素です.
また,糖やカルシウムの吸収,転流,代謝などに関係があります.
多くの微量要素は,鉱物中に含まれていたりするので,微量要素欠乏が起きにくいのですが,ホウ素は土壌に自然に含まれる量が少ないので,他の微量要素と比べると,欠乏症が起きやすいと言われます.
微量欠乏が起きると,果実表面などはカサブタが付いたようになります.
また,新芽や根っこの生育が悪くなり,黒く変色したりします.

ニッケル(Ni)

ニッケルは,必須元素ではないと紹介されるネットのページなどが多いですが,論文を読むときちんと必須元素であるという立ち位置です.そして,高濃度にニッケルが存在すると毒性があることまで認知されてます.

ニッケルは開花プロセスを活性化させるのに必要であると言われています.
毒性があるので,あまり吸収のしすぎはよく無いのですが,近年は,このニッケルを過剰に吸い上げて,木体内に貯蔵できる樹木などが見つかっているようですね.
某記事によると,インドネシアでは,サルコテカ・セレビカという名前の木などが見つかっているようです.
新たな産業になり得るかもしれないですね.

今回の記事を読んでくれた方には,以下の記事「土壌pHとは!?」という記事がおすすめです.


こちらでは,pHが高すぎたり低すぎたりした場合,金属元素が解けず,野菜が微量要素を吸収できなくなる,ということが起こるのですが,こういったことをpHとはなんなのか,というところからお話しさせていただいております.