【蜜蜂と農薬】ミツバチは減少してるのか?減少しているのであれば理由は何?
この記事のポイント
  • 野生のミツバチやハナバチなどは人間の行いなどにより減少してる.
  • 西洋ミツバチは経済動物として機能してるので数は増えてる.
  • 蜜蜂と農薬について考える.

けんゆー

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けんゆー

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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

今回は「ミツバチは減少してるのか?減少してるのであればその理由は?」についてお話ししたいと思います.

多くの果樹,野菜,花木などの受粉は,虫に頼るものが多く,その中でもミツバチはとても重要なポリネーター(受粉虫)として機能します.ただ,近年では,土地開発や農薬使用の問題という人間の問題により,「ミツバチ」の絶対数の減少が騒がれていたりしますが,そこら辺はどうなのか?というお話をしたいと思います.今回は,そういった問題を深掘りしていきたいと思います.

ミツバチは減ってない!

実は,意外かもしれないですが,「ミツバチ」というのはデータ上,厳密には減ってはいないことになっております.
というのも,「ミツバチ」というのは,経済動物として機能してる側面があり,いろんな野菜や果樹を作るために,人工的に増やしている,必要に応じて増やしている,そうな動物なのですね.もちろん,天然物のハチ類,例えばハナバチ類などは,減少しておりますが,「ミツバチ」というものに関しては,2015年の論文には,日本はちょっとずつ増えていると言います.

2015年に日本農薬学会から出た「ネオニコチノイド系農薬の使用規制でミツバチを救えるのか」という論文があるのですが,そこでは,ハナバチの減少と,ミツバチの増加が記載されてます.引用します.

 オランダとアメリカで,それぞれ独立して博物館の昆虫 標本を用いて過去 100 年単位でのハナバチ相の推移が調べられた.

ハナバチ類の減少は,利用する花が減ったことに伴うものと考えられる.
またハナバチ類は,花だけではなく,穴居して営巣するために非耕作地を必要としており,土地の開発の影響を受けやすい.

農作物を育てるための土地の開発が,人力や家畜利用の範囲のうちは居住地に農耕地も森林も原野も密接して存在する複相的な環境となっていて,農耕地の作物であっても野生の送粉者による生態サービスを期待できる状態になっていた.

これが農業生産の増産と効率化を目指して,動力利用による 土地の開墾が進み,農地が広大化し,また集約されてきた. その結果として,森林や原野からは隔たった広大な農地の中の作物は周辺からの送粉者,とりわけ野生のハナバチ類の飛来を期待できなくなった.

農地への送粉者導入技術は,野生のハナバチの減少ととも に必要性に迫られ,人為的な移動・管理が容易なミツバチが,農作物の交配用の農業資材として利用されるようになってきた.

本論文の図を引用してます.

ということです.論文には実際に世界のミツバチの数の推移というものがあり,世界的にみてもミツバチの数は増加していると報告されてます.ただ,ミツバチの数は増加してるのだけれども,世界的にも原因不明で突然死もしくは大量失踪する蜂群崩壊症候群(CCD)とか,気候や農薬の影響などもあります.他に,栄養不足で死んでしまうとか,ダニなどの影響があるわけです.

農林水産省の報告「蜜蜂被害事例調査(H28.7)」によると.

その中でも,ミツバチが減少する要因が存在するということで,その原因は何なのか?そして私たちはどう生態系と関わっていくのか?そういった関心が高まっております.
農水省の蜜蜂被害事例調査によると,養蜂家の蜜蜂が突然死する被害が多数報告されてるようです.
(その影には,自然ミツバチの減少もあるかと推察されます.)
ミツバチの死は多くの影響や要因がありますが,今回は,農薬に関して深掘りします.
というのも,農水省の報告書が,農薬について詳しく記載されていたからです.

「報告された被害事例の数は,69件(平成25年度),79件(平成26年度),50件(平成27年度).」

「1巣箱当たりの最大死虫が 1,000~2,000 匹以下という、比較的小規模な被害事例が多いが,1 箱当たりの最大死虫が 1 万匹を超える被害も年3~4件報告された.」

「発生時期は,水稲のカメムシを防除する時期に多くあった.」

真夏は,蜜蜂にとっても蜜や花粉を集められる花が少なく,開花期を迎える稲にミツバチが集まるという流れがあるようです.そこにカメムシ防除で使う農薬がミツバチにもかかっていまう,そう言ったことで,夏の被害が大きいのです.

(これらの図は農水省の資料から引用させていただきます.)

 

蜜蜂の死骸から農薬成分を抽出し,どういった農薬が殺虫と関係しているのか?ということも調べられており,例えば,ネオニコチノイド系やピレスロイド系,フェニルピラゾール系などの農薬が該当するとされてます.実際に,それら各農薬には,蜜蜂に対する注意事項の記載も有ります.

そこで,現在の対策としては,

1.農薬使用者と養蜂家の情報共有.
2.巣箱を水田の近くに設置しない.
3.農薬使用の工夫(時期をずらすor蜂に安全な薬を使用する).

などが行われている現状です.
(農薬以外にも,ダニや蜂病などによる事例ももちろんあります.)

こういう現状であるということがちょっとでもお伝えできたらと思います.
もっと詳しく知りたい方は,ぜひ,原本を読んでみてください.

近年は,世界的に「環境や生態系を壊さない」ということを目指すというのが,明確になっており,なるべく農薬は使用しないほうが良いよね,ということが言われております.ただ,やはり,人口を支える食糧生産や,多くの人達の仕事などの関係もあり,難しい問題です.
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