- 草は抜くよりも刈った方が良い.
- 草を抜くと,土壌のバイオマスの量が減って土が痩せていく.
- 草を刈る時は,成長点から刈ること!
ハイサーイ!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
本日は「草を抜いてはいけない理由,根っこがあると何が良いのか!」を紹介したいと思います.
家庭菜園や有機栽培をされている方,雑草との戦いは大変ですよね.
雑草は刈るよりも,抜いた方が良い!と思っている方が多いかと思われますが,実はそうではないのですね.
草にもいろんな種類があるので,一緒くたにはできないですけれども,実は全ての草を抜いてしまうのはデメリットがあります.
では,今回は,そんな理由を解説していきたいと思います.
草を抜いたらいけない理由.
草を抜いてしまうと,土壌の肥沃度が下がります.
痩せた土になっていき,野菜の生育がしにくい土になっていくのですね.
なので,抜くよりも成長点から刈っていった方が良いんですね.
土の中に根っこが残ることによる一番大きなメリットは,バイオマスの量です.
根っこ周辺に微生物が集まり,この微生物が起点となって,土が豊かになるというものです.
微生物が集まる仕組み
根っこ周辺には,微生物が集まります.
この周辺のことを根圏(こんけん)というのですが,植物というのは,根っこから有機物などの分泌物を出すんですね.
これは,2005年の「植物根圏の微生物多様性と根圏相互作用」という九州大学大学院の論文があるんですけど,植物というのは,全光合成の固定炭素の5%~21%を代謝として,分泌物として排出してます.
具体的には,有機酸,アミノ酸,糖などの低分子,酵素,高分子の粘液物質などを出してます.
このような物質を出し,微生物と共生的にいきているんですね.
以前,#31で団粒構造のお話をさせていただいたのですが,ミクロな団粒とマクロな団粒があり,このマクロな団粒構造が作れられるためには,糸状菌や菌根菌の菌糸と,植物の根っこが出す粘物質によって作られるのですね.つまり,土というのは,植物の有機物と微生物の働きによって形成されていくのですね.
ミクロな団粒も,土壌粒子,腐植,植物の破片,陽イオンなどが結びついたものです.
腐植とは,動植物の遺体が微生物によって分解され,その過程でできた有機化合物です.
地上部が刈り取られて,地中に残った根っこも,枯れた後,分解されていく過程も,実は土作りにプラスに働きます.最終的には,土の一部へと変形していくのですね.
いい土というのは,固相:液相:気相が4:3:3の土だと言われております.
つまり,土の中に,空気が入り込むの層や,水が通る層などが,4:3:3ほどある土が,植物や野菜の生育には良いのですね.
通気性や排水性,水はけや水もちも良くなります.
根っこが枯れると,空間ができるんですけど,こういったものも,固相:液相:気相を作る際にも貢献しております.
この記事のポイント 団粒構造とは土の粒子が集まり,団子状もしくは粒状の集合体を形成している構造のこと. 固相: …
団粒構造のお話は,こちらの記事が詳しいよ!
根っこを全部抜いてしまうと,バイオマス(生物の量)の総量が減るので,それに起因して土がカチカチになるのですよね.
土が硬いと,やっぱりいろんな植物は根っこを張れないので,イネ科の雑草がはびこるということになります.
この記事のポイント 土のステージによって生えてくる草が変わってくる. 肥沃な土では,ハコベやナズナ,ホトケノザ …
上の記事で,土の状態で草が生えてくる種類が変わってくるというお話をさせていただいたのですが,ステージ0の荒地では,イネ科の草が中心的に生えてきて,野菜の生育は難しい土になりますね.
イネ科の雑草の話は,再生リストから探してお時間があればお聞きください.
刈る時は成長点を刈る!
草を刈る時は,成長点を刈るということを意識的にやると良いです.
イネ科の雑草などは,成長点が地面付近のかなり下にあるので,この根元から,根っこを残して刈り取るということをすると良いです.
成長点を残すと,すぐに生えてくるので気をつけてください.
例外:抜いた方が良い草
基本的には抜かずに刈り取った方がお得なんですけれども,
例外的に,野菜の生育を阻害する場合,抜いた方が良いという場合もあります.
特に,地下茎雑草は,地下で横にぐわっと広がるので,負けてしまうのですね.
そういった場合は,抜いてあげても良いかと思います.
地下茎というのは,その名の通り,地下に茎(くき)があるタイプのものですね.
地下茎の植物は,養分を貯蔵して,生育不定期と言われる冬などを乗り越えられる構造になっております.
雑草も,多年草で地下茎をもつものが多いのですが,頻繁に草刈りを行なっていけば,ちょっとずつ減っていきますね.
地上部の草を刈ると,光合成ができなくなるので,地下部に養分を溜め込むということができなくなるんですよね.他にも,野菜の生育を邪魔する場合は,周りに草マルチなどを施して,成長を遅らせるということをやりながら,うまく草と付き合い,畑の土を豊かにしていきたいですね.
他にも,以前,マメ科の草,紹介しましたが,種類などにも特性があったり,野菜との相性もあるので,完全に排除した方が良いもの,そうでないもの,色々とあるのです.勉強しながら,野菜の栽培をしていけたら良いのではないでしょうか.
今回は,草をむやみに抜いてはいけない理由,根っこによる良い効果!についてご紹介させていただきました.
ラジオでは,無農薬で野菜や果樹を栽培するための様々な方法や,学術的な知見をもとに紹介してくものになっております.
youtubeの再生リストからこれまでのラジオは,ご覧いただけます.
最近では,不耕起栽培とか,植物ホルモンの話などさせていただきました!
野菜や果樹の栽培をされている方のご参考になれば幸いです.
ということで,本日も素敵な野菜・果樹作りライフをお過ごしください.