米ぬかが,水田(すいでん)の雑草防除に効果的!?
この記事のポイント
  • 田んぼに米ぬかを撒くことによって,雑草防除の期待ができる!
  • 水中の酸素が減って,雑草が生育できなくなる.
  • 肥料効果はそこまで期待できないかもしれない.

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

今回は「米ぬかが水田の雑草除草に効果的である」というお話をしたいと思います.
米ぬかは,玄米を精米して出てくる粕ですが,肥料として活用できたり,良質な堆肥やボカシ材を作れたり,と多くの活用術がありますね.この辺のお話しは前回しておりますので,そちらをご覧ください.


けんゆー

YouTubeだと #29ですね.

さて,そんな米ぬかですが,実は水田,田んぼで使用すると,なんと雑草の除草効果があるということですので,詳しく見ていきたいと思います.
今回も論文を参考にしております.
論文は「米ぬかの水田雑草防除への利用について」というものですね.
こちらは三重県農業研究所さんのレポートです.
米ぬか除草の効果と,メカニズムについて詳しく見ていきたいと思います.
無農薬栽培に挑戦したい!という方の参考になれば幸いです.

米ぬかの水田利用.

結論から申し上げます.
100~200g/m2 の施用で,多くの雑草抑制効果が見られました.
これは,水稲生育初期の除草です.
ほとんど見られなくなった雑草は,カヤツリグサ類アゼナ類ミゾハコベキカシグサなどです.
イヌビエの発生も抑えられました.

しかし,抑制効果が小さいものもありました.
それは,イヌホタルイと,コナギですね.

また多年生雑草のセリ,ウリカワ,ミズガヤツリなどの抑制効果も総じて小さいとされております.

抑制に効果のある雑草とない雑草があるのですね.
参考にしていただけたらと思います.

米ぬかを撒いた時期

実験に関して,米ぬか処理は5月中旬,圃場の水深は5cm程度水を張った状態で行ったようです.

水田の雑草防除に関しては色々あるますけど,問題も多いとのことです.
除草剤の散布は環境負荷の問題があります.
中耕除草機による除草が行われる場合が多いのですが,稲がある程度大きくなるまで作業ができないことや,株間(かぶま)の除草が難しいこと,作業回数の多さなどによる問題があるようです.そこで,米ぬかの利用が試されたといいます.

米ぬか除草のメカニズム

米ぬかを使用すると,なぜ,除草ができるのかというメカニズムのお話をしたいと思います.

実は,米ぬかを水田に入れると,水中に溶けている酸素の量が急激に低下します.
水中に溶けている酸素量を,溶存酸素量(ようぞんさんそりょう:Dissolved Oxygen:DO)と呼びます.
米ぬかの処理量が多いほど,このDOが少なくなるのですね.

米ぬかが分解する過程で,酸素を消費してしまうのですね.

つまり,発芽に酸素を必要とする雑草の抑制になるのですね.
イヌビエタマガヤツリキカシグサアゼナなどの種類は,かなり抑えられると言います.

そのため,発芽に酸素を必要としない,タイヌビエイヌホタルイコナギでは抑制効果はそこまで大きくはないのです.
しかしながら,タイヌビエやイヌホタルイ,コナギなども抑制効果は認められました.
これは,本論文によると,土壌表層の急激な還元化が原因だと言います.
急激な還元化にとって生成される還元性物質や有機酸の影響が,雑草の抑制を担っているのではないかと推察しております.

水稲(すいとう)への影響.

今回,米ぬかを活用した除草ですが,水稲への影響も調べられております.
本論文によると,稲の収量などは影響がないということが示されております.

水田中の,アンモニア態窒素硝酸態窒素の濃度などを調べても,米ぬかを処理したところと,無処理区では全く濃度が変わらなかったことから,肥料効果も期待できないということが示唆れております.
しかし,一方で,肥料効果があるという事例も報告されているようです.

また本論文では最後に注意喚起がなされております.

無農薬栽培における除草でよく聞くのは,ある年はうまくいったのに翌年は草が残ったとか,ある圃場では成功したが別の園場では失敗したという話である.無農薬栽培において,これさえやっておけば大丈夫という除草方法はない.日頃の観察と,圃場に発生する雑草の特性を理解した上で,適切な除 草手段をとることが大切である.

本論文結言引用