家畜由来の堆肥：牛糞，豚糞，鶏糞，馬糞は何が違うのか！？

ハイサーイ！

本日は「家畜由来の堆肥：牛糞，豚糞，鶏糞，馬糞」の違いについて理解していきたいと思います．
有機栽培をされている方であれば，どちらかは使用されている方が多いと思います．
自身で検討されて，選択された方もおれば，なんとなくこっちを使ってみよう！というような感じで選んだ方も居られると思います．そこで，今回は，きちんとそれぞれがどのような特性を持っているのか，そして，ご自身が作りたい畑，栽培したい作物，目的が達成できる，数ヶ月先の未来がちょっとでも想像できるのようになれたらなーと思い，本日はお話しさせていただきます．

各種堆肥の違い！

初めに一言付け加えておきますが，販売されている堆肥はもちろんばらつきがあります．
堆肥を作る際にはメーカさん，酪農とか食肉用とか牛・豚・鳥の種類，飼育環境や与えているエサ，そして堆肥化させる時に副資材（オガクズ，籾殻，チップ，バークなど）として加えるもの，水分の状態などによって，それぞれ違うので，今回お話しさせていただく内容は，あくまでも各種堆肥ごとに現れる一般的な特徴をあげております．

肥料成分がより多いのは！？

一番気になる肥料成分が最も多く含まれているのは，鶏糞です．その次に豚糞，そして牛糞，最後に馬糞です．有機資材で，土壌の物理性（水はけや保水）の改善を目的にしたい！というよりも，有機肥料としてしっかり野菜作りに活用したい！という人向けの順番ですね，もしくは，鶏を飼育してる人で鶏糞が手に入りやすいなどで，二次利用されている方も多いですね．

そして，豚糞ですが，牛や馬に比べると肥料分は多いです．
彼らと比べ，雑食であるため，糞の匂いがきつくなりがちですね．
鶏糞も匂いが強いと言われますが，これはメーカさんによります．
そして，分解が進み，発酵がきちんと完了して，完熟の堆肥になると，匂いが気にならないのですよね．
ホームセンタなどに売られているもので，堆肥と記載があっても，もしかしたら，未熟な状態があります．

一方牛糞は，肥料効果は高くはありませんが，肥効が穏やかで，ゆっくり効きます．
土の物理性を改善する，土作りをメインにされている方が多いと思います．
もちろん，肥料としての効果も若干あります．
また，牛に限らず，全ての堆肥はそうですが，堆肥を入れた後，１ヶ月くらい置いて，野菜を植えることが望まれますね．
これは，未熟部の有機物分解，微生物の活発化，土に馴染むまでの期間として，数日置くというのは，基本であります．

馬糞を好んでいれる方は，土壌の改良をメインにされたい方だと思います．
馬は，咀嚼が粗く，糞も繊維質が多いので，より植物由来のバーク堆肥や腐葉土に近いですね．
馬糞堆肥はなかなか手に入りにくいので，値段も高いですね．

堆肥について具体的にとことん理解したかったら，以下の記事をご覧ください！

窒素

鶏糞と豚糞が2~3%，そして牛糞が約1%以上，馬糞が1%以下ですね．
豚糞の方が若干，やや多いという感じです．
ごめんなさい，ちょっぴり低く見積もってます．
販売されている堆肥メーカさんによって大分ばらつきが見られるので，低くしてます．
このラジオをとる前に，実は3時間ほど，調査してます．

リン酸

ずば抜けて，鶏糞が高いですね．
だいたい6%程度，そしてその次が豚糞5%，牛糞が約1%，そして馬糞が1%以下ですね．

カリ

こちらも鶏糞が高く，約3%，豚糞が約2％，そして牛糞が1%以上，最後の馬糞が1%以下です．

採卵用鶏と肉用鶏

「家畜ふん堆肥の成分的特徴」という福岡県が出した研究報告書があるのですが，与える餌によって肥料成分も大きく異なるようですね．

例えば，採卵用の鶏は，肉用に比べて，石灰含量が高いようです．
これは卵殻の形成をする必要があるので，3倍以上のカルシウムが入った餌をあげているからなのですね．なので，毎年，土壌改良で石灰(酸性に傾きすぎた土壌のphをあげる役割)を撒いている方，採卵用の鶏の堆肥では，石灰施用量（せっかいしようりょう）を制限する必要があります．

注意事項

以上の通り，鶏糞はリン酸とカリが多いため，窒素量の基準値を守って畑に入れると，リン酸やカリが過剰になる場合があります．何かが過剰になると，何かが吸収できないという障害が多々発生します．例えば，カリウムを過剰に入れると，苦土（マグネシウム）の欠乏がおきます．

牛糞堆肥の主な目的は，土壌改良効果，連続使用や多量施肥による植物の生育障害が発生すると言われております．
やりすぎは良くないのですね．
過ぎたるは猶及ばざるが如し，という言葉がありますが，何事もやり過ぎは，足りないことと同じくらいいけないのですね．

鶏糞堆肥の豆知識

では，なぜ鶏の糞にリン酸とカリが多いのかというと，色々要素はありますが，その内の一つの理由として，糞と尿を一緒に排泄するためです．
鶏を飼ったことがある人か，車のガラスに，鳥に糞をされた方なら分かると思いますが，彼らの糞は白いものと黒いものが混ざってますよね．
あの白い部分が，尿酸ですね．牛とか豚は尿を液体として排出しますが，鶏は，半固形物として，糞と一緒に尿を排泄します．

尿酸は分解されてアンモニアになり，さらに分解されると，硝酸になります．

植物は窒素分の吸収をしますが，より科学的な話をすると，窒素というのは有機態と，無機態窒素に分けられ，植物に吸収されるのは，無機態窒素ですね．無機態窒素のうち，アンモニア態窒素もしくは硝酸態窒素があります．植物が栄養素として吸収する時には，この無機態窒素になるのですね！

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