食用廃油を利用すると良い堆肥が作れる!?
この記事のポイント
  • 食用廃油を畑に直接捨てると野菜の生育や環境に良くない!
  • 堆肥づくりにするのであれば,効果的である.
  • 発酵を促進したり,アンモニア揮散が減り,良質な堆肥が作れる!

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は「食用廃油を利用すると良い堆肥が作れる」というお話をしていきたいと思います.
実は,僕最近,天ぷらを作るのにハマってまして,利用した油をどうにかして使えないのかなと思い,ちょうど昨日,油を固めて捨てたのですが,その直後に面白い情報を見つけました.悔しさと嬉しさという,水と油のような混ざり合わないものが混ざったような「乳化」したような状態になってます.

けんゆー

どうでも良いな!

その方法とは「堆肥づくりに利用する」という方法です.
使用した油を畑に入れるのは,よろしくないと言われていますね.
油を抽出した油粕であれば,肥料分が多く,野菜の生育に使えますが,この油はそもそも肥料成分が入っていないのですね.さらに,水分を弾くので,作物の根っこが水分を吸収できなくなる可能性が考えられます.
土壌の保水性の低下を促し,環境負荷に繋がると言われますね.

廃油を排水溝に流すことですら常識的にいけないとされてますね.
洗剤などと混ざり,固形化して排水が詰まったりしますね.環境負荷にもなりますね.

今回紹介するのは,そんな再利用するところが一切ないと考えていたあの廃油の新たな活用法を改善したいと思います.

食用廃油を利用した堆肥の製造

2007年の日本土壌肥料学会から出された学会講演要旨(ようし)集ですね.
秋田県立大学の服部さんという方がお書きになられた学会要旨ですが,タイトルは「食用廃油を利用した堆肥の製造」ですね.

ざっと食用廃油の現状も1分くらいでお話します.

食用の廃油は年間40万t~45万tも排出されているようですね.
農林水産省の資料も参考にしております.

リサイクルされているものもあります.
例えば,家畜飼料用だと,配合飼料の添加物や,工業では石鹸塗料の生成.他にも燃料ですね.BDF(バイオディーゼル燃料)といったもので使用されているものもありますが,やはり,半分程度は,破棄されているようです.

この秋田県立大学の研究では,この捨てられる廃油をどうにかして再利用できないかと,堆肥づくりに目を向けるのですよね.
もちろん,廃油は肥料成分は含みません.しかし結論から言うと,どうやら堆肥化の過程で,微生物のエネルギー供給になっているようです.この実験を経て,堆肥の腐食化が促進されて,さらにアンモニアの揮散量が抑えられたと言うのですね.

実験の内容は以下です.

実験の内容

消化汚泥(おでい)に有機物を混ぜ込み,これが約700gですね.
堆肥化をするのですが,その中に廃油を添加します.
この700gの中に,廃油を100gと200g添加して,約3ヶ月に渡って,廃油による影響を調査したのですね.また,追加の実験で,廃油を入れたものと入れてないものの堆肥化の検討もしてます.

ここで,汚泥というのは,漢字では,汚れた泥と書きますが.下水処理場の処理過程や工場の廃液処理過程などで生じる,有機質の最終生成物が凝集して出来たものですね.よく肥料や燃料などへ再利用されます.
そして,消化汚泥というのは,汚泥を再利用する過程で「消化」という処理が済んだもので,悪臭が少なく,汚泥内の病原菌が死滅しているため,肥料として利用できる状態に近いものです.

実験結果

実験結果ですが,冒頭でも申し上げたように,廃油量が多い方(200g)が微生物の活性がよくなります.温度が高い状態(40度以上)が50日続き,比べてみると,腐植化がかなり進んでいるみたいでした.
また,追加の実験の結果ですが,廃油を入れた方が,二酸化酸素の発生も5倍以上多かったとのことです.堆肥化の分解の過程では,二酸化炭素や水などを放出しながら,分子の小さいものへと変化していくのですね.

さらに,アンモニア揮散が1/2程度へ抑えられたと言います.
やはり堆肥化の中で起きるアンモニア揮散というものは,肥料成分(大体は窒素分)の損失です.
さらに,アンモニアが空気中に出てくると,悪臭だけではなく,酸性雨の原因物質だと言われておりますね.なので,アンモニア揮散の抑制というのは,匂いも減らし,環境負荷も抑え,野菜に良いという商売の話ではないですが,三方良しというところでしょうか.

また,「魚心あれば水心」という言葉があります.
これは,魚側に水と親しむ心があれば,水側もそれに応じる心はあるよ!という意味ですね.
ざっくりいうと,好意を持とうね!ということですね.

農業的にいうと「堆肥心あれば水心ならぬ油心」でしょうか.
堆肥側に油と親しむ心があれば,より良いものができるというわけですね.
冒頭の水と油を持ってきました!笑
(どうでも良いですね.)
ちなみに,水と油が混ざった状態は乳化と言いますが,例えばマヨネーズやドレッシング,生クリーム,バターなんかがありますね.

はい,ということで,今回は「食用廃油を利用すると良い堆肥が作れる」というお話でした.
僕も一度,個人的に実験してみて,またどのような仕上がりになるか,という共有をさせていただきます.