コーヒー粕を肥料として野菜にあげるのはどうなの!?また堆肥化は!?
この記事のポイント
  • コーヒー粕に含まれる窒素は難分解性!
  • 生育阻害効果を利用して除草目的として活用がオススメ!
  • 土壌改良や,上手く使えば堆肥化としては利用できる!

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は「コーヒー粕を肥料として野菜にあげるのはどうなの!?また堆肥化は!?」というお話をさせていただきます.
コーヒー粕は,有機物としてはかなり手に入りやすいもので,施用されている方も多いと思います.他のyoutuberさんも,コーヒー粕は野菜の肥料になるよ,とか良質な堆肥が作れるよ!という動画がありましたが....結論から言うと「使うのであればかなり慎重に行った方が良い」と言うことをお伝えしたいと思います.

コーヒー粕を使用したいくつかの研究があるのですが,現在,学会の常識では,コーヒー粕は,作物に対して生育阻害になる作用が含まれているので,直接かけるのはよろしくないです.そして,堆肥化はどうかと言うと,コーヒー粕のみを使った堆肥化も効果がないような研究がいくつかあります.他の資材とコーヒー粕を一緒に使って堆肥化すると良いものもありますので,今回こちらも紹介していきます.

僕自身も,去年,他の無農薬栽培をされてる農家さんから,からし菜につくダイコンサルハムシの防除で,コーヒー粕を教えていただき,毎朝かけていたのですが,肌感としてあまり効果がなかったのと,野菜の生育自体もそんなプラスに働いてたか,と言われるとかなり微妙です.なので,今年はやっていないですね.

また,フルーツほおずきにつくホオズキヘリカメムシの防除に,コーヒー散布+手で一つ一つ取り除く防除をして,初期発生には効果があったかなと思いますが,その後増えた,ミスジクビボソハムシには効きませんでした.結局全滅しましたね.

今回は,そんなコーヒー粕について取り上げていきます.

コーヒー粕とは!?

コーヒー粕とは,焙煎・粉砕したコーヒー豆に,熱水でコーヒー抽出した後に出る残渣ですね.

phは弱酸性で,乾燥させたものは窒素が2%,リン酸が0.2%,カリが0.3%入っております.
また,C/N比は25程度で,炭素と窒素のバランスも米ぬかと近く,かなり良いとされてます.
この数字は,神奈川県農総研さんのデータです.

数字だけ見ると一見,とても良質な有機物として活用できるかと思われますが,実はそうでもないのですね.

窒素分が2%も含まれていますが,このコーヒー粕に含まれている窒素分は難分解性であり,微生物分解を受けにくいのですね.コーヒー粕だけを積んで時間をかけると,徐々に分解が進み,見た目が完熟に見えても,畑に入れると窒素飢餓が起こる可能性が高いです.これは無生物がコーヒーカスに含まれる窒素を利用できないため,土壌から窒素を吸収することになる方です.

けんゆー

これまでコーヒーは良質な有機物だと思っていたのに...

肥料としての作用

基本的には,生育を阻害することが知られているので,肥料として利用をするのはNGですね.
どうしてもコーヒ粕を有効利用したい!という場合は,原則は堆肥化です.

また,肥料として施用すると生育阻害が起きるので,除草剤の代わりに活用することはできます.
コーヒーマルチと呼ばれることもありますが,コーヒー粕をそのまま使いたい人にはオススメです.

けんゆー

除草目的で使うと良いんだね!

堆肥化

コーヒー粕を堆肥として活用したい!という場合は,他の資材と組み合わせると良い効果が出ると言われております.

それは,緑茶粕です.
これは,「コーヒー粕の堆肥化副資材の違いが腐熟に与える影響」という名城大学から出ている研究(日本土壌肥料学会)があるのですが,こちらでは,コーヒ粕の堆肥化に関して,色々と調査されております.
コーヒー粕単体での堆肥化,さらに緑茶粕を入れたもの,米ぬかを入れたもの,土壌での堆肥化の4つを検討しておりましたが,最も効果的であったのは,緑茶粕でした.

緑茶粕と組み合わせると,分解の過程で温度も上がり,無機態窒素量が高かったのですね.
緑茶を入れないものだと,コマツナの根っこの伸長を抑制しました.

コーヒー粕の良い点

コーヒー粕の良い点は,多孔質の形状です.
土壌の物理性の改善,通気性をあげる役割は認められております.
そのようなことを狙って,堆肥化の資材として入れる方もおられます.

コーヒ粕の施用が作物生育と土壌理化学性に及ぼす影響」という論文,こちらも日本土壌肥料学会から出ている論文ですが,こちらにも,コーヒー粕は,作物への窒素飢餓,そして作物の生育阻害を確認しています.
ただ,コーヒー粕を使った土壌の物理性の改善は確認してます.
コーヒー粕には土壌の団粒化に良いという研究結果が出ておりますが,やはり本論文でも作物の作付けは3ヶ月以上はしてはいけないという条件付きです.
土壌の物理性がかなり悪い場合,こういったことを念頭に置いて活用されてください.

ほかにも,悪臭アンモニアを吸収する働きが認められてます.
そのため,家畜糞のように,匂いが強烈な有機物に混ぜて,匂いを抑えるという使い方もできます.
しかし,あまり入れすぎると,窒素の吸収も同時に起きて,肥料効果が下がりますので,使う際は気をつけましょう!

けんゆー

ラジオでもお話ししているので,聞いてみてね!