- 堆肥を入れてもその年の窒素分はほんの少し.
- 長年かけてじっくり効くので連用は注意が必要.
- 植物性と動物性の混合堆肥は分解できてるか確認しよう!
ハイサーイ!
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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
本日は「堆肥の効き方」を紹介しておこうと思います.
有機栽培などをされている方であれば,堆肥を活用してる方が多いと思います.
その堆肥の効き方,しっかりとわかっているでしょうか.
今日は,堆肥を入れた後,窒素がどのくらい放出され効いていくのか,というのを共有したいと思います.
また,堆肥を使ったことがないよという人も,知っておいて損はないと思います.
僕らもほぼ外部投入をしないのですが,堆肥の性質を知っていて使わないのと,知らないで使えないのでは大きな差がありますし,例えば,他の圃場へ見学に行った際も,使っている堆肥の情報などを効いて,ある程度畑の状態がわかるようになるのかもしれないです.
堆肥からの無機態窒素放出.
前回,牛糞堆肥,土に入れて100日後,養分はきちんと植物に吸収されるの?という記事を書きました.
この記事の内容 牛糞堆肥が無機態窒素となるのは時間がかかる. 牛糞堆肥以外にも,有機物は時間がかかる. C/N…
そこでも軽く触れたのですが,堆肥を入れても植物が吸収する窒素分の放出が100%出るわけではありません.
とても緩やかに何十年もかけて出てくるということがあります.
今日は,そこを少し深掘りしたいのです.
その年の窒素放出分はほんの少し.
「基礎講座 有機農業の技術」からの図の引用なのですが,こちら見てください.
こちらの図は,中熟の稲わら堆肥を毎年畑に入れた場合の,残存率と分解率を示してます.
毎年連用して畑に堆肥を入れてます.
横軸が,連用した年数で,縦軸に残存率を示してます.
つまり,堆肥の窒素が分解されて無機態窒素になり,植物が吸収できる状態になった分だけ,グラフが下がっていきます.
このグラフを見ると,中熟の稲わら堆肥は一年目は13.2%しか,無機態化せずに,あとは残存してます.
翌年には,連用なので,さらに同様に中熟の堆肥を入れます.
つまり,2年目には,当年分の13.2%に加えて,昨年施肥した1年前の分7.6%がプラスされて畑に放出されます.
足し算すると,2年目には1年間に施用した堆肥中の全窒素20%程度が無機化される計算です.
3年目,4年目にはさらに足し算されます.
堆肥の効きというのは,年々増えていくので,逆に調節するのが難しくもあります.
こう言った事実もしっかりと把握した上で,調整していただけると良いかと思います.
有機物資材にも特性がある.
堆肥を選ぶ際にも,使われている有機物資材でもそれぞれ特性があります.
こちらも本書「基礎講座 有機農業の技術」からの引用なのですが,共有させてください.
こちらは,農林水産省の研究所が報告しているデータです.本書を参照しております.
代表的な有機物資材を連用したときに1年間に放出される無機態窒素量の推移を示してます.
例えば,黒いひし形◆で示したオガクズなどは面白いですよね.
オガクズはC/N比が200~300とかなり高い資材です.
すなわち,炭素分が多く,窒素含量がかなり少ないのですよね.
そのため,無機態窒素の放出がマイナスになる期間が27年も続くわけです.
色々な資材の堆肥の窒素放出.
ちなみに,堆肥化されてない有機物の場合,無機態窒素放出がマイナスになることがありますが,基本的に堆肥にしたらどれも一年目からプラスになって無機態窒素は出ます.なので,畑に入れる時には,きちんと堆肥化をしてください.
この記事のポイント 有機物を畑に入れる時は堆肥化する必要がある. 堆肥化しないと,窒素飢餓が発生することがある…
堆肥の作り方自体もそんなに難しくもなく作れます.
好気的分解を促進するために,水分の調整や通気の量,切り返しなどをある程度行う必要があります.
以前コメントなどで,堆肥化した時に,完熟の目安が分かりにくいと言われたのですが,目安としては,悪臭がなく,触った感じも土っぽく仕上がっており,材料がよく分解されていたらおおよそ使用目的にあったものになっていると思います.
以下は,本書から参照した堆肥の例ですが,やはり堆肥化すると,無機態窒素が一年目からプラスになります.
横軸に,連用年数をとっており,縦軸に窒素放出の推移を見てます.
バーク堆肥や,稲わら堆肥はゆっくりと効いていきますが,豚糞堆肥などは,他と比べて窒素放出量がやはり多いのが観察されます.
堆肥メーカなどによっては,家畜小屋の敷料にオガクズを使っているところも多く,これらを利用してオガクズ豚糞堆肥などが作られます.ただ,このようなC/N比が極端に違うものが入っている場合,きちんと混ぜられて堆肥化されてないと問題が起こるケースが報告されております.例えば,分解の遅いオガクズが塊になっていたりして,畑の中で,堆肥中からそれらがポロッと出た場合,オガクズの影響で,窒素放出がマイナスになることもあるようです.
そのため,そういった堆肥を使う時には,中身をよく確認しましょう.
この記事を最後まで読んでいただきありがとうございます.
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