- 硝酸態窒素は毒である!という説は正しいのか?
- 現在の科学の認識ではどうなのか?
- 発癌性やブルーベビー症候群についても解説!
不本意ながら笑ってしまった.青に
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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
今回は「野菜に含まれる硝酸態窒素(硝酸塩)と人体への影響」についてお話ししたいと思います.
硝酸態窒素(硝酸塩,硝酸イオン,硝酸性窒素とも)というのは,野菜が窒素分を吸収するときの形態の一つです.
野菜の栄養素としてとても重要なものでありながら,過剰に窒素が吸収されてしまうと,人間へも毒になってしまうのではないかと疑問の声が上がってました.
従来は,野菜の中に含まれる硝酸態窒素は,発癌性があるとか,何らかの病気になりやすい!と言われてますが,そこらへんはどうなのでしょうか.
日本や海外の取り組み,そして最新の科学を見て,実際に硝酸態窒素が悪いのかどうか,考えてみたいと思います.
硝酸態窒素はヒトの健康に必須なものである!
結論から言いますと,硝酸態窒素が人間の健康被害を誘発するというのは,現在の科学の上では認められておりません.
むしろ,人体には必要なものであるというのが正しいです.
ただ,窒素分(肥料)を過剰に投入した畑で作られた野菜には,その野菜中に過剰な硝酸態窒素が含まれることが多く,それが原因で,虫にやられやすくなったり,健康的な生育をしなかったりするということは言われております.
今回は,なぜ硝酸態窒素が人体被害を及ぼす,などと悪者扱いされているのか,そして,現在科学では,どのようなメリットが明らかにされているのかをなどをお話しさせていただきたいと思います.
硝酸態窒素の理解の誤り.
硝酸態窒素は,元々は,世界的にみても,あまり良い印象はありませんでした.
日本もかつて,農林水産省が,硝酸態窒素をH28年まで有害化学物質として認めておりましたし,農業技術の基本指針も,硝酸塩対策をするようにされてましたし,農研機構さんも2006年までは,「硝酸イオンは,人にとって全く必要のないもの」としておりました.
しかし,これらは全て撤回されてます.
農研機構さんはむしろ,「有効な効果も見つかっている」ということを記載しております.
農林水産省も硝酸に対する考え方が大きく変化しております.
WHOなど,世界でも,20年ほど前から硝酸態窒素に対する見方が変わってきております.
これは,多くの研究によって,その有効性が認められ,そして従来言われていた硝酸態窒素が,発癌性やその他の病気などの原因であるという証拠が認められないという結果が支持されております.
硝酸態窒素の効果
逆に硝酸態窒素は,糖尿病や多くの循環器疾患を抑制するという研究報告,(日本土壌肥料学会,肥料・ミネラルと人の健康,2017)また,2016年では,ハーバード大学から緑内障の発症が抑制されるなどの報告もあります.
さらに,2018年に日本薬理学会から「硝酸塩/亜硝酸塩の不足は代謝症候群,血管不全,心臓突然死を引き起こす」という研究レポートが出ております.
また,ハーバード大学は299,915人を対象に,24年間調査し,悪性脳腫瘍の発生について調べましたが,発癌性の関係性が認められなかったと報告されております.これは,日本土壌学会の2017年の同報告レポートからの引用です.WHOも,ヒトについては発癌性に関する十分な証拠はないとしております.
つまり,今まで有害とされていた硝酸態窒素が,逆に人の健康にプラスに働いていたという事実がいくつも報告されているわけです.
もちろん,適正な摂食という意味です.何事もとり過ぎは良くないのですが,これまでダメだということが言われていたものが,実は違ったということですね.
なぜ違ったのか?
2019年に書かれた,日本農芸化学会の「野菜に含まれる硝酸塩は毒か薬か?」という研究レポートがあります.その中で,なぜ硝酸塩が悪者にされていたのか,なぜ「野菜毒性説」が騒がれていたのか,その原因がまとめられて,報告されてます.
メトヘモグロビン血症
一つ目に,1945年にメトヘモグロビン血症について書かれた論文がきっかけになったと言われます.
別名,ブルーベビー症候群と呼ばれるものです.その名の通り,乳児の身体が青くなるというものです.
皮膚や結膜が青紫色になるチアノーゼが特徴で,1940年代当時は,死亡率はものすごく高かったのです.
時は,井戸水へ窒素肥料が混入し,その汚染水を使ってミルクを作り,それが原因で発症したと言われてました.その結果,硝酸態窒素が全て悪い,ということが言われ始めるわけです.3ヶ月未満の乳幼児に限っては,硝酸塩を処理する能力を持っていないため,メトヘモグロビン血症にかかる可能性はありますが,そもそも,不衛生なものは良くないというのが見解で,現在は,離乳食由来の食中毒なども言われております.
硝酸態窒素の分解
乳幼児以外は,きちんと分解ができるようですね.日本農芸化学会の「野菜に含まれる硝酸塩は毒か薬か?」という研究レポートには以下のような説明がされてます.
ヒトの口腔内および消化管内にはさまざまな共生細菌が常在しており,土壌細菌と同じような窒素循環系を形成している.経口摂取された硝酸塩の半分程度は,腸管内の脱窒細菌によってガス状成分に変換されるか,微生物自体に同化されて便として排出される.吸収された硝酸塩の一部は唾液として分泌され,口腔内共生細菌によって亜硝酸塩に変換され胃に送られる.
亜硝酸塩は胃液と食物中の還元物質によりNOに変換され,生理機能を発揮することができる.乳幼児はメトヘモグロビン
還元活性が低く,窒素代謝に必要な共生細菌が充分に定着していない.このことから,乳幼児では硝酸塩(亜硝酸塩)感受性が高くなってしまう.
ただ,硝酸態窒素の分解ができるからといって,やはり単一成分の過剰摂取は危険であるとも記載されてます.サプリメントや,高濃度硝酸塩を含む飲料水の常用などは注意してねと言っております.
低濃度の硝酸態窒素の野菜作りがされる?
硝酸態窒素が,健康被害をもたらすものではなかったと言われる一方で,しかし,野菜作りの現場では,硝酸過剰になる野菜は虫がつきやすかったりするので,気をつけようと言われます.また,窒素肥料の入れ過ぎにより,土壌汚染,地下水汚染なども指摘されております.
窒素分は,野菜や果樹が生長する上で欠かせない栄養素なのですが,適量は守ろうねというのが,言われております.
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