- オーキシンはギリシャ語で「育つ」という意味!
- 植物の生育に必要な最も重要なホルモン.
- 良い効果をもたらすものでも,やりすぎは良くない.
ハイサーイ!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
今回は「植物ホルモンの作用」についてお話します.
あまり書籍を信用しすぎると盲目的になるので,ざっと論文を調べてみました.
なので,ちょっぴり専門用語が多い内容になっているかもしれませんが,なるべく,伝わるように頑張りました!
オーキシンという最重要なホルモン!
Natureという権威のある雑誌に掲載されたJudy Callisさんが書かれた記事(Auxin action, 2005)があるのですが,こちらには,植物の生育には,少なくとも8群の化学物質が関わっているといい,これらが,植物の生育や発達,環境への応答を調整していることが示唆されているのですね.
その中でも,1軍にあたるオーキシン群の働きは抜きん出ているといいます.
一言にオーキシン!と言われる場合が多いですが,厳密には,オーキシン類として,その中でもいろんな物質があるのですね.
植物ホルモンの中でもかなり重要な働きをするのは「オーキシン類」ですね.
ギリシャ語で「育つ」という意味なのですが,これらは,植物の生育を担っているものですね.
現在,どの植物でもこのオーキシン類を生合成できない植物は見つかっていないと報告されてます.
つまり,全ての植物が合成するものであり,それが生育に大きな役割を担っていることが証明されています.
もともと,このオーキシン類という植物ホルモンは,1880年から,チャールズ・ダーウィン先生が植物体内を移動する成長促進物質として報告しており,その50年後,1930年代には,この正体が,インドール-3-酢酸(IAA)であることが突き止められたようです.このIAAは,オーキシン類の中でも,広く存在する物質のようです.園芸分野では,挿し木の根の発達促進剤として,このIAAが長く使用されているようですね.
また,除草剤にも使用されているようで,オーキシン濃度が高いと,植物は死んでしまうのだそうですね.
まさに,「過ぎたるは及ばざるがごとし」ですね.
良い効果をもたらすと言われるものでも,やり過ぎは害になるのですね.
オーキシンは,IAAだけではなく,例えばPAAと言われるフェニル酢酸,そしてマメ科が生成する4-クロロインドール-3-酢酸もオーキシンとして認知されていますね.
オーキシンは,具体的にどのような効果があるのか!?
いわゆるIAAと呼ばれるオーキシンですが,これは,胚の発生,維管束形成,頂芽優勢,果実形成,重力屈性,避陰反応など,多くの生理現象に関わるホルモンのようです.
チャールズダーウィン先生も,植物が光に向かって曲がる屈性試験からこのオーキシンを理解してきたとされています.
オーキシンはどこで作られるのか!?
このオーキシンが一体どこで生成されるのか?というと,主に枝の先端や茎頂(茎の先端部分)で生成されて,そして重力方向にしたがって,木全体の細胞間を移動して,そして生育や果実の発育に良い影響を与えると,いうことが常々言われておりました.
こういったある決まった方向に移動していくことを極性移動と言います.
この極性移動によって,細胞間を移動していき,植物組織の中に,オーキシンの濃度勾配をつくり,生育の発達を促すのです.
なので,初めから木の枝を水平もしくは下方誘引をするのではなく,立ち枝にしておく,ということが果樹栽培や野菜の栽培で良いかも?ということでしたね.
これは,前回の記事でもお話しした「高糖度・連産のミカンつくり」や「まる農のひと」でもそういう理屈でお話をしました.
この記事のポイント 果実の重さで枝が横に寝るような木の仕立て方をする. 早く咲く直花(じかばな)よりも,新葉( …
この記事のポイント 肥料に力を入れるのではなく,植物本来の力を生み出す! 植物ホルモンのオーキシンやジベレリン …
しかしながら,直近の研究では,どうもこの理論が少し拡張され始めてきているようです.
2017年の,日本農芸科学会の,「植物におけるオーキシンの生合成とその調節機能」という文献なのですが,オーキシンの発言が,茎頂(けいちょう)だけではなく,葉っぱ根っこなど,様々な器官でも作られていることが記載されております.
オーキシンの移動については,高校生物でも学習するのですが,これが少し違っているという可能性が示唆されているのですね.また,このオーキシンの決まった方向に移動する極性移動という特性も,これまでは支持されていたのですが,この特性を持たないオーキシンが陸上生物に広く存在することがわかってきたのですね.
これまでのことが間違っていたというよりも,これまでよりももっと複雑に植物の中でホルモンの活動がなされていたということで,栽培方法もまだまだ最適な方法があるのではないかな?ということを示唆しているわけです.
面白いですね.
僕らも,現場で,トマトなどぎゅっと縛って,立てて栽培するとか,果樹の徒長枝も敵視しないで栽培をしてみているのですが,まだまだ分からないことが多そうです.
ちょっぴり科学チックなお話になりましたが,人間がわかっていることなんてこの世界のほんの0.1%ほどであると言われているので,これからの未来,多くの楽しいことがありそうですね.
作業しながら聞けるのでラジオはオススメですよー!!