【マル農のひと】植物ホルモンを十分に生かすためには,植物はぎゅっと縛ると無農薬でも立派に育つ!?
この記事のポイント
  • 肥料に力を入れるのではなく,植物本来の力を生み出す!
  • 植物ホルモンのオーキシンやジベレリン,エチレンなどに目を向ける!
  • 徒長枝を活用したり,畑の石ころをとったり!

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は「植物の持つ植物ホルモンを十分に生かすためには」というお話をしたいと思います.
農業関連の面白い本を読みまして,今回の内容は,本書の紹介を込めて自分なりにここはぜひ試してみたいな!という内容をお話させていただきます.

タイトルは「マル農のひと」2020年8月31日発行,著者は金井真紀さんという方なのですが,これは,多くの農家さんを取材して,その知見を寄り添ったようなオムニバスな内容なのです.
その中で,広島県のある一人の農業技術指導者さん,その方とは,道法正徳(どうほうまさのり)さん,という方の栽培方法が理にかなっていて面白かったのですよね.

本の見どころ

こちらの本の見どころは,栽培方法もさることながら,実はヒューマンドラマ的なものが売りなのかもしれないですね.
この方は,大学卒業後,JAの技術指導員になるのですが,なかなかの不撓不屈(ふとうふくつ)の精神で,我が道を歩いていくのですよね.
組織の中の一人という,個人での動きにくさと,それに屈しない行動力がドラマを生むんですね.そしてそこが同時に面白いなあ,と思わされるわけでございます.
左遷とか日常茶飯事ですからね.まさに,「それでも地球は回っている」と地動説を唱えたガリレオガリレイばりのヒューマンリアリティショーですね.
ガリレオガリレイは,何度も裁判にかけられ,地動説が間違いだと言わなければ,死刑!とまで言われていますからね.ガリレオは泣く泣く,承諾して「天動説」だというのですが,ボソっというんですね.「それでも地球は回っている」と,

話を戻しますが,

道法さんが推奨されている「植物をぎゅっと縛る」という方法で野菜や果樹を育てるという方法なのですが,こちらがかなり理にかなっているのですよね.
なぜなら,この方の理論は「植物ホルモン」に目を向けることなのですね.
一般的な栽培者って,肥料,窒素・リン酸・カリを入れることに注力をしますが,この方は,植物ホルモンが最大限に生きる栽培をされているのですね.

しかしながら,この方法は,やっぱり現代の栽培では受け入れ難いことが多いようで,ここが,ヒューマンドラマを生むのですね.

例えば,果樹栽培では,徹底した水平誘引,枝はに,地面と水平に這わせる!ということがゴールドスタンダード,つまり,水平誘引こそが,立派な果樹をつけるための,容認された最も良い方法だったのですが,彼は違うのですよね.
植物をぎゅっと縛り,立ち枝(一般的に徒長枝と呼ばれるもの)を剪定せず,逆に横枝を切る!
そうすることで非常に美味しい作物ができるということなのです.

こうすることで,植物が自身で植物ホルモンを十二分に発揮し,肥料や殺虫剤,農薬のいらない栽培が可能であるといいます.

例えばオーキシン,これはギリシャ語で成長を意味しますが,その名の通り,植物の成長に必要不可欠な植物ホルモンです.
茎の身長,果実の肥大,根の発達に関わっている重要なホルモンです.
このオーキシン,実は新葉の先端で作られ,それが下へと運ばれて根を伸ばすのですね.
この植物ホルモンの移動の流れを加速するのが,地球の重力です.
枝が横に曲がっているよりも,垂直にピンと立っている方が,オーキシンが根っこに向かいやすいのですよね.
すると今度は,阿吽の呼吸の如く,根っこの先端で,ジベレリン(前回の放送でやりました!)が作られて,それが植物の上の方へと運ばれる.
ジベレリンというのは,果実の生成を担っている大事な植物ホルモンです.これが植物を元気にして,糖度の高い良質な果樹を作る秘訣だといいます.

そして,本書では,立ち枝を切らないで得られた果実の実績がいくつも紹介されております.
これはさらに,果実だけではなく,多くの植物でも成り立つ法則果物でも野菜でも全て同じなのですね.芽かきをせずに垂直に縛る.それだけです.

その他,石を取り除かない農法

従来は,畑の石ころを積極的にするべき,という農法が一般的であったと思いますが,本書によると,畑の石ころが多い方が,良質な作物が獲得できるといいます.
その理屈は,根っこが硬い石ころにぶつかり出てくる,エチレンという植物ホルモンなのですね.エチレンは接触刺激で出てくるホルモンなのですね.

エチレンの仕事は果実を美味しく成熟させること,そして病害虫を防ぐことにあります.

道法さんは,農協におりましたので,色々な農家さんの作るミカンを知っていて,それぞれがどのくらい甘いかも知っていたのですね.
そして,当時は糖度の高い良質なミカンを作る農家は,日当たりと水はけを考慮して南向きの斜面にある畑ばっかりだと考えられていたのですが,統計的に調べてみると,実は違ったのですね.
畑の中にある石ころの量だったのですね.一生懸命畑の石を取り除きましょう指導している時代であったので,衝撃的な発見だったようです.
僕も以前,現代農業かどこかの記事で,畑の石ころは捨てないように!という記事を見たことがあるので,納得感がありました.

また,僕らのアボカドの圃場は,山の中なので,,かなり石というか岩がゴロゴロしているのにも関わらず,立派に生育しているので,腑に落ちました.
こちらの本,かなり面白かったです!ということで,紹介チックな内容になってしまいましたが,もしご興味があれば,ご一読下さい.