- 茅葺き屋根の材料として使われていた草の総称.
- 硬く柔らかい有機物なので,分解がゆっくり継続してなされる.
- 放線菌やバチルス菌に好まれるので,病原菌対策によい!
ハイサーイ!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
本日は「かやって何!?実は優秀な有機物!堆肥作りにも良いよ」というテーマでお話しします.
秋のこの時期は「茅(かや)」と呼ばれる「ススキ」や「チガヤ」などのイネ科植物が多く見られると思います.
そして,草刈りに勤しんでおられる方も多いと思いますが,そんな彼らの特性をお話ししていきたいと思います.
もしかしたら,草刈りがより一層楽しくなるかもしれません.
有機栽培や家庭菜園をされている方の参考になれば幸いです.
そもそも茅って何!?
茅というのは,茅葺き屋根(かやぶきやね)に使用される草のことです.
地域によって,茅の材料は色々とありますが,代表的なものは,ススキやヨシ,チガヤ,オギなどがありますね.
余談ですけれども,ススキは尾花といって,秋の七草として知られている草でもあります.
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秋の七草は,萩の花,尾花,葛花,撫子の花,女郎花,藤袴,朝貌の花だったね!
瓦屋根が普及する前には,ススキとかヨシなどの茅が使用されておりました.
今でも,ヨシを使った葦簀(よしず)という「すだれ」を日よけ目的で使用しているご家庭は多いのではないでしょうか.
総称して茅というものは,手に入りやすく,そして防水性が高い材料として知られております.
ムギワラやイナワラよりも,油分が多く含まれるので,水を弾くのですね.
屋根だけではなく,肩に羽織って使用する蓑(ミノ),雨具として利用していたり,茅を編んだ帽子もありますね.
僕も夏の猛暑の時は,茅の三角帽子を使っておりました.涼しいのですよね.
農協さんで500円くらいで売っていたよー!
ススキの特徴
ススキは,イネ科の多年草です.
秋に穂(タネ)をつけますが,その後,地下茎に養分をため込む性質があります.
そのため,秋に草刈りをして地上部分を刈っても,また春には成長してきます.
実は,このススキは,一般的な植物が吸収できないリン酸アンモニウムを吸えるという特徴があります.
日本の土壌の多くは,火山灰土壌で,表層は多くの腐植を含んでいるため黒色ですが,下層は褐色です.
火山灰土壌では,排水がよいため,耕うんが楽ですが,土壌から塩基が溶脱され酸性で植物に有害であると考えられるアルミニウムイオンが活性化します.
この土壌中のアルミニウムによりリン酸の固定がなされ,土壌に多く残るという特徴があります.
火山灰土壌というのは,日本の大部分を占めますが,北海道,東北,南関東,九州などによく分布する土ですね.
このような地域では,肥料を土に入れても,リン酸が残ってしまう,ということがあるので,結果,ススキなどのリン酸アンモニウムを吸える植物が多く見られるということになります.
現在は,茅が生える草地はかなり減ったのですが,かつて日本では非常に多かった,なので,春先に野焼きといって,茅場を燃やしておりました.
森林化を防ぎ,新芽を焼き払う目的がありました.
しかしながら,この茅が家畜の餌や敷料(しきりょう)になっていたのも事実で,他にも野菜作りに欠かせない肥料やマルチなど多くの用途がありました.
茅の特性をもうちょっと深掘りしたいと思います.
茅の特性
実はこの茅を使って,野草堆肥や雑草堆肥を作っている方がおられます.
僕も主にチガヤを使って,堆肥づくりをしているのですが,草を刈って,積み上げておくだけで完成するので,楽です.
また,草刈りが楽しくなるのですね.
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そんな茅の特性をご紹介したいと思います.
- C/N比は40~80と高いが,実は柔らかい!
- 病原菌を抑える働きのある放線菌やバチルス菌(枯草菌)が長期にわたって働く!
- ケイ酸が多く含まれており,作物が強くなる!
やわカタイ材料!
C/N比というのは,炭素と窒素の比ですが,炭素量が多いと分解が遅いのでカタイ有機物と呼ばれることが多いです.
茅のC/N比は40~80と,そこそこ高くてカタイと思われますが,実は分解しやすい易分解性の炭素である糖やタンパク質が多いのです.
茅の外側の表面は,セルロースやリグニンなどの難分解性ですが,もみがらなどよりも非常に扱いやすい有機物なのですね.
米ぬかなどは,C/N比がだいたい20ほどで,炭素と窒素のバランスが非常によく,分解もされやすい有機物なので,施用(しよう)から一気に微生物の量がドバッと増えますが,長期間持続しないのですよね.
そのため,米ぬかと茅を使って,堆肥化させるということが多くなされます.
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組み合わせが効果的なんだね!
放線菌やバチルス菌(枯草菌)とは!?
放線菌(ほうせんきん)もバチルス菌も,植物病原菌を抑える役割があります.
放線菌は,肉眼でも確認できます.
白い粉が吹いたような様子が観察できます.
土壌を肥沃にする腐植物質を作り出します.
バチルス菌というのは,納豆菌の仲間で,好気性の菌ですね.
セルロースのようなカタイ有機物も分解してくれるもので,植物病原菌を抑える役割があります.
ケイ酸の役割
茅で作った堆肥には,ケイ酸が多く含まれます.
このケイ酸が,植物の茎や葉を丈夫にし,抵抗力を強化する源になったり,光合成効率や,塩害の軽減,さらに,土壌のりん酸固定を抑制し,りん酸肥効を増大したりとたくさんの効果があります.
この時期,あちらこちらに茅があると思いますが,積み上げておいて,堆肥を作り,来年もしくは再来年,活用してみてもよいかなと思います.
ということで,今回は,茅の特性や効果についてお話をさせていただきました!ご参考になれば幸いです.
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