タヒチモンビンの基本的理解と栽培
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けんゆー

こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.


けんゆー

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今回はタマゴノキ(タヒチモンビン,クドンドン)について紹介していく.
本種は,ピクルスや薬草のような苦味の中に,ほんのり甘い味質もあり,好きな人はハマりそうな果実をつける.
YouTubeの方でも解説しているので,ぜひ気になる方は以下の動画をどうぞ

タヒチモンビンとは!?

タヒチモンビンは,クドンドン(マレーでの呼ばれ)や,タマゴノキ(和名)などと呼ばれている.
種小名のdulcisは,甘いという意味があり,完熟収穫をすると,果実もタネ付近は甘い.
ただし,果肉の外側,皮付近は渋みや薬草感があり,苦手な人も多そうだ.
品種を選べば美味しいものもあるということだ.

岩佐氏の「図説 熱帯の果樹」によると,タヒチモンビンは半落葉性の中高木とある.現地で栽培をすると,樹高は12mくらいになる.

日当たりのより場所で栽培することが推奨されており,日陰では成長が遅い.土壌は選ばず,多くの場所で栽培が可能である.

原産と広がり

タヒチモンビンの原産は,ポリネシアのソシエテ諸島やトンガ諸島,メラネシアのフィジーなどと言われている.

そこから1782年にジャマイカに移り,そこからさらにハイチやブラジル,フロリダやカリフォルニアに伝わった.ただ,カリフォルニアでは越冬せずに定着してなかった.また,フロリダやブラジルなどでも栽培は少しである.

アジアでも栽培は少しで,ジャワやマレーシアなどで若干である.
台湾へは,ハワイから1931年に伝わった.

本種は,熱帯低地(標高700m以下)でよく栽培されている.
年間の日中の気温が22~27℃の範囲が望ましいが,12~35℃は耐える.0℃で深刻なダメージを受けると言われているが,-3℃では生存ギリギリであると言われている.

果実について

果実は,卵型もしくは倒卵形である.
果実表面に縦線が入っている.

果実は,熟すと以下のように黄色くなる.

こちらのフルーツは友人のこーりゅさんからいただいたものだが,積極的な摘果を行なって果実を大きくしたようだ.62.7gもあった.皮を剥いて食べたが果汁が多く,果肉の内側が甘くて美味しかった.以下はタネであるが,繊維がすごかった.
また,果肉と繊維が絡まっており,食べるのが少々困難であるが,タネを吸う感じで食べると美味しく食べれる.ビタミンCの含有量が高いと言われている.

糖度は10.8%とそこそこ高かった.

花について

タヒチモンビンの花は,上記のようにたくさんの白色の小花が円錐形の総状花序としてつく.
枝先から花を咲かせる.同じウルシ科のマンゴーのような咲き方をする.
果実の王様「マンゴー」について!実は600種類以上の種類があるよ!!
上の写真は2024年2月6日の写真であるが,花を咲かせながら,果実をぶら下げている.

葉について

葉は,奇数羽状複葉で,枝に互生してつく.本種は葉が13枚であるが,大体は11~23枚になり,奇数枚となる.葉の縁には,若干の鋸歯があり,学術的には円鋸歯状と呼ばれる.

複葉は,かつて元々は単葉だったと言われている.以下の図のように,受光効率などを最大化するために,変容を遂げているとされる.他に,羽状複葉をもつ果樹としては,スターフルーツなどがある.
(参考:南国の果物を作っている生産者が「スターフルーツ(ゴレンシ)」を徹底的に紹介します!!【写真盛り沢山】

品種に関して

沖縄に入ってきているタヒチモンビンの品種については不明であるが,比較的品質が良い系統も認められている.ピタンガなどもそうだが,渋くて美味しくないものもあるし,ラバーやバーミリオンなどのように,とても美味しいものもある.
(参考:ピタンガの基本的理解・栽培方法,最新品種など

図説 熱帯の果樹」によると,R.Mansfeld氏が本種を以下の5つの変種に分類したようだ.

  • Cytherea タヒチ,ソシエテ,フィジーなどの変種.
  • Mucroniserrata メキシコ産,微凸鋸歯があるの意味.
  • Macrocarpa ブラジル産,大きい果実の意味.
  • Acida マレーシア産,酸が多いという意味.
  • Integra アンボイナ産,全縁であるの意味.

美味しい品種は,テルペン臭もなく,かなり質が良いとのことなので,きちんと選抜を行なって品種を確立する必要があるのかもしれない.
ただ,種小名の違うSpondias属も多くあるため,このあたりはそれらと重複しているのかもしれない.