【徹底理解】トマト尻腐れ病
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けんゆー

こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.


けんゆー

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今回はトマトによく出る病気「尻腐れ病」について解説する.
スライドにまとめたので,ぜひ見ていただきたい.
カルシウム不足が原因だと言われているが,実は土壌のカルシウムは足りている場合がある.
そんなときは,カルシウムがうまく果実に伝わっていない可能性が考えられる.
今日はその辺の理解について解説している.

スライドについて

 

■トマト尻腐れ病の基本的理解

・カルシウム欠乏に起因する生理障害の一つ.
・気温が高く,長日で日射も強い春夏季に多発.
・カルシウムを吸えない
→培地の高温,イオンの拮抗作用,塩・水ストレスなど

・移動阻害(カルシウム移動:導管内の蒸散流)
→果実伸長速度が速い,果実の単位表面積あたりのクチクラ蒸散が少ない,夜間根圧流,湿度,温度,日射.
(地上部の表皮を覆うクチクラを通り,大気へと水が移動)

■果実肥大時期が注意.

・開花後 8~12日
・果実の急激な肥大
・師管から果実への多量の光合成産物の転流に対して,導管から果実への水およびカルシウムの流入が相対的に低下.
・果実内への栄養生理の不均衡が起こり,正常な細胞分裂・伸長阻害.

■蒸散について

・影響をおよぼすのは,湿度,温度,光強度,風速,CO2濃度.
・高湿と高温が大きな影響に.
・高湿:葉からの蒸散とともに果実表面からのクチクラ蒸散も抑制.果実にカルシウムストレスが発生.
・果実からの蒸散量は少ないため,葉からの蒸散が盛んな日中は葉との競合により果実への木部導管流は抑制される傾向
・長日条件下では葉からの蒸散が長時間継続し,果実への Ca 供給が抑制される状 態がより長く続く

■対策

・チッソやカリなど肥料の過剰施肥を止める(窒素)
・水・乾燥ストレスなどを与えない.
・果実への送風,風通し(蒸散を促す).
・繁茂してる葉を減らす.
・局所的な摘葉(やりすぎ注意)
・品種選び
・石灰(苦土石灰)や水溶性カルシウムを入れる.

■参考にした文献

・果実送風によるトマト尻腐れ発生防止とそのメカニズムの解明,仁科弘重他,植物工場学誌,第5号1,26-38 (1993)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshita1991/5/1/5_1_26/_article/-char/ja/
・トマト新系統「郡馬交2号」の育成,渡邉香他,群馬県農業技術センター研究報告,第14号,15~22 (2017)
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030911498.pdf
・主な夏秋作型向けトマト品種の特性,日本農業新聞広告部,https://pr.agrinews.co.jp/ad/tomato/post/634 (2022)

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