- フトモモ科ミルキア属,学名は,Myrciaria cauliflora Berg.
- 幹に花が咲き,果実のつくよてもユニークな果樹.
- 栽培のコツ,失敗しない方法などをお知らせします.
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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
今回は,ジャボチカバについて解説していこうと思います.
ジャボチカバは幹に直接ブドウのような果実をつけるとても奇妙なフルーツですよね.
集合体恐怖症の方で初めて見た人は,その恐ろしさに悲鳴をあげる人もいるくらいです.
僕も初めて知った時には,悲鳴をあげました
そんなジャボチカバの基本的なことや生理学的側面,そして栽培方法などをお話ししたいと思います.
ジャボチカバについて.
ジャボチカバの学名は「Myrciaria cauliflora Berg. 」です.
フトモモ科のミルキア属に分類されます.
フトモモ科というと,グァバやフェイジョア,ピタンガ,レンブなどが有名ですが,それらと同じフトモモ科にあたるのですね.
それぞれ,ラジオでの解説や,食レポ,栽培の動画などがありますので,そちらもご覧ください.
学名というのは,二名法と呼ばれるルールで記載されます.
初めを属名,その次にくる後者の名を種名(もしくは種小名)と読んだりするのですが,この種名は,その植物の特徴をラテン語化した形容詞が与えられます.
つまり,「Myrciaria cauliflora Berg」の「Myrciaria」は,ミルキア属ということを表しております.
また,種小名の「cauliflora」は,「茎生花(けいせいか)を有する」という意味があります.
茎に生じる花,という意味だね!
つまり,茎や幹から直接花が咲き果実をつけるタイプなのだね!
幹生花のいろいろ!
「cauliflora」というのは,「茎生花(けいせいか)を有する」のですが, 学名において面白いのは,特に主幹にのみ結果する種に「幹生(かんせい)の」を表す「trunciflora」があり,太い幹にのみ結果する種には「ramiflora」と付くものがあります.
ジャボチカバの仲間にも,Plinia truncifloraとつくものもあります.
また,例えば,インドメテングと呼ばれる果樹も学名は,baccaurea ramifloraといい,ランバイのような面白い果実のつき方をします.
学名というのは,ある程度,果樹や樹木の特徴を表して付けられているのですね.
ちなみに,そういった幹に花が咲き,果実もつくタイプの果樹は以下のようなものがあります.
- カカオ(Theobroma cacao L.)
- イチジク(ブラジル原産種にFicus ramifloraがある)
- オオバイチジク(Ficus auriculata Lour.)
- パパイヤ(Carica papaya Linn.)
- パラミツ(Artocarpus heterophyllus Lam.)
- ドリアン(Durio zibethinus)
- ババコ(Carica pentagona Heilborn)
- イナゴマメ(キャロブ)(Ceratonia siliqua L.)
- カムカム(Myrciaria dubia (H.B.K.) McVaugh)
原産は!?
ジャボチカバは,ブラジル南部原産の果樹です.
ブラジルでは,ブドウと同様に主要な果樹とされていて,高く評価されております.
市場にも出ていて,現地では,広く一般的に消費されております.
しかしながら,まだまだ世界でも認知度は,低いようで,ブラジル以外ではあまり知られていない現状です.
現地では,ジャボチカバと呼ばれるものに,多くの近縁種が存在しております.
(例えば,M. cauliflora Berg., M. jaboticaba Berg., M. tenella Berg., M. trunciflora Berg. などがある.)
こちらは,「熱帯果樹の栽培 農文協」の書籍から引用させていただきました.
これら近縁種が,ジャボチカバの品種として扱われております.
沖縄県では,よく大葉系や小葉系などに分けられますが,大葉系は,結実期までが非常に長いとのことですね.
木や果実の特性
ジャボチカバは,常緑の果樹で,高さが3~5程度の小高木に当たります.
木の形状は,球状もしくは,楕円状の樹冠になり,こんもりとします.
地際近くから多数の枝を出すので,そのような形状になりやすいです.
葉や花の特性
葉は対生(一節に,一対生じる形態)し,サイズも2~6cm程度とそこまで大きくないです.
そして,形状も長円形で,卵型を縦に引き伸ばしたような格好をしてます.
花は直接幹や太い枝に着くのですが,とても小さく,かわいいです.
4枚の白い花弁があり,おしべが多数直立してるので,フワフワっとしてます.
フトモモ科のグァバやレンブに近い花の形態を取ります.
両性花で,直結実性があるので,一本で大丈夫です.
果実の特性
果実は,ブドウのような見た目です.
果実がなると,幹にブワッと鈴なりにできます.
丸くて,直径が2~4cm,品種によってはもう少し大きいものもあります.
紫色で,皮が比較的厚いです.ブドウよりも皮が厚く,弾力性があります.
果肉は,透明ですが,白っぽさもあります.熟すと濃い色が出てきます.
多汁で,酸味がありますが,ブドウのようなほのかな甘味もあってとても美味しいです.
種子も1~4個程度入っております.ただ,果肉にくっついており,口の中でコロコロ転がすと楽しいです.
ジャボチカバの樹はとても生育が遅く,実生樹の場合,果実がつくのに10年近くかかると言われます.
接木苗でも5~6年程度はかかると言われます.なので,気長に待って楽しむということが求められます.
栽培について
栽培について解説しておきます.
栽培地は,熱帯国や亜熱帯国に適しております.
日本では,沖縄でよく栽培がなされておりますが,一方で,本土の方でもよく目にします.
愛媛旅行にいった際には,植物園や,ご家庭など多くの場所で目にしました.
た耐寒性もあり,短時間であれば,マイナスになっても耐えるということが報告されております.
土壌に関して.
土壌に関しては,排水性の良い場所が良いと言われます.
ただ,注意が必要なのは,アルカリ性土壌だと,生育がかなり良くないと言われます.
僕たちも,地植えをしておりましたが,土がアルカリ性による土なので,鉢植えに切り替えました.
沖縄県南部で,ジャボチカバを栽培されている方の多くは,土が合わないため,鉢植えで栽培されてる方が多い印象です.
繁殖に関して.
繁殖に関しては,実生繁殖や,栄養繁殖の取り木や挿木,接木などが行えます.
ジャボチカバは,多胚種子なので,種を播種すると,母親の形質が実生苗に引き継がれます.
ちょっとだけ脱線して「胚」の話をしておきます.
植物の種子の中には「胚」と呼ばれる組織があります.胚が無いのもありますが,一般的にはあります.
この胚は,種子の胚乳という部分から養分を吸収し,発根や発芽をし,植物体になります.
この胚ですが,種子の中に一つ持つものと,複数個持つものがあり,前者を「単胚種子」,後者を「多胚種子」と呼びます.
「単胚種子」は,一つの種子から一つの芽が出て繁殖されます.一方で,「多胚種子」は,複数の芽が出てきます.
なので,ジャボチカバは,地際から多数の枝が伸長してくるのですね.
また,マンゴーには,「単胚種子」を持つ品種と「多胚種子」を持つ品種の両方が存在します.
インドやその周辺地域を原産とする品種には「単胚性」が多く,東南アジア原産の品種には「多胚性」が多いです.
「単胚種子」と「多胚種子」の実生苗の特性をお話しします.
「単胚種子」の胚は基本的には,交雑によって生じたものになるので,母親と父親の両方の遺伝情報を持ちます.
つまり,新しく生じる植物体は雑種になるので,親と同じ果実をつけないことになります.
しかし,一方で,「多胚種子」が持つ複数の胚では,実は交雑によって生じた胚(雑種)は1つだけです.
残りの胚は「珠心胚」といわれる「母親の遺伝情報のみを持つ胚」が存在します.
そして,この「珠心胚」の方が,一般的に樹勢が強く,生育が良いです.
そのため,種子から増やしたのに,いわゆる栄養繁殖したクローン株となり,母親と同じ果実をつけます.
なので,マンゴーなども品種特性が明らかな実生苗を使って台木にしたりしますし,ジャボチカバも,品種特性が明らかなものを実生で増やせるということですね.ただ,成長はかなり遅いので,結実するまでには時間がかかります.種子は,25℃程度だと,30日程度で発芽します.
また,取り木もやりやすいですね.沖縄では,大体は取り木で増やさせれてる株が多いのかと思われます.
以前,ジャボチカバを育ててる人は,他の果樹に比べて挿木もかなりの確率で成功するよとおっしゃっておりました.
一方で,接木は若干難しいと言われます.
木を触ったことがある方は,想像がしやすいのですが,樹皮が薄くて,木部がとても硬いのですよね.
できないことはもちろんないですが,若干難しいと言われます.
高品質果実を作るために
最後に,品質の高い果実を作るための栽培のポイントをお話しします.
こちらは,「熱帯果樹の栽培 農文協」さんより,ご参考にさせていただいております.
太枝につく小枝は,除去してあげるとよいとのことです.
小枝がつくと混み合い,太陽光がきちんと幹や主枝,亜主枝に届かなくなるからだと言われております.
放っておくと,幹につく花や果実がカビによる被害を受けやすいということです.
確かに,普通の果実は,枝先に花が咲いたり,葉腋に花が咲いたりしますが,ジャボチカバは幹に着くので,小枝は邪魔になる場合があるのですね.また,果実は,鈴なりになるので,適度に間引いてあげることもポイントです.
ということで,本日は,ジャボチカバについてのお話しでした.