レイシ(ライチ)とは!基本的なことや生理学的側面,栽培方法など!
この記事のポイント!
  • ムクロジ科レイシ属,Litchi chinensis Sonn.
  • レイシの基本的なことや歴史,木の特性について解説!
  • 育て方,栽培方法,気をつけるべきことを徹底的にシェア.

けんゆー

ハイサーイ!


けんゆー

記事リンク付きの感想ツイートなどは掲載される可能性あり!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

今回はレイシ(ライチ)について解説をしていきたいと思います.
初夏に食べれる最高級の果物レイシ,特に果実をライチと呼んだりします.
とても美味しいですよね.病みつきになってしまいます.
言い伝えですが,中国の方は,レイシを口にしないと,食事を終えた気がしない,という方もおられるようです.
世界的にも絶世の美女,楊貴妃も虜になったフルーツと言われております.

今回は,そんなレイシの基本的なこと,生理学的側面,そして栽培方法などについてシェアしていきます.
これから栽培をしたいと思っている人や,既に栽培をされてる人でも,より理屈を知るとより育て方が上手になると思います.
一方で,栽培面であまりうまくいかないが,どうしてだろう?と思っている方も,もしかしたら,やってはいけないことをやってしまっていたり,

やらなければいけないことをやっていなかったりする場合もあると思います.
今回は,そんな方々のご参考になるよう,とことんまとめましたので,ぜひ,楽しみながら読んでいただけたらと思います.

けんゆー

youtubeにてレイシの徹底的な動画解説をしています.

レイシとは!?基本的なこと.

レイシの学名は「Litchi chinensis Sonn.(= Nephelium litchi Camb.)」です.
ムクロジ科レイシ属に属します.
旧属名のNepheliumとは,若干違った部分が,あって,現在はLitchi chinensis Sonn.が使用されてます.

学名の属名Litchiは,中国名から来ており,種小名のchinensisは,中国産のという意味を表します.

中国では,レイシは漢字で「茘枝」と書きます.
「茘」は,訓読みで「おおにら」と読みます.別名ラッキョウのことですね.
ラッキョウも中国原産ですが,ラッキョウの地下茎の卵型の形状がレイシに似ていたのでしょうか?
ぜひ,茘の字の由来がわかる方がおりましたら,ぜひ教えてください.
「茘枝」の枝という漢字がつきます.
中国の果樹は,枝がつく名前が多いのですが,これは,果実を枝付きのまま収穫する習慣があるためです.

けんゆー

チェリモヤ(南美番茘枝)や,バンレイシ(番茘枝),などがあるね!


歴史と広がり


けんゆー

上の画像は,左がギョッカホウで,右が沖縄在来種だよ!


原産は,中国南部だと言われてますが,一説によると,インドシナ半島やミャンマー,フィリピンなどにも原産があるのではないかといわれております.まだ野生種が見つかっていない果実になるので,ここが曖昧な部分があります.
ただ,中国ではかなり古くから,紀元前2000年頃から既に栽培がされていたという歴史があります.

現在,世界でどの国が最もレイシを作っているかのランキングが以下です.

(引用:Worldatlas,2018年のデータです.)
やはり,中国が最も作っており,次いで台湾,タイ,インドとなります.
その後,南半球の国になり,マダガスカル,南アフリカ,オーストラリア,モーリシャスになっております.
2014年に書かれた「THE SOUTH AFRICAN LITCHI INDUSTRY – AN OVERVIEW」という論文によると,レイシの南半球への上陸は,マダガスカル,モーリシャス,中央アフリカの東海岸へまず入ってきました.その後1875年に,モーリシャスから南アフリカへ入ったようですね.その後,栽培が盛んに行われているとのことです.

そして,国内では,宮崎県(10t弱)鹿児島県(5t程度)の栽培が盛んです.
あと,沖縄県佐賀県もちょろっとやっております.
世界に比べたら,微々たるものですが,貴重な国産ライチを生産してる県ですね.

木の特徴など

レイシは,常緑の果樹で,放っておくと高さが10m程度になる中高木にあたります.
樹冠は開張し丸みを帯びます.小枝が密になりやすいという特徴があります.

葉の特徴

葉は「偶数羽状複葉」です.8枚から12枚の小さい葉が対生に近い位置で複葉になります.
この「偶数羽状複葉」が互生してつきます.枝から交互に「偶数羽状複葉」が出てくるということですね.
各葉っぱは,長楕円形で,先端が細く尖っているような形状で,若干光沢があります.照葉と呼ばれるものですね.
新芽は,鮮やかな赤っぽい色をしてることが多いです.

花の特徴

(上の図は,Transcriptomic analysis of floral initiation in litchi (Litchi chinensis Sonn.) based on de novo RNA sequencingより参考にしてます.)
花は枝先や長部の葉腋に円錐花序として咲きます.
身近なもので言うと,マンゴーのような花の咲き方ですね.
花自体もかなり小さく,緑白色で直径は1cm以下です.花びらはありません.
雌雄棍種花序,もしくは雌雄同株異花と言う形態で花が咲き,円錐花序の中に,両性花と雄花,そして不完全な両性花(両性だが,メスが機能していない花)を持ちます.
こちらもかなりマンゴーに似てます.

(上の図は,Effect of temperature on growth and flowering of litchi (Litchi chinensis Sonn.) cultivarsから,参考にしてます.)

円錐花序の中に,500~2000程度の小さい花が咲きます.
雄花の雄しべは,6~8本,雌しべの花柱は2股に別れて,マクドナルドのような小文字のmみたいになっております.
両性花には胚珠が複数あります.具体的には,子房が2~3室あり,各室一つずつが胚を持ちます.ただ,そのうちの一つのみが成熟します.
また,両性花の雄しべは,ほとんどの場合,機能しないので,実質,両性花であるが,雌花という立ち位置です.
不完全両性花では,雌しべが機能せず,雄しべが機能してますが,この花は稀です.
花序は,500~2000程度の花がありますが,その中で,両性(メス)とオスの割合は,大体1:7〜1:10ほどなので,かなりメス要素が少ないです.
そのため,一房の着果は,50~100個程度になることが多いです.
また,品種によっては,自家不和合性のものも確認されております.

雌雄の開花もバラバラで受粉が難しい

また雌雄の開花がバラバラなので,自家受粉しにくい性質があります.
つまり,両性花→雄花→両性花の順に咲くパターンと,雄花→両性花→雄花の順に咲くパターンがあります.
なので,しっかりと受粉させようと考えた場合には,多品種の混植をしましょう!

果実の特徴

果実は,品種にもよるが,うずらの卵型とか,球形をしてます.
長さが大体4cm程度,果皮は熟すと綺麗な赤色になることが多いです.
ただ,収穫後は,数日で,黒っぽくなるので注意が必要です.
果皮の表面は,亀甲状に隆起しており,粗く硬いが,薄くて脆いです.
パリッと一気に剥けることが多いです.

内側の果実は,乳白色で,柔らかく,張りがあり,プルプルっとした食感があります.
多汁で,独特な香りが強く,甘味も強いです.
レイシは,胚珠が複数あり基本的には,一つのみが発達しますが,稀に2個の胚珠が発達して,複合果的な奇形果もあります.
タネと果肉はすぐに離れます.

タネは,黒色で,品種によっては,不稔種子になります.
不稔とは,胚乳も胚も発育せず,発芽する機能がないものですね.
そういった種子は,凹んでいるため,チキンタング(ニワトリの舌)と呼ばれております.
僕も今年,よく台湾の優良品種の「玉荷包(ギョッカホウ)」という品種を食べたのですが,それはチキンタングでした.

ちなみに,生レイシは,収穫後すぐに食べると,別物です.というか本物です.

多くのレイシは,東南アジアなどから外国輸入物が入ってきますが,収穫後短時間で風味が落ちます.
日本に持ち込む際には,ミバエなどの害虫を防除するために,蒸熱処理や低温処理をします.

例えば,台湾産ライチの対日輸出では,「蒸熱(じょうねつ)処理」と「低温処理」が行われます.
蒸熱処理で果肉の中心温度が46.2度に達するまで温めます.20分間です.
その後6時間以内に,今度は果肉中心温度を2度以下で,40分維持します.
さらに,輸送時間がかかります.
こういった過程により果実の水分が失われ,赤かった果皮が褐色化します.
近年は,キトサン液に浸すことで表面をキトサン膜で覆い,果実の水分を保ち,果皮の

褐色化を遅らせるという技術開発もなされていると聞きますが,やっぱり風味は落ちるので,収穫後にもぎたてをすぐ食べる方が良いのですよね.
僕はちなみに,ほっぺたが落ちました.

栽培に関して

栽培に関して,お話ししておきます.
まずは,気になる温度からお話しします.

生育適温は!?適地はどこ!?

生育適温は,20℃から28℃です.
11℃以下では,成長は止まると言われております.

レイシは,トロピカルフルーツということで,沖縄県が栽培しやすいのでは?と思われますが,実は本土でも栽培が可能である果樹です.
耐寒性もあり,基本的に霜が降りない場所であれば,栽培ができると言われます.
また,マイナス2℃程度の一時的な低温であれば,耐えらえると言われております.
逆に,温度が下がらない熱帯の地域では,花が咲かずに,結実不良が起こると言われてます.

レイシの栽培に適してる場所は,乾燥気味で,霜が降りず,冷たい寒気と温暖な気候が繰り返される場所が良いと言われます.
そのため,九州や,和歌山などの気候はかなりベストだと言われます.
霜が降りる場所だと,花芽がつく枝が寒害を受けるので,着果が行われなくなります.

花芽分化に必要な条件!?

花芽分化に必要な条件は,18℃以下の低温に遭遇することです.
そのため,本来,レイシは,熱帯果樹というよりも,亜熱帯性の気候をものすごく好みます.
温度が高い熱帯の気候では,温度が高すぎて,着果しないことが多いです.
なので,割と現在の沖縄の栽培では,冬の低温を気にするよりも,花芽分化の12月あたりの温度を気にするということがあります.
その点,本土の栽培は,この辺りを気にすることがないので,着果がうまくいくかと思います.

ただ,課題になっているのは,品種によって自家不和合性を持つことです.
そのため,混植が求められたり,人工授粉が求められりするのですが,レイシは花芽分化に,低温を要求するので,各品種の栽培適地が狭いのですよね.

そのため,近年では,多くの品種が研究され,導入がなされております,この辺は,また機会があるときにご紹介します.

環状剥皮

また,環状剥皮も花芽分化に有効な手段です.
レイシは,隔年結果性も強いので,ある程度,木をいじめてあげると,開花が促進されます.
樹勢が強すぎると,秋芽が出て,花が咲きにくいと言われております.

ただ,注意点として,太い幹に直接環状剥皮をすると,樹勢低下が起こるので,枝ごとに処理をするのが進められます.
環状剥皮の処理をしたら,ガムテープでその傷を巻いてあげてください.

けんゆー

環状剥皮のやり方は,僕のyutoube動画にあります

 

雨を凌ぐことが大事

また,レイシは開花期の降雨が,受粉の妨げになるので,雨がよく降るところでは,屋根をかけたり,簡易ビニールハウスなどを作るなどをされると良いです.ただ,露地でも十分にうまくいくというところもあるので,現場の様子をまずは観察されてください.

土壌に関して

土壌に関しては,排水性の良い場所が良いとされます.
pHは弱酸性,若干酸性よりの方を好む品種も多いです.

レイシの根には根粒を生じて,窒素固定菌や,菌根菌などと共生をしてると言われます.
この菌が,弱酸性,もしくは酸性寄りで活性が良いため,土壌は酸性に傾いていた方が良いのです.
なので,アルカリ土壌などでは,あまり生育がうまくいかないです.
気をつけてください.

繁殖

繁殖方法は,種からの実生繁殖か,接木,挿木,取り木が行われます.
ただ,最も成功率が高いのは,取り木だと言われております.
僕らの周りの熱帯果樹を栽培してる方々も,よく取り木をしております.
取り木苗は,根が浅くなるので,植え付けの時は,しっかりと風対策を行なってください.
接ぎ木は,可能であるが,実はちょっと難しいと言われてますが,接木を行う前に,環状剥皮をして,穂木の中の貯蔵養分を十分に蓄えておけば,成功率が上がると言われております.

今回も長くなりましたが,レイシの基本的なことから,木の特徴,そして栽培方法に関してシェアしました.
花が咲きにくいとか,花が咲いても着果しにくいとか,そういった問題が,解決されたら嬉しいです.
この記事を最後まで読んでいただいた方は,以下の動画もおすすめです.