- 子葉は,生育初期の光合成を行う上でとても重要.
- その後,子葉の働きによって本葉がしっかりと育つ.
- 本葉が育つと,株自体の枝葉の展開につながる!
ハイサーイ!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
本日は,「育苗をする際にもっとも重要なこと」をお話ししたいと思います.
育苗とは,苗がある程度大きくなるまで管理をさします.
つまり,種をまいたあと,発芽して,そして発芽してある程度大きくなるまでの管理ですね.
そういった場面で最も重要な要素をお話ししたいと思います.
結論からいうと,育苗で最も重要なことは「子葉」です.
子葉は漢字でかくと,子供の子に葉っぱと書きますが,あの子葉が,育苗において最も重要なのです.
つまり,今回の話は,育苗をする際にもっとも重要な科学=子葉がなぜ重要なのか,そしてどのような役割を担っているのか,ということについてお話をしていきたいと思います.
今回のお話を聞くと,種から野菜を育てるときに,気を付けるべきポイントや,さらには,苗をホームセンタや種苗屋さんで購入するときに,実は子葉がついている株の方が,育ちが良いよ!などということが,根本的に理解できると思います.
家庭菜園をされている方,野菜を種から作ってみたいよ!という方のご参考になれば幸いです.
子葉とは!?
さて,子葉というものの説明からしたいと思います.
子葉というのは,子供の葉っぱと書きますが,文字通り,最初に出てくる葉っぱのことです.
大体は,2枚出てきます.
これを双子葉植物と呼びます.
かつては,この子葉のことを双葉と読んでました.
大体の植物体が,最初の発芽のときには,2枚になるからですね.
しかし,最初の発芽のときに,1枚のものもあります.
これが,俗にいう「単子葉植物」です.
なので,かつて呼ばれていた発芽後の小さな葉っぱ「双葉」という呼び方では,単子葉を補えないので,現在は,「子葉」と呼ばれております.
単子葉植物と双子葉植物があるのですね.
単子葉植物で,代表的な野菜は「イネ,トウモロコシ,ニンニク,タマネギ」などでしょうね.
双子葉植物は,その他大体の野菜がそうですが,「ナス科のナス,トマト,ジャガイモ,アブラナ科の葉野菜,白菜,大根,マメ科の野菜,大豆,インゲン」などでしょうか.
子葉が地上部に出てこない,野菜もあります.
例外的に覚えていただいても構わないのですが,例えば,エンドウマメなんかもそうですね.
栽培のご経験がある方は,ウンウン,となっているかもしれないですね
ひょろひょろっとツル状の芽を出して,植物体の形を示す葉が何枚も展開しますね.
ソラマメなどもそうですが,こういったものは,子葉が地下に埋まってるんですね.
こういったものを無胚乳種子というのですが,種の中の大部分が子葉そのものになっており,地下から種の中に蓄えられた養分を地上に送るということをしてます.
この養分というのは,デンプンやタンパク質,炭水化物などです.
一方で,子葉が地上に出てくるタイプは,種子の中に胚乳があり,有胚乳種子(ナス科,ホウレンソウ,トウモロコシなど)と呼ばれるのですが,養分を種の中の子葉ではなく,種の中に胚乳と呼ばれる期間があり,そこに,発芽までの養分を溜め込めるのですね.なので,子葉が地上部に出てくるのですね.
植物というのは,色々な形態があるのですね
子葉の役割
では,子葉が出てくるタイプの野菜なのですが,この子葉の役割,非常に重要です.
この役割の重要さを知っていると,苗の作り方,見直すことができますし,今後収穫までの野菜作りに大きく貢献できると思います.
野菜作りには,「苗半作」という言葉あるのですが,つまり,苗を育てるまでが半分の作業.
最初の苗作りが野菜作りにおいて,最も重要であり,ここが成功すると,半分は,成功したようなもの!という格言があります.
逆にいうと,苗作りに失敗すると,収穫までの希望は,一気に半分になってまう,,そういった意味合いもあると思います.
さて,この苗作りに最も重要なものは「子葉」です.
この子葉の役割は以下です.
- 生育初期の光合成を司る.
- 本葉がしっかりと育ってくる.
- 本葉が育つと,株自体の成長度合いが良くなる.
ということになります.
本葉は,「ほんば」でも良いみたいですね.読み方としては.広辞苑を引くと.
植物というのは,光を取り込んで,自身の体を作っていきます.
これが,光合成ですが,光を取り込んで,炭水化物(糖)を作ります.
そして根っこから,窒素分を吸収して,タンパク質を作ります.
これが,自身の体を作る要素になり,本葉が展開します.
つまり,子葉がないと,光合成が行えないですから,身体を作るタンパク質合成ができないのですね.
いくら良質な肥料分(窒素分)を与えても,子葉がないと,成長できないのですね.
なので,アブラナ科の野菜は,よく害虫の被害に遭いますが,双子葉が出てきて,虫に食べられると,もうどんだけ土の状態が良くても,その後の成長で大きくなりにくいです..
また,部分的に食害にある,双葉のうち,一つの葉っぱがなくなる,ということも,将来の成長スピードに深く関わっております.
やはり,子葉が本葉を作り,本葉が,株全体の枝葉を作りと,その時々の役割を担うところがあるのですね.
子葉はとても小さいのですが,一番最初の重要な役割を担っているのですね.
ナスやキュウリの研究.
実際に,やながわたけおさん,という,神奈川県の農業高校で野菜の技術指導をされている方が居られるのですが,その方が,実際に生徒さんに野菜の育ち方を教える際に,子葉についての重要性を説くわけですね.子葉を半分落としたもの,子葉を全部落としたもの,子葉をきちんとつけたもの,実の収量に,雲泥の差があると,毎回実践されております.
やさい畑2021年4月号に記載されてたよ!
論文も,いろんな論文が出ていて,この子葉の重要性が深く認識されてます.
神戸大学農学部の研究で,1981年とかなり古い論文ですが「ナスの第一花の着生部位に及ぼす子葉摘除の影響」という論文でも,子葉を摘除すると,摘除しない健全なものと比べて,第一葉の葉面積の増加が著しく抑制されたことが報告されてます.そして,花が咲いても,花芽の分化期が遅れたようです.この結果は,40年たったいまでも覆されてないですね.
子葉を摘除しても成長する場合もありますが,花芽分化が遅れ,ナスなどは,初めの枝の分岐点に花芽がつくのですが,その分岐点までの説が長かったり,枝が細くなり,弱々しく,今後の収量も減少するということが認められてます.
なので,野菜の苗を購入するさいは,本葉が数枚展開しているのを選ぶと思いますが,その下についている子葉があるかどうかも確認すると良いです.
子葉があると,今後の成長がうまくいく可能性が高いです.
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