アスパラガスの特徴,栽培,育て方!病気!連作障害を回避する方法
この記事のポイント
  • アスパラガスは多年草で10年程度,収穫できる!
  • フザリウム属菌の連作障害が懸念される.
  • 連作障害を回避する方法を最新の学術研究をもとに紹介!

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は「アスパラガスの特徴と栽培,連作障害の対策」についてお話ししたいと思います.
本日から作物別に,こういう特徴があるよ!とか,このようなことに注意した方が良いよ!などのちょっとした豆知識をもちろん,学術研究を元にご紹介させていただきたいと思います.

本日はアスパラガスですね.
非常に美味しいですよね.お酒のつまみに良い野菜ですよね.

本日参考にする資料は「アスパラガス連作障害の要因と対策技術の概要について」ですね.
農研機構さんの浦上敦子(うらがみあつこ)さんのご執筆なられた学術報告書ですね.
非常に面白かったです.

アスパラガスとは!?

アスパラガスというのは,結構面白い野菜で,実は多年草なんですよね.
非常に珍しいですよね.
分類体系にもよりますが,ユリ科やキジカクシ科に分類します.

地下茎から出てくるのは,葉っぱではなく,茎なんですよね.
芽生えた直後,萌芽した直後の茎は,若茎(わかくき)と呼びますが,この若茎を収穫して食べる作物なのですよね.
味も癖がなく,いろんな料理やサイドメニューに合わせやすくて,消費者さんにも好まれ,さらに,生産者さん側からにも実は好まれている野菜のようですね.高単価で,軽くて,取り扱いやすいという特徴があります.北海道や長野県,佐賀県や長崎県なんかで有名です.沖縄でも冬から春にかけて,根っこが販売されております.根っこからやると,収穫まで2~3年かかりますね.

アスパラガスの旬は春からですが,現在,いろんなアスパラガスが出ていますよね.
普通のグリーンアスパラガスだけではなく,日光が当たらないようにして作るホワイトアスパラガスなんてものもあります.アントシアニン系の色素を含んだ,パープルアスパラガスもありますね.

冒頭で,多年草と申しましたが,実は,10年程度,同じ株から収穫ができるのですね.
いったん作付けしてしまえば,10年ということは,子供が小学校へ入学して,中学校を卒業するまで,収穫ができるというので驚きですね.その後,株の勢いが弱まり,徐々に萌芽数が減少し,さらに,茎も細くなってきます.そうなったら,株の更新が必要になります.

株の更新をする際に,同じ場所に植えてしまうと,早い段階で,生育不良収量低下若茎の品質の低下が見られることが多いと言われます.最悪の場合は,枯死する場合もあると言われます.
これが連作障害というものですね.
連作障害については,前回の放送で,取り扱いましたので,そちらをお聞きください.

アスパラガスの主な病気は,本報告書によると,茎枯病(くきがれびょう)斑点病(はんてんびょう)立ち枯れ病株腐病(かぶぐされびょう)ネギアザミウマ被害などがあります.
いろんな病気がありますけれども,連作障害の大きな要因は「フザリウム属の菌」などの土壌病原菌の集積であることが示されているようです.また,自身の出すアレロパシー作用も,幼苗(ようびょう)の生育を抑制すると言われております.

これらの病害虫に対して,現在のところこれと言った抵抗性を持つ品種がないようですね.
ガインリムというやや抵抗性がある品種があるのですが,今のところこれが限界だと言います.
なので,連作障害を防ぐためには,他の場所で作るか,圃場がなく同一の場所で作る場合は,化学防除やハウスなどによる雨除け栽培が一般的であると言われております.

連作障害を回避するための方法

本報告書では,連作障害を回避するマニュアルがご紹介されております.
一番は,同一圃場に植えないというものですが,やはり色んな理由で,繰り返し植えることになる方もおられると思うので,ご紹介させていただきます.
家庭菜園をされている方や,アスパラガスを栽培して生計を立てられている人には参考になるものだと思います.

連作障害回避方法

まずは,圃場の排水性をよくします.
水はけをよくするために,明渠や暗渠,つまり溝を切って,水の流れを作ります.

その後,塩類集積(土壌分析),アレロパシー作用の調査(既存手法),フザリウム属菌の判定などをおこないます.

2回目の連作地の土壌診断ですね.
土の養分が傾いてないのかとか,アレロパシー作用が出ていないかとかですね.
アレロパシーに関しては,アスパラ・レタス幼苗検定という既存の手法でできるようです.
また,土壌中の,連作障害の主な要因である「フザリウム属菌」も調べることが可能なようです.
これの判定の3日ほどかかると言われてます.

気になる方は,本資料をご一読下さい.
土壌診断後,植えられる状態になったら,品種の剪定,さらに,湛水(たんすい)太陽熱処理をするとよいようです.湛水ができない場合は,降雨後にたっぷりと水をかけて,太陽熱処理ですね.
これによって,病原性の微生物の濃度の低下や,アレロパシー(他感作用)物質の放出が期待できます.

本報告書では,定植する際に,根っこに「エンドファイト」と呼ばれる植物共生細菌,糸状菌を定着させたものを活用しております.エンドファイトというのは,植物内部にもともと共生する菌の総称で,植物の中で,病害虫を防除するための毒素を作るものですね.
アスパラガスを作っておられる方,こういったやり方もあるんだ!という参考になればと思います.

僕も昨年,アスパラガスを定植したのですが,間違えて,草刈機で根こそぎ刈ってしまって,生えて来なくなったんですよね.今年も,ちょっと挑戦してみようかなと思います.

ほんとに,いろんなやり方がありますので,面白いなと思いながら,いつも文献を読んでます.