オスの木とメスの木がある果樹.交配が難儀であるが絶滅を避ける工夫.
この記事のポイント
  • 雌雄異株(しゆういしゅ)という果樹について解説!
  • 遠い遺伝子を獲得し,多様な子孫を残すための生存戦略!
  • 雌雄の違いだけではなく,遺伝的に受精をしないものもある!

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は「オスやメスがある木」についてお話ししていきます.
果樹を育てている方や,これから家庭菜園で,果樹を鉢植えでもやってみたいと思う方には参考になるのかなと思います.

一般的な植物や果樹というのは,花が咲き,その花の中に,雄しべと雌しべがありますが,雄花だけをもつオスの木,雌花だけをもつメスの木というものが存在します.
雌雄異株というタイプの植物なのです.
例えば,キウイフルーツなどは有名ですね.
ホームセンターに行くと,メスの木6~8本に対して,オスの木1本は植えてください!という看板がついているのですが,だいたいはそこまで沢山ないですね.
1本1000円くらいで売られているのですが,メスの木が全然売られてないとか,オスの木がないとか,まあよくあることです.
キウイなんかは,人間と同じように性別を決定する「XY型」という性染色体が発見されていますね.
他の雌雄異株の植物もほとんど持っていると言われております.

他にも,イチョウもオスの木とメスの木がありますが,銀杏がなるのは雌花をもつメスの木なので,街路樹に植えられているのは,道路が汚れないためかオスの木だったりしますね.

また,ヤマモモもそうですね.
僕たち実家の庭にメスのヤマモモが一本だけ植えられているのですが,なぜか豊作になる年があります.
どこかにオスの木があるんでしょうね.

他にも,ヤマグワなどもそうですね.
たまに突然変異体で雄花と雌花が一つの木に咲いていることがあるようです.

あっ,パパイヤもそうですね.
メスとオスがあります.
オスのパパイヤの木は,この前お友達の農家さんの実生オスパパイヤを見たのですが,絶景でしたね.
パパイヤの場合は,木が若いうちに,株元に刺激を与えると,運が良ければ,メスに変わるという性質があります.
また,タネを蒔くときに,果実の中の下3分の1のタネがメス,上側がオス,そして中間部分に,オスとメスをもつ木が生えると言われています.
面白いですよね.

果樹以外にも,この雌雄異株というタイプの木は多く存在します.
今日は,こんなオスとメスの木という構造をなぜわざわざ作ったのか!?というお話ですね.

一番の理由は多様な子孫を残すため.

先に結論から言うと,遠い遺伝子を獲得して,多様な特徴を持った子孫を残すためなのですよね.
めまぐるしく変化する環境に適応することが求められるのですね.

両性花といって,一つの花の中に雄しべと雌しべがあるタイプは,自家受粉が多いのですが,やっぱり自分と同じような子孫しかできないのですよね.
ある病気に弱いという弱点があれば,その弱点も継承しやすいので,何かしらの環境の変化や病気の蔓延などで,全滅の危機があるのですよね.
以前お話しした,グロスミッチェルというバナナがあるのですが,全ての個体は,クローンなので,パナマ病で壊滅しましたね.

また,私たち人類が知らないというだけで,多くの植物が絶滅して,多くの植物が生存しているのだと思います.
そして,これから,何かしらの病気で,絶滅していく植物もあると思います.
こういった絶滅を避けるために,遠い遺伝子による交配をするのですね.

雌雄異株以外の工夫

植物というのは,多様な子孫をつくる工夫というのを凝らしています.

例えば,アボカドは両性花ですが,雄しべと雌しべの活動時期をずらしてます.
これは雌雄異熟型と言います.なので,一本では果実を作るのが難しいよ!とよく言われます.
また,アテモヤもそうですね.雌雄異熟型です.

他にも,自身の花粉では受精ができない「自家不和合性」というものもありますね.
品種にもよりますが,ナシ,サクランボ,スモモ,ウメ,クリ,パッションフルーツや,リンゴなどもそうですね.
パッションフルーツやリンゴは,他のものでも,遺伝的相性が悪い「他家不和合性」というものもあります.

全ての果樹がそうなのか?

一つの木で果実ができるものも沢山あります.
ビワとかモモ,柑橘類,イチジク,ブドウなどですね,品種として例外はありますが,植物の生存戦略は多様です.

遠い遺伝子を獲得するというのは,難しい場合もあるんですよね.
沢山花粉を作らないといけないとか,うまく花粉を運んでもらわないといけないとか,そこに生息する虫や環境の影響を受けるので,オスの木,メスの木などは長期的に見ると良いですが,自家受粉の方が,確実に受粉がうまくいくので,短期的なメリットはあるわけですね.

植物にも色んな生き方があるのですね.植物の生存戦略は,まさに千差万別ですね.