土壌のEC(電気伝導率)とは!?畑に肥料がどのくらい入っているのかが分かる!?
この記事のポイント
  • 電気伝導率ECを理解する!
  • 硝酸態窒素がどのくらい入っているのかが推定できる!
  • ECの適正値を把握することで,適量の肥料を投入できる!

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は土壌のECとは!?ということについてお話をさせていただきたいと思います.
こちらも野菜を作っているとよく耳にするキーワードだと思います.
このECというものは電気伝導率(Electric Conductivity)と言われているのですが,これは土の中にどのくらいの養分があるのかを知るための便利な指標になります.
では,なぜこのECによって土壌中の養分が測れるのか,そして,適正なECの値はどのくらいだと良いのか,ということについてご紹介させていただきたいと思います.
家庭菜園をされている方や,農家さんの参考になれば幸いです.

ECとはなにか!?

ECとは,電気伝導率なので,その名の通り,電気の通りやすさです.
中学校の理科で,いろんな溶液を使用して豆電球を光らせる!という授業を覚えておりますでしょうか.
上のイラストを見ていただきたいのですが,純水は電気を通さないので,豆電球が光っておりませんね.
しかし,何かしらの物質を溶かすと,通電して豆電球が光ります.

けんゆー

水溶液の中を電気が伝っているだね!


例えば,食塩,これは食塩の状態だとNaClという塩化ナトリウムですが,これを水に溶かすと,Na+Cl-の,プラスとマイナスを宿ったイオンに分離するのですね.
このプラスとマイナスを持ったイオンが電気を伝えてくれるということになります.
このような電気を伝えてくれる物質のことを電解質と言います.
けんゆー

塩酸やアンモニア,塩化ナトリウム,塩化銅なんかは有名!!


また,砂糖やアルコールなどは,水に溶かしてもイオンにならず,そのまま溶ける,つまり,電気が通らない物質なので,非電解質と言います.
けんゆー

よく塩水と砂糖水,どっちが電気を通すかと聞かれたね!

また,食塩は電解質で,水に溶けるとイオンが出ますが,これはイオン濃度が濃い方が電気が明るくなります.

では土を水に溶かすとどうなると思いますか.
もうだいたい想像がつくと思いますが,土壌に含まれる肥料分が濃いと,豆電球は明るく光ります.そのため,土の中の肥料分が多ければより通電が良いので,電気伝導率ECが高いというわけですね.

野菜の生育に適切なECの量は!?

では,野菜の生育に必要なECの適正値はどのくらいかというと,だいたい0.5~1mS/cm(ミリジーメンス/センチメートル)だと言われております.
ジーメンスSという単位は,オームΩの逆数ですね.
オームというのは電気抵抗の単位です.
つまり,オームが大きいと,電気を通しにくいのです.

これの逆数でありますから,ジーメンスSが大きいと,電気を通しやすいということになります.

これよりも少なければ,肥料が足りない,そして,これよりも多ければ肥料過多であるというだいたいの目安がわかります.
2.0 mS/cmを超えると,肥料が濃すぎて,野菜が養分を吸えない,もしくは根っこに悪影響が出ると言われております.

肥料といっても,色々な肥料がありますが,ECでわかるのは主に窒素量です.
このECの値というものは,硝酸態窒素と深い相関関係があることが知られています.
だいたいECの値を30倍した数値が10aあたりの硝酸態窒素量だと言われているため,ECが1.0 mS/cmだった場合,30kg/10aの硝酸態窒素が土壌にあるということが推定できます.

面白いですね.

pH(水素イオン指数濃度)を見ると,窒素以外の量もだいたい予想ができる!

このECの値は,窒素量がメインだとお話をしましたが,実はpHの値と同時に計測することで,他の養分の要素もある程度推察できます.

硝酸態窒素は酸性を示すので,これが多く含まれていたら,ECは高く,そしてpHは低くなります.
しかし,pHが高く,アルカリ性を示した場合,塩類のカルシウムや,カリウム,マグネシウムなども溢れているという証拠になります.

だいたい,全ての養分が適量であると,pHは5.5~6.5程度,ECは0.5~1程度になりますので,ご自身で計測されてみて,調べてみるのも良いかと思います.
この値を参考にすると,例えば元肥を入れる量を調整したりすることができるのでお得です.不必要な過度な肥料投入を抑えられることができるので,便利な指標になります.


けんゆー

ちなみに,pHがあやふやな人が,上の記事で復習をしてね!!

注意点

他にも,例えば台風の後,とかは海水が待って畑に入ることがあります.
そんな時に,ECを計測すると,窒素ではなく,塩素イオンが原因で高い値になる可能性があるので,注意をしてください.

けんゆー

沖縄とか沿岸部に住んでいる方,塩が飛んで来やすいところは要注意だね!

今回は,EC,電気伝導がどのような仕組みで動いているのかや,土壌の養分を推定する理屈,野菜を育てる時の適正値などについてお話をさせていただきました!

家庭菜園などのレベルで,簡単に調べたい!という方は,ホームセンターやアマゾンなどで販売されているものを使って見ても良いかもしれません.数千円から数万円のものがあるのですが,それを使ってみても良いかもしれません.
それではまた!