日本で,そして世界で最も食べられている果物は!?
この記事のポイント
  • バナナの歴史や生理生態について解説!
  • 現在主流のキャベンディッシュも新パナマ病によって壊滅的なダメージを負うかもしれない.
  • 新たな栽培品種や方法が求められる.

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は「日本で,そして世界で最も食べられている果物」のお話をさせていただきます.
なんだと思いますか!?

けんゆー

なんだろね!

実はバナナなんですよね.
これは総務省が発表しているものですが,国内果物ランキングでは,一位がバナナ,二位がリンゴ,三位がみかんなんですよね.
世界では,一位バナナ,二位が柑橘類,三位がブドウですね.

国内でも世界でも最も食べられているのがバナナなんですよね.
バナナが野菜か果実か問題はあるのですが,農林水産省の定義では,果実になっています.
果樹というのは,木にできると思うのですが,実はバナナというのは草なんですよね.
パイナップルもそうです.
しかし,農水省の定義上では,「概ね2年以上栽培する草本植物」も果樹とするとなっているので,バナナもパイナップルも果実なんですよね.

また,アフリカとか南米,東南アジアなどもそうですが,生食で食べるよりも,煮たり焼いたりして食べるという,イモのような立ち位置で料理している国もあります.
バナナの品種も,実は数百〜千,千以上あると言われているので,品種にもよります.

人間の定義はどうでも良いですが,今回はそんなバナナの生理歴史,そして現在問題視されていること,さらに現在注目される皮まで食べられるバナナについてお話ししたいと思います.

バナナとは!?

近年,このバナナの植物学的研究が非常に進歩しており,バナナ自体のことが明らかになってきているのですね.
原種と呼ばれるバナナはいくつかあるのですが,最も有力のものが2つで,マレー半島付近から出てきたムサ・アクミナータと呼ばれるものと,フィリピンやインドから出てきたムサ・バルビシアーナですね.これらには小豆大の硬い種子が入っているのですね.
原種のそして,野生の「ムサ・アクミナータ,ムサ・バルビシアーナ」というバナナには,元々タネがあって,それが突然変異体により,種無しのバナナが生まれました.

けんゆー

#46 のラジオ「遺伝子と生殖の話」でやりました.この時には,種無しスイカと種無しブドウの話もしましたね!

約1万年前から,バナナは食べられていたと言われているのですが,野生種から栽培種へと切り替えていく過程で,自然的に生じる突然変異人為的な選抜を繰り返しながら,今のバナナがあると言われております.
例えば,ムサ・アクミナータの単為結果性(受粉しなくて果実ができるのですが,花粉をつけるとタネができる!),不稔性の完全種無しが,栽培・突然変異の過程で出来上がってきました.

今,僕たちが普段スーパーで購入して食べている品種は「キャベンディッシュ」という品種も,種としてはムサ・アクミナータに当たるのですが,このキャベンディッシュは,現在世界でも約半分,栽培されているという驚異的なバナナです.

かつてはグロスミッチェルという品種があった!

キャベンディッシュが世界的にも多く栽培されているのですが,かつては,グロスミッチェルというデザート用として美味しい品種が最も多く栽培されていました.
しかし,グロスミッチェルという品種は,パナマ病(つる割れ病)という病気にかかり,栽培数が急激に減ったのですね.
原種のバナナはタネがありますが,現在栽培種として流通しているバナナはタネなしの,株分けで増えるクローン種なんですよね.つまり,遺伝的に全て同様な性質を持つ株なので,同じ高い品質のバナナが取れますが,病気にかかる時も同じなのですね.
これが1900年代半ばです.パナマ病,フザリウムと呼ばれるカビの一種の病原体にやられました.
その時の商業栽培を壊滅状態にしたと言われております.

当時のパナマ病に強かった品種が,キャベンディッシュです.
そのため,現在は,キャベンディッシュが世界的に栽培されているとなってます.

しかし,現在も新パナマ病(Tropical Race 4: TR4)という類のパナマ病によく似たカビが,色んな国で報告されているんですよね.
たまに,世界のバナナは危ない!ということを耳にしますが,この新パナマ病が心配されています.
ナショナルジオグラフィックという雑誌によると,コロンビアでは国家非常事態宣言が出されているのですよね.
また,JETRO(日本貿易振興機構)もフィリピンのバナナ栽培が新パナマ病によって,2020年が前年よりも6%ダウンしたと報じてます.
この新パナマ病に強いFHIA-25という新品種もあるようなのですが,味があまり好まれないようですね.

「もんげーばなな」という岡山のグロスミッチェル

近年,良くニュースに取り上げられるのは,皮まで食べられるバナナですよね.
岡山県のD&Tファーム,田中さんが2016年に「もんげーバナナ」という名前で販売されているものですね.
ちなみにもんげーというのは,岡山の言葉で「すごい」という意味ですね.

実はこのバナナ,グロスミッチェルなんですよね.
かつてパナマ病で壊滅的ダメージを受けたバナナです.
この種の特徴として皮が薄いんですよね.皮ごと,そのまま食べやすいのですね.
島バナナもアップルバナナも,皮が薄いので,皮ごと食べやすいですね.
キャベンディッシュは皮が厚くて,かじるとちょっと苦いのですが,冷凍して薄く切ると,いけますね.

けんゆー

好んで食べることはしないですけどね

このもんげーバナナは「凍結解凍覚醒法」という方法で,栽培されているものですね.
バナナの苗を凍結,そして解凍をして育てるというものを繰り返し行い,冷却温度や解凍温度を研究して,本土でも育つ,糖度の高いバナナを作ったというものですね.
いつか食べて,食レポしてみたいですね.

文春新書から出版されている「農業新時代」川内レオさんという方が執筆された書籍があるのですが,これが面白かったですね.
この本は,2019年10月に出版されており,最先端の取り組みをされている10人の農家さんが紹介されている本になります.

けんゆー

やっぱり本は良いね!その人が長年培ってきた経験や,その中で得た着想,取り組み,などを数ページめくると体験ができるのでお得だね!

けんゆー

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