- 木酢液を使う目的を把握する.
- 殺虫効果よりも微生物活性を狙う.
- 植物由来の資材なので,アレルギーなどが出る場合がある.
ハイサーイ!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
本日は「木酢液の効果や使い方など,殺虫剤として使えるの?」についてお話いたします.
有機農業をされてる方や,家庭菜園をされている方は,一般的な化学農薬は使用できませんから,代用品で虫の防除をしなければいけません.
それで,木酢液が良いよ!ということをよく聞くかと思われますが,そこら辺はどうなの?というお話をさせていただきます.
今回のお話は「自然農薬の作り方と使い方」,農文協さんから出版されている書籍を一部参考に,そして,その他論文などを調べた情報をお伝えしてます.
ご参考になれば幸いです.
木酢液とは!?
木酢液というのは,木材を高温で蒸して木炭を作る際に出てくる煙を,冷却して液体にした液体です.
つまり,樹木の細胞液から抽出した植物エキスなんですね.木酢液の原液自体は,phは酸性,約3程度です.
植物由来なんだね!
90%は水ですが,ほか10%に入っている成分としては,微量なものも合わせると約200種類ほどになります.
大体は有機酸類の酢酸ですが,アルコール類やフェノール類の成分なども豊富に入っております.
有機酸類のプロピオン酸,酪酸(らくさん:香料の原料)など,
こういった有機酸類が,作物に吸収されにくいミネラルなどを溶かして,作物が吸収しやすいようにする,微生物がアミノ酸を合成するための材料になったりします.
アルコール類やフェノール類は,殺菌作用ですね.
アルコールだと,メタノールやエタノールは,殺菌に加え,浸透作用も期待できる.
さらに,フェノール類は,植物が作る抗菌・殺菌,消臭,防腐作用があります.
原液のままだと,強酸性で,非常に強い殺菌効果があり,植物に散布すると,枯れてしまうので,500倍から2000倍に薄めて使用しなければいけません.
ここまで,木酢液とはや,原料の話をさせていただいたのですが,私たちが気になるのは殺虫剤として使用できるかの効果ですね.
殺虫剤としての効果は!?
結論から先に,申し上げますと,
「殺虫剤や虫除け,殺菌剤としての利用を目的とするのであれば,効果が非常に薄い」です.
やはり500倍から2000倍に薄めて使用するので,酸による殺菌効果・殺虫効果がなくなるんですね.
正直なところ直接的な殺虫効果は微妙だよ
では,木酢液にはどのような効果があるのかというと,
「植物体や土壌中の有用な微生物の増加」
が狙いです.
なので,害虫が大量発生してしまって,駆除を目的とするのであれば,その害虫に適したほかの方法を行った方が良いです.
植物体や土壌には,非常にたくさんの菌が生息しております.
作物の生育に有効なものも多くいますし,病原菌と呼ばれる微生物も多くいます.
多様な菌が共生してますが,環境によって,ドバッと病原菌が増え,作物の体内に菌糸を伸ばして侵入すると,病気が発生します.
また,この病原菌が有機物を分解するときに,悪臭のアンモニアガスや,硫化水素,インドールなどを放てば,これは腐敗になります.
なので,このような状態にならないように,有用なかつ多様な菌たちを生かすために,木酢液などが使われます.
放線菌や糸状菌,納豆菌,光合成細菌,乳酸菌,酵母菌,など多くの菌が力を発揮できる環境を作るためのものです.
薄めた木酢液が,このような菌たちの餌になるのですね.
微生物の餌になるので,土壌散布もそれなりに効果があるということも言われてます.
根圏(コンケン)にいる微生物のためですね.
使い方は!?
日頃からの防除という目的で,薄めて散布するのは,効果的だと言われてますが,大体10日に1回,1000倍ほどに薄めたものを散布するのが良いと言われてます.
基本的に,毎年作物を作っていて,病気もなく,健康な野菜が作れているよ!という方は,別に無理して導入する必要もないと思います.
畑の環境や,その他使っている資材にもよると思いますが,特に何も使っていないよ!という人で,試してみたいという方は,過剰散布にならない程度で試してみても良いのかなと思います.
選び方は!?
あと,選び方ですね.
沈殿物がないもので,澄んだ綺麗なワインレッド〜褐色がかった色のものを選ぶと良いです.
原材料の記載があるもので,クヌギ,ナラ,ブナ,ウバメガシなどの広葉樹から作ったものが効果が高いと言われております.
ただし,ウルシ,ハゼノキ,クスノキなどは,有害な成分,アレルギーが出たり,かぶれたりする場合があるので,避けた方が無難です.
今回は,木酢液の効果についてお話をさせていただいたのですが,具体的な内容,細かいところの微生物の働きなど,省きました.
また,木酢液に,ニンニクや唐辛子などを追加で入れて,木酢エキスを作っている方も多くおられますし,本書「自然農薬の作り方と使い方」では,多くのやり方がご紹介されているので,興味のある方は読んでみてください.
またねー!