有機農業と慣行農業について
この記事のポイント
  • 有機農業は土の微生物を大事にする農法.
  • 慣行農業は収量の最大化を目指した農法.
  • 有機農業と慣行農業は決して表裏一体ではない.
けんゆー

はいさーい!こんにちは!

こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
今回は,有機農業慣行農業との違いを解説していきたいと思います.
実はこれらの農業のスタイルは表裏一体ではないのですよね.

おいらは,有機農業で,果物と野菜を育てている身ではありますが,別に慣行農業を否定している訳ではないことを先にお伝えしておきます.
どちらもきちんとした栽培手法で,それぞれに目的があります.各々が大事にしているものがあるので,そういった事実を客観的に解説していきます!

けんゆー

有機農業の方が良いぞ!ということでは決してないのであしからず!

有機農業と慣行農業の目的の違い

有機農業と慣行農業を簡単なイメージで説明すると,上の絵のようになります.
それぞれ大切にしているものが異なります.ただ単に農薬を使うか使わないかといったようなことではありません.

それぞれ,取り上げて深掘りしていきます.

有機農業とは何か!?

有機農業というのは,環境負荷を減らす生産スタイルの農法で,以下二つの具体的事項が大事です.

  1. 化学的に合成された肥料および農薬,除草剤を使用しない.
  2. 遺伝子組み換え技術を利用しない.

これらを守ることによって,本来の畑の持つ自然循環機能を大事にしています.
自然環境を重んじるので,常に土の中の微生物を気にかけた農法なのです.
虫も雑草も出てきますが,その上で作物ができると良いよね.というようなものです.

化学的に合成された肥料(化成肥料)・農薬を使わない理由

化成肥料および農薬を使用しない理由は,環境負荷になるからです.
化成肥料は過剰投与が起きやすく,農場に残留もしくは,そこから流出しやすいのですね.
さらに,農薬に至っては,害虫だけではなく,ミミズやクモなどのような益虫(えきちゅう)人体にも少なからず悪影響を及ぼすものが多いため,有機栽培の方は,農薬を使わないのです.

言い換えれば,この逆が慣行農業という捉え方がされてしまうかもしれませんが,一口にそうではないと考えます.どういうことかと言うと,有機と慣行はそれぞれ農業に対する考え方が異なっているからです.

慣行農業とは!?

慣行農業は,作物の収量最大化を目指した農法スタイルで,現代には無くてはならない農業です.実は,99%の農家さんが慣行農業を行なっています.

具体的にどのような農法かというと,

  • 作物を病害虫・雑草から守るために農薬を使用する.
  • 作物の成長に化成肥料を使用する.
  • 安定収穫・定規格・定品質の野菜・果物作りを可能にする.

スーパーに並ぶ野菜・果物があの価格帯を維持できているのも,慣行農業のおかげさまです.スーパーで野菜や果物を買う人がいるから生存できるスタイルとも言い換えることができると思いますし,市場が求めている農業スタイルなのです.

しばしば残留農薬が慣行農業の議論の対象になりますが,法で定められた規制値よりもずっと下の数値になっています.つまり,残留農薬については,健康に悪影響を与える1日の許容量よりもかなり下の値なのですね.多くの研究者は食品安全を考える上では問題がないとしています.(なので,スーパー等で当たり前に出回っているわけなのですが...)
地域によっては防除日誌の提出をしないと野菜の出荷ができない,という地域も多いですからね.
トレーサビリティというのですが,生産者がどのような栽培をしているのかという記録を提示して,何か問題が起こった時に原因が追及ができるようにされてます.

けんゆー

どこまで厳密にやっているのかは分からないのですが,,,

食品安全を気にするよりもまずは,食べ過ぎとか,偏食とかそういった心配をした方が良さそうです.

けんゆー

健康に良い食事を心がけてね!

有機農業の裏返しが慣行農業ではない

上の二つの大きな目的「有機農業は土の中の微生物を大切にする」,「慣行農業は作物の収量最大化を目指す」を見てもらうと分かると思いますが,この二つのニュアンスは裏返しではないですよね.

安全性の観点から考えると,有機農業にも天然由来の肥料・農薬というものは使われている場合がありますが,使い方を間違えると,人体に害があり危険なものなのです.(除虫菊から抽出した天然殺虫剤や食酢など)
化成肥料に関しても使い方を間違えると危険ですが,適切な使い方をしていれば全く問題はないとされています.

けんゆー

日本は世界トップクラスの農薬大国なので,減農薬に力を入れるのは賛成だぞ!農薬を使わずに,収量がたくさん取れるのに越したことはないよね!


つまり,作物が成長するために必要な栄養素(窒素・リン・カリウム)化成肥料で補うか,有機的に土を作って補うかということなので,適切な栽培をしていると,安全性に関しては特に問題ないのです.

安全性に関しては,どちらが優れた農法か,ということについては一概に言えませんが,環境負荷が少ないという面で見ると,有機農業の方が優れた農法になると考えられます.近年ではSDGsが巷で流行っていますが,少なくても持続可能な農法であると考えられます.

けんゆー

農薬否定で安全性をウリにしている有機野菜ではなくて,きちんと作っているから安全であることをウリにしている農家さんを探してね!


しかし,我々の消費を支えているほとんどが慣行農業であることを忘れてはいけません.

お互いの良いところを融合できると良い

有機農業と慣行農業は,裏返しではないので,結局のところお互いのより良いところを取り入れて,栽培を発展させていければ良いと思うのですよ.

慣行農業の全否定ではなく,明らかに危険な農薬を否定し,他から学べるものは学んだら良いのです.野菜というのは,勝手に育っていくものものではなく,人の手の介入が必要なので,より良い手法を模索していけば良いのですよね.

しかし,まだまだ解明されていないことも多いと感じるので,慣行農業のように,事前に測った栄養素で栽培をし続けても発展性が低いと感じるのです.これから時代が進むにつれて,まだ明らかになっていないいろんな栄養素が発見されると思うので,有機農業のような土を育てるスタイルからも学ぶべき箇所があると考えます.

コラム:有機農家になるのは大変!?

こだわって農薬・化成肥料を使っていない方もたくさんいると思いますが,実は国が認めた有機栽培をしている農家さんはごくわずかなのです.1%未満(H29年で約0.23%の圃場面積)なのです.

けんゆー

慣行農業が99%と言われる所以だね!


この理由は何かと言うと,「有機」を名乗る際には,国からの認証が必要だという側面が影響していると考えています.

農林水産省の有機食品の検査認証制度を参照します.

有機食品のJAS規格に適合した生産が行われていることを登録認証機関が検査し,その結果,認証された事業者のみが有機JASマークを貼ることができます.

この「有機JASマーク」がない農産物と農産加工食品に,「有機」,「オーガニック」などの名称の表示や,これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されています.

これの認証を受けるためには,手間やコストの問題あります.
認証にかかる審査費用や,JASマークのシール代,パッケージ代は農家の負担になります.
さらに,調査員の宿泊費や交通費なども申請する農家の負担になります.毎年継続的にそれを続けるのは大変なので,あえて申請しないという農家さんも多いです.
有機農家になるにはかなりお金がかかるのですね.

けんゆー

皆さんも上手に農家さんたちと付き合ってくださいねー!ばいばーい!