- 日本の土壌が酸性に傾く原因は,雨・肥料・イオン交換!
- 工業国では,酸性雨などが問題となる!
- 土壌コロイドや各栄養素のイオンを知る!
ハイサーイ!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
本日は「日本の土壌はなぜ酸性に傾くのか」というテーマでお話をさせていただきます.
良く言われるのは,雨の影響で酸性に傾くと言われますが,実はその他にも,土壌を酸性にする要因はあるのです.
僕自身は,雨以外の要因の方が,実は大きいのでは無いかな?と思っているほどです.今回はその要因について深く考察をしていきたいと思います.
前回,pHのお話をさせていただきました.
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水素イオン濃度ですが,この水素イオンの濃度が濃いと,土壌というものは,酸性に傾き,pHが7の中性よりも小さくなるというお話でしたね.
そして,作物の栽培に適したpHはだいたい5.5 ~ 6.5程度だと言われております.
極度の酸性を好む,ブルーベリーとかパイナップル,お茶などもあるのですが,一般的な作物は5.5~6.5を好みます.
適正なpHではない場合,植物の根っこを痛めたり,土壌に栄養素が解けないという問題がありましたね.
また酸性が強すぎると,土壌のアルミニウムイオンが溶け出して,3大栄養素のリン酸が土の中に固定されてしまう,植物が栄養素を吸えなくなるだけではなく,根っこも痛めてしまうということをお話ししました.
余談ですけれども,このようなアルミニウムイオンによりリン酸が固定され,リン酸アンモニウムとなるのですが,この栄養素を吸収できるものがススキなどの茅でしたね.
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他の植物は吸えないので,辺り一面茅だらけ!という土地を見るのも珍しく無いと思います.
沖縄も耕作放棄地は現在,茅だらけ,ススキだらけでございます.秋を感じさせますね.
さて,本題の「日本の土壌はなぜ酸性に傾くのか」に入りたいと思います.
ご参考になれば幸いです.
日本の土壌が酸性に傾く理由
日本の土壌が酸性に傾く理由として,考えられる要因はこちらです.
- 雨により酸性になる.
- 肥料を投入したら酸性になる.
- 植物の生育の過程で起こるイオン交換によって酸性になる.
ですね.
それぞれ深掘りしていきたいと思います.
雨によって酸性になる.
おさらいですが,pH(potential of hydrogen)は水素イオンの濃度です.
水素イオンの濃度が濃いと,pHが下がり酸性になるのでしたね.
雨というものは,だいたいphが6程度だと言われております.
若干酸性なのですね.
これは,空気中には二酸化炭素がありますね.
パーセントでいうとかなり少ない割合です.0.05%以下ですね.
だいたい,78%が窒素,そして21%が酸素,残りの1%がほとんどアルゴンで,その次に二酸化炭素ですね.
この二酸化炭素,水に溶けて炭酸になりますね.
そこまで強い炭酸ではないので,ソーダのようにシュワシュワしないですが,それでも二酸化炭素が溶けております.
日本というのは,非常に雨が多い国ですから,この薄い炭酸水が大量に降り注ぐのですね.
そして,炭酸は,酸とついているだけあって,アルカリ分を追い出して,水素イオンを出すのですよね.
そのため,雨により,土壌が酸性化するというカラクリです.
しかし,phが6以下の土壌もありますよね.
まだまだ他の要因もあるわけです.
酸性雨
実は,工業国とかだと,工場から出る煙が原因で,強い酸性を示す酸性雨が降ることがありますね.
phが5.6以下を酸性雨として定義しているのです.
これは,工場から出る煙に含まれる硫黄酸化物(SOx)とか,窒素酸化物(NOx)が雨に溶けます.
水に溶けると,硫酸や硝酸になるので,やっぱりこれも水素イオンを出します.
そのため,土壌が酸性になります.
ここら辺はけっこう有名な話だと思いますが,他にも,肥料によって酸性になる場合があります.
肥料を投入したら酸性になる.
肥料は作物にどうやって吸収されるときに,どのような形態に変化するのか,というお話をしたいと思います.
窒素肥料を畑に入れたい場合,だいたいは,硫安と呼ばれる硫酸アンモニウムを入れる方が多いと思います.
水に溶けやすく,肥効が良いので,好まれます.これがpHを下げて酸性にします.
畑に硫酸アンモニウムを入れると,水に溶けたときにアンモニアと硫酸に分かれます.
そして,アンモニアは土(土壌コロイド)にくっつきます.
土はマイナスの電気を帯びていて,アンモニアはプラス(陽イオン)ですね.
他にも,カルシウムとかマグネシウム,カリなどもプラスの電気を帯びて,土にくっつきますね.
土につかなかった硫酸(マイナスイオン)ですが,これが今度は,土壌のマグネシウムやカルシウム(プラス)を引っ張ります.
土から離れたマグネシウムやカルシウムの,代わりに,水素イオンがくっつき,結果的に土が酸性に傾くというものです.
硫酸がカルシウムを引っ張り,できるのが石こうなんですね.
土にくっついたアンモニアですが,今度は,硝化菌(しょうかきん)によって硝酸に変わります.
このときには,プラスだったアンモニアが,マイナスの硝酸に変わるので,土にはくっつか無くなります.
これが,今度は土壌の溶液に流れます.
植物の生育の過程で起こるイオン交換によって酸性になる.
植物の根っこが養分を吸収する際には,土壌についたアンモニアや,土壌の溶液中に流れた硝酸を吸収します.
プラスのアンモニアを吸収する際には,植物はイオン交換といって,水素を放出するのですね.
根っこが出す,炭酸由来の水素イオンです.これにより,土には塩基類が減り,結果,土壌が酸性によってしまいます.
どうでしょうか.
少し長かかったですが,日本の土壌が酸性化する理由は,雨だけではないのですね.
それに,土のことなんて,まだまだ,分かっていないこともたくさんあると思います.
本日は,日本の土壌はなぜ酸性に傾くのかということをお話させていただきました!
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