専門家が教えるカニステルの栽培と簡単レシピ
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けんゆー

こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.


けんゆー

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アボトークでは,珍しい熱帯果樹の栽培方法や,その果実を利用した簡単レシピを紹介する新企画がはじまった.今回,第一弾として取り上げるのは「カニステル」だ.
あまり美味しくないという人もいる一方で,とっても美味しいという人がいる.
カニステルの品種が安定的でなく,色々な形質があるものだからこそだとも思うが,それを考えると,多くのカニステルを試してみると,とっても美味しいものに当たる可能性もある.ぜひ,美味しいカニステルを食べて,栽培してみてほしい.

1.カニステルの資料について

<カニステルの栽培データ>
カニステル推しポイント
学名Pouteria campechiana
分類アカテツ科ポーテリア属
染色体数2n = unknown
原産地メキシコから中央アメリカ
日本への導入1973年に沖縄県に導入実生からなので味質が良くない
生育適温25~30℃
耐寒性弱い,7℃程度 (成木なら0℃程度耐)
耐塩性強い
排水性良いところに植え付ける
pH6.0 ~ 6.8
両性花
受粉虫媒
開花習性周年,春,夏,秋.
利用果実ばらつきが多い
増やし方実生,接ぎ木,取り木.
備考優良個体を接ぎ木するべし
おまけいっぱい食べてね!
けんゆー

カニステルを知らない方は,この機会にぜひ知ってね!

2.カニステルを食べた.ポストアボカドになるのか?

カニステル(学名:Pouteria campechiana)は南米原産のアカテツ科の果樹で,アカテツ科には,多くのメジャーなものが存在する.

例えば以下.
・アビウ
・サポジラ
・スターアップル
・イエローサポテ
などなど,多くの果樹が存在する.中でもカニステルは美味い.

中を割ってみると以下のような感じ.

別名エッグフルーツとも呼ばれているが,黄身のような,カボチャのようなほくほくしさがあり,美味しい.
ちょっと生臭いトロピカルフルーツ特有の風味があるが,これがスパイスとなり癖へと昇華する.中毒性が高い.フルーツドラッグだ.

また,近年では,東南アジアを含めいくつかの国では注目され初めており,カニステルに含まれる機能性成分なんかが調べられている.バングラディッシュでは2015年に,カニステルの果肉中に含まれる成分を調べ,心不全や不整脈などの予防に効果的な可能性があることや,抗癌,抗腫瘍,炎症などにも効果的な可能性が大きいと示唆している.
(参考:Plant Physiology and Fruit Secondary Metabolites of Canistel (Pouteria campechiana))

日本では,沖縄県が露地栽培できる北限だと思われるが,耐寒性が若干あり,本土でも無加温ハウスなどを使うと栽培できるかと思われる.フロリダ大学の報告によると,若木の耐寒温度は-1.6℃,成木は-5℃と報告されている.(参考:Canistel Growing in the Florida Home Landscape

2−1.現地メキシコでは多くの使われ方をしてるみたいだ!

現地では,サラダ,アイスクリーム,ジュースなどなど多くの使われ方で楽しまれている.さらに現地ではグルテンフリーなカニステル粉を作ったりと,あらゆる工夫がなされている.粉にすると消費期限も伸びるし良い.

以下は2020年にブラジルからでた文献であるが,製粉プロセスが詳しく紹介されている.

Optimization on process of ripe canistel (Pouteria campechiana) fruit flour based on several quality characteristics

カニステルを粉にすると,若干,苦味が出るが,7.5%のNaCl溶液に30分浸水した後,40℃で6時間乾燥すると質の高いカニステル粉ができることを紹介している.粉も綺麗なオレンジ色になり,味質や成分的にも問題なさそうだ.

2−2.日本では馴染みはないが,世界のいくつかの国では結構食べられる.

カニステルの主要輸出国のリストをみると,カナダ,タイ,ポーランド,ペルー,マレーシア,チリ,USA,オランダ,セルビア,メキシコとなっている.
(参考:https://www.tridge.com/intelligences/canistel

やはり,中南米や東南アジア勢が強いなと思う.
こちらの統計によると,ここ3年でタイやマレーシアなどの東南アジア勢が,カニステルの栽培にかなり力をいれているようにも思う.

フロリダ大学のジョナサン. H. クレーン博士(熱帯果樹専門家のお一人)が出されているカニステルのレポートによると,カニステルの分布は中央アメリカ,カリブ海,東南アジアの一部の地域,およびアフリカ地域全体に分布しているようだ.フロリダに導入されたのも20世紀初頭と最近で,現在も商業的には限られたエリアで栽培されているとのことだ.
(参考:Canistel Growing in the Florida Home Landscape

果実の形は,紡錘形から円形,倒卵形までさまざまだが,一般的にはスライムのような尖った形をしてる.ドラクエ世代はわかるよね.

果実中には1〜5個の種が入る.

また,興味深かったのは,現在フロリダには多数のカニステル品種が存在しており,沖縄県よりも当然ながら進んでいるなと感じる.以下は本書から引用したカニステルの品種一覧だ.
英語で見にくくて申し訳ないが,ブルース,フェアチャイルド1号と2号,フィッツパトリック,ケイソウ,オロ,ロス,トロンポ,USDA1などの9つの品種が紹介されている.

ざっとみると,夏果と冬果が多いが,一年中取れるものも春に取れるものもある.味質のコメントをみると,食味が良いのはフェアチャイルド1号,フィッツパトリック,オロ,トロンポなどはかなり人気があるように思われる.それ以外は,果実が小さかったり,食味が微妙だったり,種が多かったりと問題があるようだ.

人気のある品種に共通するのは,9月-10月あたりの収穫が可能な点にあるかと思う.この辺で旬を迎えるものはもしかしたら美味しいのか?
(より詳しく,これら品種を知りたい方はこちら「Canistel Cultivars in South Florida」)

2−3.沖縄県のカニステル品種問題.

沖縄県で,カニステルが普及しない問題として「美味しい品種が確立されていない」という点があると思う.本県では,カニステルの実生樹が多くあり,それぞれがそれぞれに楽しんでいるという側面がある.ファーマーズに出ているものも,形やサイズのバリエーションが多く,味質もバラバラだ.

美味しいものもあるが,そうでないものもある.
いや,美味しいと言っても,これは芋焼酎のような癖を楽しむという側面があるので,そういった意味合いで,本当に美味しいものを見つけるのが難しい.

沖縄県では,キングカニステルと呼ばれ,果実もある程度大きく,種が1~2個,果肉の風味も味質も良いものはあるが,それに似たものも多い.また柿のように多少扁平なものも美味しいと聞くがまだ僕は食べたことがない.

とにかく品種名を明確にした上で,美味しい個体の接ぎ木,きちんとした品質をある程度安定的に出せるのであれば,かなり未来性が大きい果樹だと考える.

3.木の様子など:写真紹介

最後までありがとうございます.
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