【徹底理解】うどんこ病
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けんゆー

こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.


けんゆー

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今回はうどんこ病について徹底理解をするためにスライドを作った.
病気シリーズ第二弾だ.
前回の炭疽病もそこそこ好評だったので,ぜひ見ていただきたい.
【徹底理解】炭疽病について

うどんこ病の歴史,基本的理解や病気の対策などが見られると思う.
うどんこ病は,宿主特異性があり,それぞれの作物に対しても特徴が違うので,その辺も楽しみに見ていただきたい.
では,スライドの方をどうぞ!

スライドについて

スライドが見られない人のために!

以下は,スライドがぼやけて見えない人や,画像が処理できない人用に,文字だけ再度掲載した.
ぜひ,参考にしていただきたい.

■うどんこ病の基本的理解

・子嚢菌類ウドンコカビ目Erysiphales ウドンコカビ科Erysipaceaeの菌類の総称
・世界で約1万種の被子植物に寄生する絶対寄生菌.
(生きた宿主から離れた状態では増殖できない微生物)
(宿主が死んだ場合,胞子などの耐久体を作って休眠)
・うどんこ病菌は,共通祖先が植物への絶対寄生性を一度だけ獲得し,
それが現在まで維持される集団.

■子囊菌類(sac fungi,Ascomycotina(=Ascomycetes))

・現在のところ1950属,1万5000種が知られている.
・他の菌類と同様に,無性生殖と有性生殖との世代交代をくり返す.
・子囊菌類の特徴は,有性生殖の結果として子囊という袋を形成し,その中
に普通8個の胞子(子囊胞子)をつくる.
・栄養体は単細胞あるいは隔壁をもつ菌糸状で,無性生殖により,分生子や
胞子囊胞子などをつくる.

■うどんこ病の基本的理解

・葉にうどん粉をふりかけたような白い粉状のカビ.
・風によって飛散,伝染.
・20℃前後で活発になるものが多い.
・若い葉の萎縮,黄化,生育阻害.
・菌糸を植物の組織の中に伸ばして栄養分を吸収.

■うどんこ病菌のモノグラフ

1900年: Salmon, A monograph of the Erysiphaceae
→1科 2亜科 6属 50種 13変種

その後,詳細な形態観察や接種試験により,
分類がより厳密になっていく.

ヨーロッパや日本もその分類に準拠し,より詳しくなる.

■うどんこ病菌のモノグラフ

1987年:Braun,A monograph of the Erysiphales
→ 形態的特徴に基づいた分類体系
→その後,DNA塩基配列データなどに基づき改訂
→その後,有性世代の形態(テレオモルフ)無性の分生子世代の形態(アナモルフ)が重要視され改訂.(走査電子顕微鏡など)
2012年:BraunU,CookRTA,Taxonomic Manual of the Erysiphales(PowderyMildews)
→新モノグラフ,872種 47変種.

■モノグラフ:分生子世代の形態(アナモルフ)による分類体系

・従来 Erysiphe alphitoides 1種とされてきたコナラ Quercus 属に寄生するうどんこ病菌が,少なくとも5種により構成される複合種であった.

・従来 E. carpinicola 1種と考えられてい たシデ Carpinus属寄生菌が宿主植物の種ごとに別々の種に分割される.

分子データと形態観察の組み合わせによって種概念が大きく変化

■モノグラフ:まだまだ改訂される

・分子データの蓄積:タンパク質をコードするDNA領域
・アナモルフデータの蓄積:熱帯,亜熱帯地域の菌
・うどんこ病菌多様性の網羅的調査
・相互接種の実施:相互に感染するかどうかの調査など

■トマト:Erysiphe cichoracearum, Leveillula taurica

・湿度100%,葉が濡れていると菌糸の伸長抑制.
・春または秋の空気の乾燥した条件で激発.

■トマト:Oidium neolycopersici

・新規トマトうどんこ病菌.
・殺菌剤:耐性菌が出る可能性がある(ウリ類やイチゴ等)
・バイオコントロール
→ 病原菌と拮抗する微生物の利用.
・静電気胞子捕獲法 (electrostatic spore precipitation method)
→実用化を目指す.

■イチゴ:Sphaerotheca aphasis

・予防第一,生物農薬(タラロマイセス フラバス,バチルス ズブチルス).
・高温に弱く,高温多湿処理で弱らせることができる.(50℃ 3分の温湯処理)
・55℃の温水を1秒.

■キュウリ:Sphaerotheca fuliginea, Erysiphe polygoniLeveillula taurica, Podosphara xanthii

・春と秋に多く,温度の高い夏と低い冬は少ない.
・抵抗性品種の導入など.

■メロン:Sphaerotheca fuliginea

・強酸性電解水,低pHの効果.
・生物農薬もある程度効く.

■うどんこ病の対策

・散水,温水:うどんこ病菌の分生胞子は水で破裂
・抵抗性品種の導入
・密植にせず,違う種類の野菜を近くに入れる.
・pHの高いもの(石灰など),もしくは低いもの(機能水)を散布.
・納豆菌など,えひめAIの散布.
・重曹,界面活性剤などの利用.
・薬剤の利用

■参考にした文献

・2012年に発行される新モノグラフにおけるうどんこ病菌分類体系改訂の概説,高松進,三重大学大学院生物資源学研究科紀要,第38号,1~73 (2012)
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030832727.pdf
・温水散布によるイチゴうどんこ病の防除,山岸菜穂他,関東東山病害虫研究会報 第56集 (2009)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ktpps/2009/56/2009_56_39/_article/-char/ja/
・キュウリのうどんこ病抵抗性検定と抵抗性機構,植物防疫,64巻5号,p.295-300,(2010)
http://jppa.or.jp/archive/pdf/64_05_09.pdf
・温室トマトにおける新規うどんこ病の世界的流行と病原菌の同定ならびにその防除対策について,豊田秀吉,近畿大学農学部紀要,第40号,1~15 (2007)
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030740694.pdf
・電解強酸性水(機能水)散布による温室栽培メロンのうどんこ病防除,生井恒雄他,山形大学紀要,第15巻,第1号 43-50 (2006)
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010722834.pdf

動画で見たい人は,以下からどうぞ.

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