- 種が発芽する10つの要因についてまとめる.
- 種にある熟度や休眠,寿命を理解する.
- 外的要因の温度,水分,ガス,光なども理解する.
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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
今回は「なぜ種は発芽しないのか?」ということでお話をしたいと思います.
家庭菜園や農業をされてる方は,野菜を育てるときに,種を蒔く方も多いと思います.
もちろん,上手く発芽する時もありますが,そうではない時もありますよね.
前回のラジオでは「野菜の栽培の適温」の話をさせていただきましたが,実は,種子の発芽ももちろん適温があります.
植物は,基本的に一度発芽したらその場から動けないので,周囲の環境で生きていける季節や環境が整っていなかったら,発芽が行われないようになっております.間違えて発芽してしまって,水がないとか,酸素がないとか,光が当たらないとか,水がないとかなると大変ですよね.
なので,種を蒔いたけど発芽してこない!というのは,そういった環境が十分ではない場合があるのです.
今回の記事では,種子の発芽に及ぼす要因を解説します.
発芽が行われるためには,内的な要因と外的な要因があります.
現在,学術的に理解されている内容をとことん解説していきたいと思います.
また,野菜別のそれぞれの発芽の要因の解説なども行いますので,ぜひ楽しみに
ぜひ,家庭菜園をされてる方は,農業をされている方のご参考になれば幸いです.
種子発芽の内的および外的な要因とは!?
今回も「野菜の発育と栽培 育ちの生理を総合的にとらえる」を参考に解説させていただきます.
こちらの書籍は,野菜栽培の科学書になっており,とても参考になる書籍でした.
おすすめなので,ぜひ,詳しく知りたい人は,読んでみて下さい!
さて,種子の発芽には,6つの内的要因と4つの外的要因が存在します.
ざっくりと内的要因と外的要因がどのようなものなのか,まずは大まかに解説します.
- 種子の熟度(成熟度あい).
- 種子の休眠(環境適応反応).
- 硬実(種皮の硬さ問題).
- 体内リズム(休眠の変動).
- 種子のサイズ(大は小を兼ねる).
- 寿命(普通2~3年).
- 温度.
- 水分.
- ガス条件(酸素).
- 光.
外的要因などに関しては,現在の科学でおおよそ分かってきており,本書でも以下のような値が目安として紹介されておりました.
本書から抜粋して,紹介させていただきます.
野菜種子の最低,最適および最高発芽温度です.
また,後程,外的要因も詳しく解説しますが,まずは,内的要因についてそれぞれ解説していきたいと思います.
内的要因とは!?
内的要因は,6つあり,それぞれ,熟度,休眠,硬実,体内リズム,サイズ,寿命でしたね.
また,植物ホルモンのうち,アブシシン酸が大きく関わって,発芽抑制をしてるとか,休眠状態を維持するためのLEAタンパク質遺伝子の発現を誘導するなどありますが,今回は,植物ホルモンの話は少し避けます.以前,植物ホルモンによる作用の話は,とても詳しくやりました.
概要欄に「アブシシン酸」についての動画がありますので,みて下さい.
では,ざっと解説します.
熟度とは!?
まず最初に種子の熟度ですね.
種子というのは,果実や野菜の収穫後,すぐに種を蒔いても発芽しないことが多いかなと思います.
これは,熟度と言って,タネにも一定期間の成熟期間を必要とします.
一般的に,成熟度あいがまだ不十分な種子は,白っぽいことが,成熟してくると,黒っぽかったり,灰色っぽかったり,赤っぽかったりと,周辺組織種時代に色がつくことが多いです.
休眠とは!?
次に休眠状態ですね.
休眠とは,種子がしっかりと成熟した後でも,生育が停止し発芽しない状態のことをいいます.
これは,周囲の外的な環境条件による適応反応だと言われます.
この休眠の解除には,外的要因が重要になります.あとで詳しく解説します.
この休眠に関しては,種皮や胚乳,胚などに発芽抑制物質が存在し,これが休眠を維持してます.
ただ,種子全体を水洗いすると,発芽抑制物質の量が減り,発芽しやすくなると言われるので,外的な要因がクリアしてるのに,発芽が行われないという方は,一度種子を洗って下さい.さらに,休眠打破の方法には,低温処理や高温処理があります.
低温処理は,種子を吸水させて,砂などに埋め,5℃程度の低温に一定期間おく方法があります.
低温処理が有効な野菜としては,キャベツ類,レタス,シソ,ウドなどがあります.
また,高温処理では,イネ,オオムギ,ホウレンソウ,ラッカセイなどがあります.
処理温度は,植物によって異なります.
硬実とは!?
硬実とは,種皮が硬く,水が浸透しないもので,種子が発芽できない機構を持っているものです.
小粒のマメ科植物では,硬実であることが多いですが,エンドウ,インゲン,ソラマメなどの大粒のものでは硬実ではないです.
他にも,オクラやアサガオ,ハスなども,硬実を持つため,種子発芽のためには,種皮をナイフで傷つけたり,塩酸などの薬剤で処理をするなどがあります.僕もよく種を購入するのですが,硬い種皮を持つものも多くて,例えば,ヘチマなども,ハサミで傷をつけてね,と袋に記載されてることもあります.
体内リズムとは!?
体内リズムは,若干,休眠と類似してるところがあります.
このリズムというのは,休眠が季節ごとに変動し,種子の内側の何らかしらのリズムがあると言われます.
気温や,水分,光や酸素などの状態が同じでも,季節によって,変わってくることもあるということです.
この辺も次第に科学的に明らかになってくるでしょうね.
種子の大小!?
次に種子の大きさですが,一般的に,どの植物も種は大きい方が有利だと言われます.
野菜も果物も同じで,発芽率やその後の成長なども有利に進むことが多いと言われます.
なので,種の自家採取をされる方は,大きいものを選びましょう.
寿命とは!?
次に寿命についてです.
種子も生き物なので,一定の寿命があります.
普通の野菜の種子は,一般的に2年程度だと言われますが,保存条件が悪いと,カビが生えたり,腐ったりすると生き物として死んでしまいます.ある程度乾燥条件で保存するなどの注意が必要です.
ただ,寿命の話でかなり話題になるのは,2000年前のハスの種子が発芽したことですね.
大賀ハスというものが有名ですが,これは,1951年に発見された2000年前の種子で,現在もよく知られております.
YouTubeで,大賀ハスと検索してみてみて下さい.
外的要因とは!?
次に,外的要因について考えていきたいと思います.
上の方でも記述しましたが,種子には休眠という機構が備わっており,外的の環境の条件が備わっていないと,うまく発芽しないことになっております.ここでは,この外的要因について考えます.具体的には,温度・水分・ガス・光に関してですね.
この記事のポイント 種子の発芽には温度・水分・酸素の3つの条件が必要. その他にも光が必要なもの,必要ではない …
前回,この辺の話は,深く取り上げましたが,今回は,野菜の具体例などを考えていきたいと思います.
こちらの表は「野菜の発育と栽培 育ちの生理を総合的にとらえる,農文協」さんからのものです.
詳しく見たい方は,ぜひ,本書をご覧ください.
温度に関して
上に示した表を見ていただきたいのですが,野菜の種子の発芽には最適な温度が存在します.
また,最適ではないにしろ,発芽が可能な最低な温度と,最高な温度があります.
休眠性あり,というものは,より敏感で,さらに,種子齢が進むにつれて変化するという性質を持ちます.
つまり,播種した直後には,適温の温度幅は狭いが,時間が経つと,徐々に最適な温度帯が広がっていき,発芽しやすくなるという性質を持ちます.
温度に関しても表を俯瞰して眺めてみると気づきがあります.
例えば,ナス科のナス,トマト,トウガラシ,他にもウリ科やインゲン豆,ゴボウなどは,発芽の最低温度が高いですね.
10℃や15℃などが見られます.夏の野菜という感じがしてきますね.冬に播種しても芽が出てこない,というのは,こういった理由があるからなのですね.トマトなども,気温が上がってきた春先などに,よく芽が出てくる印象です.
一方で,アブラナ科の大根やキャベツ,他にもキク科のレタスなどは,最低温度が低いですね.
4℃前後の気温でも発芽をするということが見られます.
最高温度に関しては,どの野菜も似たようなものですね.
水分に関して
また,発芽には水分も必要になります.
種子の胚が成育を始めるには,一定の水分が必要になります.
一般的に,からっからの場所では,芽が出てこないわけです.
休眠状態にある種子が水分を吸収すると,さまざまな分解酵素や呼吸を脱水素酵素などが活性化されると言われます.
例えば,発芽を促すために,ある野菜では播種をする前に,浸漬(しんせき)処理と行って,水に沈めておく処理が有効なものもあります.
ゴボウやフダンソウ,ニンジン,アスパラガスなどではそういった処理がなされる場合もあります.
ぜひ,発芽がうまくいかないよ!という方は,試してみてください.
ただし,インゲン豆やエンドウマメなどは,浸漬処理が悪影響になるものあるので,気をつけてください.
浸漬処理によって,種子の貯蔵物質が浸出すると言われてます.
ガス条件について!
次にガス条件ですね.
基本的には,酸素です.
酸素の濃度が十分であると,発芽が促進されると言われます.
一方で,炭酸ガスなどの濃度が高まると,逆に発芽が抑制されると言われます.
これは,野菜の種類によって異なります.
本書では,いろいろな野菜が紹介されてましたが,例えば,ダイコンやセロリなどは,酸素要求量が高く,逆に,キュウリやネギ,シロウリ,インゲンマメなどは,酸素要求量が少ないです.本書では,そういった個別の野菜の酸素濃度と発芽率の関係が記載されてますので,詳しくは本書を確認ください.
光の関係
最後に光の影響についても触れておきます.
実は,この光は,全ての野菜にとって,あればよいというものではなく,野菜ごとに白黒分かれます.
発芽をするために,光を好むものもありますし,一方で,光を嫌うものもあります.
前者を好光性タイプと良い,後者を嫌光性タイプ(もしくは好暗性タイプ)といいます.
さらにややこしいですが,光に関係なく発芽する「中性タイプ」も存在します.
また,本書には,野菜ごとにとても細かく記載がありました.
また,詳しくは,割愛しますが,光の波長も関係しており,ある特定の波長域では,種子の発芽が促進されたり,もしくは抑制されるということも知られております.発芽がこれまで,どうしても上手くいかないという方は,ぜひ,この事実を知ってもらって,やってみるのも良いかもしれないですね.
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