- パンヤ科ドリアン属「Durio zibethinus Murr. 」
- 熱帯アジア原産,生育適温は高め.
- 品種によっては他家受粉をより支持するものもある.
ハイサーイ!
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こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
今回は,ドリアンについてお話ししていきたいと思います.
「果物の王様」と呼ばれたりもしますが,食べたことはありますでしょうか.
存在感がすごいですよね.とても臭いフルーツだとも言われております.嗅いだことはありますでしょうか.
東南アジアに旅行とかよく行かれる人は,身近なフルーツかもしれないですね.
最近は,沖縄県のスーパーでもたまに見ます.かなり身近になりましたね.
僕も以前,マレーシアに数ヶ月滞在していたことがあって,その時に,結構ドリアンを食べました.
初めは強烈な匂いが苦手だったのですが,ただ,品種によっては匂いがキツくなくマイルドなものもあって,果肉も食べ慣れると美味しいのですよね.虜になる不思議なフルーツです.僕のマレーシアの友人も「ドリアンは麻薬だ,一度手を出したら,絶対にやめられない.人生が狂う」と言ってました.
そんなドリアンですが,今回は,基本的なことや,生理学的側面,栽培方法などについてシェアしていこうと思います.
実は,僕も沖縄で,去年ドリアンの苗を入手して,その後枯らしたことがあります.やっぱりその果樹の特性をきちんと知らないとダメだなと思い,かなり勉強しました.今度機会があれば,しっかりと育てていきたいと思います.
これからドリアンを育ててみたいと思う方や,僕みたいに失敗をしたくない方,なるべく1%でも成功に近づけるように,情報共有をさせていただきます.また,現在ドリアンを栽培されている方でも,復習程度にお聞きいただけると幸いです.また,結実させてるよ!という方は,ぜひお知らせいただけると幸いです.色々と一緒に情報共有させていただけたらと思います.
ドリアンの基本的なこと.
ドリアンの学名は「Durio zibethinus Murr. 」と言います.
パンヤ科ドリアン属に属します.
学名というのは,二名法というルールで記載されてます.
前半部分が,属名「Durio」で,後半の「zibethinus」が,種小名になり,その植物の特徴がラテン語で入ります.
日本語名も英語名も「ドリアン(durian)」なのですが,これは東南アジアの地元の言葉からきております.
duriは,マレー語で「刺(とげ)」という意味を持ち,anは,「もの」という意味があり,名詞を作る時に使用されます.
なので,durianは,棘のあるもの,もしくは,棘のある果物,という意味になります.
つまり,属名の「Durio」というのは,マレーシアの現地語からきております.
種小名の「zibethinus」というのは,ジャコウネコから採れる香料のするという意味があります.
ジャコウネコも,その糞から採られるコーヒー豆で作るコピルア(Kopi Luwak)というコーヒで有名ですよね.
ちなみに,マレー語でコピは,コーヒーという意味で,ルアックがジャコウネコの意味を表します.
インドネシア語でもそうかな,マレー語とインドネシア語ってかなり似てるのですよね.
ドリアンの原産は!?
ドリアンは,東南アジア原産の果物です.
具体的には,ボルネオ島やスマトラ島が原産だと言われます.
ボルネオ島は,北はマレーシアとブルネイ,南はインドネシアの3か国に政治的に分割されてます.
島の約73%はインドネシアの領土ですね.こちらも熱帯果樹の宝庫だと言われます.
一方スマトラ島も,インドネシアの領土内にある最大の島ですが,こちらも熱帯果樹が盛んな島です.
15世紀以降,ヨーロッパ人に知られ,ある程度認知され,多くの場所で栽培が試みられてますが,難しくて普及していないのですよね.
そのため,現在も,主に熱帯アジアで栽培がなされております.
普及があまりしなかったという理由には,栽培が少々困難ということの他に,慣れない人にとってはとても臭いとか,他にも果実が刺々しくて危険性がある,などの理由もあり,積極的に広がっておりません.熱帯アジアに行ったら食べる!みたいな雰囲気の果物になりつつあります.
ただ,現在は,近縁種なども見つかっており,匂いが強烈ではないものや,棘がそこまで硬くないものなどが見つかっており,品種改良次第では,拡がる可能性が大いにあるフルーツだとも思います.
wikipediaを参照してますが,ボルネオ島には,「Durio zibethinus」以外にも,多くの食用のドリアン属があって,ローカルの市場には並んでいるようです.近縁種ですね.例えば, などが挙げられてました.
ちなみに,「Durio kutejensis」ですが,「ライ」と呼ばれているようですね.
こちらも現在のドリアンを改良するための親としての利用が期待されていると言われております.
ドリアンの木の特性など
ドリアンの木の特性などについて解説します.
ちなみに,実際の木を見たいという方は,沖縄県本部町にある「熱帯ドリームセンター」に行かれてください.
2018年から実際に,ドリアンの果実も実らせていて,とても見応えのある木です.
時期や年によっては,果実がない時もあります.
もし,熱帯ドリームセンターが遠くて,行けないよ!というかた,ご安心ください.
僕のYoutubeで熱帯ドリームセンターに行った時の動画があるので,概要欄からぜひご覧ください.
ただし,その時は,果実は収穫後でした!
木の特性
ドリアンは,常緑の果樹です.
一年中落葉しない果樹ですね.
木は高木で,とても大きくなります.
放っておくと,20~30m程度の高さまで余裕で成長すると言われます.
葉の特性
葉っぱは,互生する単葉です.
互生というのは,茎の一つの節に1枚ずつ葉が方向をたがえてつくことです.
葉は長楕円形で,先端が細いです.
サイズは,9cm~15cmとそこそこ大きいです.
革質で,表面は濃い緑色,光沢があります.
裏面は,粉状の鱗片がついてて,若干黄金色をしております.
花の特性
花は,太い枝の直接つきます.
ジャボチカバのラジオでもお話ししましたが,幹生花(かんせいか)ですね.
幹に生じる花と書きます.
このタイプの咲き方は,例えば,カカオやジャボチカバ,パパイヤ,イチジク,波羅蜜(ジャックフルーツ)などがあります.
花は比較的大きく,直径が5cm程度です.
長さが7cm程度で,下向きに吊られたように咲きます.
4~5枚の花びらがあります.白色か緑色をしてます.
両性花で雄しべは多数,雌しべは一本です.
若干,フトモモ科のグァバや,ジャボチカバ,レンブなどにも似ているような形です.
子房は5室あり,微小な鱗片に覆われてます.この微小な鱗片が,後刺々しい形状に発達します.
また,ドリアンの花は,夕方から開花し,翌朝には閉花するという夜型の花です.
自家結実する品種が多いですが,他家受粉をさせた方が着果が良いということが言われおります.
また,後に詳しく解説します.
果実の特徴
果実はとても大きく,サッカーボールくらいのサイズ感です.
直径が15~20cm程度,もしくは,それよりも大きいものもあります.
通常は,1~3kg,もっと重たいものもあります.そして,棘がすごいです.
マレーシアだと,道のそばで,屋台みたいな感じで並べて売っていたのですが,武器屋かな?と思いました.
食べ頃の果実は,叩くと良い音がするようで,購入する時に,スタッフがポンポンと叩いて,「これはいい奴だよ!」と促してきます.
僕はそんなに音の違いが分からなかったので,お任せしました.購入後は,そのまま屋台のお兄ちゃんが大きめのナイフで割ってくれて,その場で素手で食べました.
内側は,通常は5室に分かれております.
各室に3~5個の種子を含みます.
近い果物だと,内側のポポーのような果肉をそのまま食べるみたいな感じです.
クリーム色もしくは黄色,品種によっては灰色っぽいものも存在します.
滑らかで,チーズっぽい硬さで,とても美味しいです.
収穫後,フレッシュな状態で食べると,そんなに匂いもそんなに気にならない品種が多いです.
ただ,それでも気になるという人もいます.
日が経つと,徐々に匂いが濃くなり,何かが猛烈に熟れたような独特な激臭がします.
ちなみに,果実を食べると,喉の奥から,ドリアン臭が一日残ります.
また,現地のお菓子屋さんでは,ドリアンを使ったアイスやお菓子,ケーキ,饅頭?みたいなものなど,色んなものに使われておりました.
栽培に関する情報
栽培に関することもお話しておきます.
僕は以前,ドリアンのことを全く知らず苗を購入して露地に植えましたが,見事に枯らしてしまいました.
何も知らないことほど,成長はないと思いますので,皆さんが僕のようにならないよう,現在わかってるドリアンの栽培方法,注意点などをシェアします.自戒を込めて,丁寧に解説しようと思います.
気候や温度など!
ドリアンは,熱帯の作物で,最低気温が15℃を下回る場所では,かなり厳しいと言われてます.
沖縄でもぎりぎりで,露地ではなく,無加温でもハウスなどの栽培が必要だと言われております.
一方で,花が咲く条件として,20℃以下の低温と乾燥などの条件が必要です.
ただ,そういった低温状態20℃以下では,果実の成りもよくなく,限りなく結実しにくいということです.
ただ,これは品種間の差もあることがわかってきてます.最近の研究だと,チャニーという品種で低温でも結実がしやすいということが報告されてます.
ただ一般的には,木や果実の成長自体も,22℃を下回ると成長しにくいと言われているので,きちんとした成長には,最低でも23℃以上の気温が必要だと言われます.
この栽培適温の高さが,世界中で広がっていない大きな原因です.
さらに,フィトフトラ菌などにも弱いため,直接の雨風が当たらない環境が無難だと言われます.
そのため,露地での栽培だと,かなりチャレンジングだと言われます.
また,幼木や,若木は直射日光にそこまで強くはありません.
そのため,多少遮光をして管理をすることが求められます.
YouTubeなどで,海外の栽培を見てもらうとわかりますが,若いうちや植え付け直後などは,日光を遮るためのシートで覆ってることが多いです.
土壌は!?
土壌に関しては,酸性土壌での栽培が適してると言われます.
アルカリ性によった土壌では,生育不良が起きやすいということです.
そのため,沖縄県南部などは,アルカリによった土も多いので,植え付け前は,客土や土壌改良などをして,pHの調整が求められます.
また,鉢栽培ですが,小さい鉢で栽培されるときは,注意が必要です.
ある程度成長し,根がいっぱいになってしまうと,急に微量要素欠乏と言って,養分が吸収できなくなるようです.
そのため,鉢で管理される方は,その都度,大きくしていかなかればいけません.
また,ドリアンは,根っこが傷付けられるのを極端に嫌います.
除草の時に,その周辺を耕したりする場合は,気をつけてください.
枝の仕立て方
枝の仕立て方については,「庭先で作るトロピカルフルーツ」を参考にすると分かりやすいです.
本書で紹介されていた仕立て方を引用させていただきます.
ドリアンの主幹は真っ直ぐ上に,そしてドリアンの主枝は横に真っ直ぐと伸びる性質があります.
そして,花芽は太い枝に直接着くという習性があります.
そのため,主幹は2m程度で,切り返し,主枝は基部の方から出てくる小枝を剪定し,枝を太くするということが必要です.
徐々に太く成り,主枝の径が5cm程度になると,十分花芽が誘導される可能性があるということです.
ぜひ,やってみてください.そして詳しくは,本書を参照ください.
人工授粉の必要性
ドリアンは,人工授粉が必要になります.
花粉を集め,筆などで撫でながら,人工授粉を行なってください.
人工授粉に関しては,とても参考になる論文があります.
石垣にある熱帯・島嶼研究拠点の香西(こうざい)さんが2014年に執筆された文献です.
タイトルは「熱帯・亜熱帯環境下における果樹の結実性に関する研究-とくにモモとドリアンについて-」なのですが,この研究では,3種類のドリアン(Monthong(モントン),Chanee(チャニー),Kradumthong(カドゥン))の自家受粉や他家受粉の結実を調べてます.
自家受粉では,Monthong(モントン)とKradumthong(カドゥン)は,80%以上結実したが,Chanee(チャニー)は,28%ということで,自家受粉に適するものと適さないものがあることが報告されてます.また,人工授粉をしない場合,結実率はぐんと下がり,5%以下になったとのころです.
また,本研究では,花粉の発芽と温度の関係も調査しており,20℃や25℃では良好であったものの,15℃や35℃ではあまり良好でなかったことも報告してます.
受粉がきちんと行かないと,種子が形成されないため,果実バランスも崩れます.
ドリアンは,受粉をして,種子がきちんとできることにより,綺麗なバランスの良い果実ができるので,人工授粉はきちんと行いましょう.
タイなどでは,パクロブトラゾールなどという薬剤を使って,花芽の促進や開花時期などを早めるなどをしておりますが,日本では,その後の気温的な問題もあるので,若干注意も必要です.
ということで,今回は,ドリアンについて詳しくお話させていただきました.
ご参考になれば幸いです.
また,オンラインサロンなどでは,より詳しい学術的な話なども共有しております.
さらに,サロンメンバーさんの特典として,各地で熱帯果樹などを栽培する方たちとオフラインでワイワイやってる隠れ家的なグループチャットもお誘いしてます.果樹栽培も仲間がいるときっと楽しいと思いますので,ぜひ,覗いてみてください.
あと,熱帯ドリームセンターに遊びにいった際の動画を貼っておきます.