コーヒーの分類について.
この記事のポイント
  • コーヒーの豆知識について紹介.
  • コーヒーの系統,アラビカ種,カネフォラ種,リベリカ種について.
  • それぞれの違いと特徴について.

けんゆー

ハイサーイ!


けんゆー

記事リンク付きの感想ツイートなどは掲載される可能性あり!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

今回は,コーヒーの分類に関する豆知識をお話ししたいと思います.
(コーヒーだけに..)
以前,動画でコーヒー栽培を教えてくれた松田たつおさんからも苗を数本いただき,いくつか栽培してるのですが,コーヒーの基本的知識などを補完するために色々と調べたのでお話ししたいと思います.

実際にコーヒーの栽培の様子などは,松田さんとのコラボ動画を拝見していただけると嬉しいです.

これからコーヒーの栽培をしようと考えてる方,また,現在コーヒーの栽培をしてるよ!という方のご参考になれば幸いです.

コーヒーに関して

コーヒーの木は,アカネ科コーヒー属(コーヒーノキ属,コフィア属とも)に属する植物の総称になります.これまでコーヒー属は,4つの亜属66種が含まれておりましたが,2006年より,APG植物分類体系により,分類が見直され, Coffea属とBaracoffea属の二つの亜属に分けられることになります.APG体系というのは,被子植物系統グループ(Angiosperm Phylogeny Group)のそれぞれの頭文字をとったもので,被子植物の新たな分類体系です.これまでの例えば新エングラー体系やクロンキスト体系などの古い分類では,ある程度のマクロ的な形態から分類をしていたのに対し,APG体系では,葉緑体のDNA解析などのミクロなゲノム解析から分類された分子生物学的手法によって分けられたものです.

コーヒー属は,それによって 二つの亜属,Coffea亜属とBaracoffea亜属に分けられたのですが,経済的に重要なのは3つの種です.その3つとは,

  • アラビカ種(C. arabica)
  • カネフォラ種(C. canephora)
    (ロブスタコーヒーやコンゴコーヒーとも)
  • リベリカ種(C. loberica)

です.

この中でも,アラビカ種とカネフォラ種が世界のコーヒー生産量の約99%を占めると言われます.また,2019年に出版された「熱帯農学概論」という書籍によると,生産された75%以上が輸出されており,コーヒーは多くの場合,輸出作物として機能しております.その中でも60%以上が,アラビカ種であると言われます.アラビカ種とカネフォラ種は,輸出される場合が多いですが,リベリカ種は,ほとんどが生産地で消費されております.

ざっと3つの違いを確認しておくと,アラビカ種は,味・香りが優れ,病害虫や高温に弱いということがあります.カネフォラ種は,強い苦味とコクが特徴で,比較的成長が早く,収穫量も多く,病害虫にも強いです.リベリカ種は,原産のリベリカなどで栽培される種で,比較的香りが乏しく,他の2種と比べて品質が低いことから,栽培が限られております.

種の交雑と染色体

以前,僕,どこかの動画で,アラビカ種とカネフォラ種は,倍数性や染色体数が異なるので交雑しないということをお話しさせてもらったのですが,「熱帯農学概論」という書籍によると,交雑もするみたいですね.
なので,訂正せさていただきます.

ちょっとまた科学的な話になりますが,アラビカ種は四倍体44本の染色体を持ちます.「2n = 4x = 44」.自家結実性を持ちます.そしてカネフォラ種は2倍体22本の染色体を持ちます(2n = 22)です.自家不和合性を持ちます.種により倍数性が異なりますが,ハイブリッドができ,例えば,アラビカ種とカネフォラ種が交配した「アラブスタ」と呼ばれるものがあります.

では,それぞれ,アラビカ種,カネフォラ種,リベリカ種の特徴を深掘りしていきます.

アラビカ種について

アラビカコーヒーというのは,現在世界で最も広く栽培されてる種で,味・香りともに優れております.
起源は,エチオピアです.エチオピア南西部の標高の高い地帯,標高1500~2000mの地帯,エチオピア高原が起源だと言われます.当時のコーヒーは食用でしたが,アラビアで初めて飲料にされたので,アラビカコーヒーという名前で知られるようになりました. アラビア半島は,西アジアに位置し,アジアとアフリカを繋ぐ世界最大の半島です.

けんゆー

半島とは,3方位が海や川などの水に接してる陸地のことを指すよ!

アラビアへ伝わったのは10~11世紀頃で,当時や薬用として伝わりました.
飲料としては,初めは豆を煮出してましたが,14世紀以降には焙煎がなされ,それが一般的になりました.
イスラム教徒の間で広く普及した理由は,飲酒が禁止されているからだと言われております.
ヨーロッパへは,1615年に伝えられ,それから,広く世界に普及することになります.

ただ,普及していく過程でも,コーヒー豆は国の重要な輸出作物であったため,生豆の輸出が禁止されたり,コーヒーの木でとても厄介とされる「さび病」が広がり,セイロンやジャワなどでは壊滅的なダメージを受けたりとしました.
アラビカ種は,病害虫や高温に弱いという特徴があるため,現在では,高地で栽培されることが一般的です.

カネフォラ種について

カネフォラ種は,ロブスタコーヒーやコンゴコーヒーなどと呼ばれることがあります.
アラビカ種よりも成長が早いのが特徴で,耐病性もあり,病害虫に強く,さらに比較的,低地でも栽培が可能です.
収穫量も多いですが,強い苦味とコクがあり,豆の品質は,アラビカ種の方が良いとされております.

こちらのカネフォラ種は,1897年に,フランスの植物学者ピエール氏が発見したとされます.
ピエール氏は,アフリカ西岸で,アラビカ種で問題となるさび病に対する耐性があるこのカネフォラの一変種を発見し,命名しました.このカネフォラ種は,アフリカの南北緯10度以内の西海岸からウガンダにかけて自生してるのが見つかっております.

また,1898年には,コンゴでこの種と同様な種が見つかります.
当時は,C. rubstaと命名されましたが,後に,C. canephoraと同一種であると認められております.
ロブスタという名前の意味は,ラテン語で「強い」や「強靭な」という意味があります.
さび病やその他病害虫にも強く,高温多湿環境にも耐え,ある程度放任的な栽培でも十分育つことからこの名前がつきました.

ちなみに工学の世界では「ロバスト設計」という概念があります.
多くの要因や使用条件・環境のばらつきなどに対して,影響を受けずに,安定的に機能するかという設計指針があります.僕も大学院で制御系設計をしていたときに,ある制御系をパラメータ値を模索するのですが,このロバストの概念をものすごく意識していました.このロバストも,ロブスタ種の名前の語源と同一で思います.
余談ですみません.

最後にリベリカ種についてです.

リベリカ種について

リベリカ種は,生産量が非常に少ないコーヒーの種です.
世界の生産量は,1%以下,これは輸出用の品種のコーヒーではなく,現地消費がなされるコーヒーです.
原産は,リベリアです.西アフリカに位置する国です.
北にギニア,西にシエラレオネ,東にコートジボワールと国境を接し,南側は大西洋です.
現在リベリア種は,リベリア,スリナム,コートジボワールなどで栽培されてます.

以前は,アラビカ種に替わり,さび病への耐性が期待されていた種でありますが,感受的となってます.
特徴しては,他の2品種に比べて香りが乏しく,品質が低いとされております.
また,大木になるため,管理が難しく,豆の収集も困難になる場合が多いということです.
飲んでみたい種ではありますが,広がらなかった理由もきちんとあるのですね.

ということで,最後まで読んでいただきありがとうございました.