- 耕さない栽培は長期的に見るとかなりお得!
- 排水性や根の張りがよくなるような構造へと変化していく!
- 生態系も多様になり,持続可能な栽培スタイルとなる.
ハイサーイ!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
本日のテーマは「土を耕さない不耕起栽培だとあるものが増える!」ということについてお話ししていきたいと思います.
結論から先に申し上げますと,バイオポアという細かい穴です.
肉眼で観測される土壌の隙間は,よく降雨後の土壌の乾燥・もしくは収縮などによる亀裂が確認されますが,実はそれだけではないのです.
例えば,ミミズなどの土壌中の生き物や,植物の根っこが枯れて分解された後にできる小さい穴も多いのです.
このような生物由来の穴は,バイオポアと呼ばれているのですが,不耕起栽培だと,このバイオポアが非常に多くなるのですね.
この穴の特徴としては,ラジオの図にある通り,細長い管のような特徴を持っております.
なぜこのようなバイオポアが不耕起栽培に多いのか,そしてバイオポアが豊かな土壌では何が嬉しいのか,その理由をお話ししたいと思います.
不耕起栽培や自然農,自然栽培などをしている方,もしくは,土を耕さないことに抵抗のある方,の参考になれば嬉しいです.
バイオポアは不耕起でなぜ多いのか.
一番の理由は,当然ながら,耕すことによって,土壌が攪拌されるため,バイオポアが壊れてしまうという理由です.
そのため,不耕起栽培であれば,一度形成されたバイオポアが保たれやすいということになります.
しかしながら,耕している場所でもミミズの量などが多い場合は,このバイオポアは確認できます.
バイオポアの機能
実はこのバイオポア,不耕起栽培をするにあたり,かなり重要なファクターであると言われております.
バイオポアがあるからこそ,不耕起でも上手くいく!と言ってもいいかもしれません.
実際に研究もされているのですね.
中元朋実さんという東京大学の方が多くのバイオポアに関する研究発表をされております.
いくつもの研究報告を参考にさせていただき,このバイオポアの機能を大きく分けて2つご紹介したいと思います.
- 排水性をよくする効果がある.
- 作物の根っこが土壌の深いところまで伸びるようになる.
というものです.
それぞれ,深掘りしていきたいと思います.
排水性を良くする効果がある.
バイオポアの一つ目の効果は,排水性です.
物理的に,水はけの良い土地へと変えてくれる効果があります.
この穴は,縦に深く伸びている場合が多いのですが,例えば,雨が降った際の水は,優先的にバイオポアを流れるようになります.
つまり,深層の方向に流れる排水路として上手く機能してくれるのですね.
これによって,作物が,根腐れを起こしにくい土壌へとなります.
みみずさん達ありがとー!
作物の根っこが土壌の深いところまで伸びるようになる.
もう一つの効果は,作物の根っこが地層深くまで伸びることができるということです.
この放送のイメージ図をトップ画に載せているのですが,赤で示した根っこが,穴をつたって深いところまで伸びていることが分かると思います.
根っこはバイオポアがあると,土の中の抵抗を大きく受けることなく,根っこを伸長させることができるのですね.
もちろん,深いところまで根っこがいくと,地下水を吸い上げられるようになって,乾燥に強くなったり,必要な栄養素を自力で取りにいけるようになります.
雑草は抜いてはいけない!?
以前,ラジオでもお話しさせていただいたのですが,雑草は抜いてはいけないという理由はバイオポアを作るという理由があります.
この記事のポイント 草は抜くよりも刈った方が良い. 草を抜くと,土壌のバイオマスの量が減って土が痩せていく. …
#70(youtube)のラジオの方でお話ししているので,時間があればどうぞ!
雑草などの根っこが伸びて,その根っこが枯れて分解して初めてバイオポアになるのです.
雑草を抜いてしまうと,降雨や土の圧力,もしくは人間が踏み固めてしまい,土がぎゅっと固くなってしまいます.
そのため,雑草は刈る,ということが長期的に考えるとお得なんですよね.
また,ミミズが多い場所ほどバイオポアの量が多くなるのは,説明をしなくても分かると思います.
尊い生き物ですね.いつか,ミミズ単体を取り上げて,生態系も議論してみたいです.
しかしながら,研究結果による,バイオポアとしてより高性能に機能する穴は植物の根っこが枯れた後のようです.
その理由は,ミミズは穴を作る際に,周りを圧縮して掘り進めるために,穴の構造としては,壊れやすいと言います.
もちろん,ないよりはマシです.
こういった理由から,雑草の根っこは抜いてはいけないのですね.
時間がないので,この辺で切り上げたいと思うのですが,栽培方法には,意図的に雑草を輪作して,バイオポアを作るという方法もされています.
ここら辺のお話は,需要があれば,また今度まとめてお話ししたいと思います.
最後に!
バイオポアは物理性を改善するだけではなく,根っこが張る分,微生物などの住処になるということも言われております.
こちらも,#70(youtube)のラジオでお話ししているのですが,多くの菌などは,植物が光合成で作ったアミノ酸や有機酸をもらって生きているのですね.
その結果,生物多様性が拡大して,多くの生き物が住んでいるのです.
この記事のポイント 草は抜くよりも刈った方が良い. 草を抜くと,土壌のバイオマスの量が減って土が痩せていく. …
#70(youtube)のラジオをどうぞ!
色々とお話しさせていただいたのですが,まとめると,不耕起栽培だとバイオポアが増える.その結果,土の物理性が上がり,長期的には生物多様性を助長していくというお話しでした.土を耕さないことに抵抗がある方,の参考になれば幸いです.