- 有機肥料を入れるときのアンモニアガスについて!
- 未熟な状態の有機物を入れるとガスが発生する可能性がある.
- 野菜の生育を上手くやりたい場合は,しっかりと堆肥化させる必要がある.
ハイサーイ!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
本日は「有機肥料とアンモニアガス」についてお話ししたいと思います.
よく,アンモニアガスが野菜の生育に悪さをする!などと言ったようなことを耳にすると思いますが,本日はこのアンモニアガスを取り上げたいと思います.
畑に有機肥料を入れている方,家庭菜園をされている方,自身でぼかし肥料や堆肥を作られている方の参考になれば幸いです.
アンモニアガスとは,
有機物が分解される過程でアンモニアが生じて,それがガス化したものが,アンモニアガスですね.
人間も食事をして,腸内細菌の消化・分解の際に,アンモニアが出ますね.よく高タンパク高脂肪の食材を取りすぎたら,よく出るということを聞いたことがあると思います.分解の際に結構出るんですね.
アンモニアガスが発生するから,未熟な有機物を,野菜が育っている畑にそのまま入れてはいけない!と聞いたことがあるかもしれません.
もちろん,野菜も,そのままの有機物では,肥料分の吸収ができませんから,大体は,有機物を一度堆肥化させたり,ぼかし肥料などを作られたりしますね.
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堆肥化というのは,炭素を含む有機物の,糖類やタンパク質,アミノ酸類や,硬い繊維質などをを一度,微生物などの力によって細かく分解し,その後に,ようやく野菜や果樹が肥料分として吸収可能な形になるのですね.
この過程を経ずに,ダイレクトに未熟な状態の有機物を畑に入れてしますと,土壌の中で分解が進んで,分解の際に生成したアンモニアが土壌中に溜まるのですね.
このアンモニアが,例え土壌中のpHが高かったり(ph7.5以上),気温が高かったりすると,ガス化してしまいます.
これが,アンモニアガスと呼ばれるものですが,これが野菜の生育不良を引き起こすことがあります.
例えば,この揮発したアンモニアガスが作物の気孔(植物の葉っぱの裏などに多くあり,代謝や呼吸などをしている穴)から植物体内に侵入すると,アンモニアガスが細胞の酸素を奪うので,萎んでしまう可能性があります.
作物別に,アンモニアガス障害があるのですが,大体は,葉っぱが茶色くなったり,黒ずんだり,黄化して,葉っぱが散ったりします.
未熟な状態の有機物だけではなく,有機質肥料の入れすぎとか,アンモニア態窒素を入れすぎとか,そういったことでも起こります.
なので,土づくりと,野菜の定植には1ヶ月とか2ヵ月,間を開けているという方もおられます.
他にもpHが高いとアンモニアがガス化するので,石灰材料を入れたり,アルカリ性に傾くような材料を過剰投入した場合にも,こういったアンモニアガスによる生育障害が起きやすいと言います.
ガスの対策について!
アンモニアガスによる野菜の生育障害の対策についてもご紹介しておきます.
- phを弱酸性程度にしておく.
- 多量の肥料を入れない.肥料は入れれば入れるだけ良いというものではなく,むしろ,ちょっと足りないかな,くらいが良いと思います.
- ビニールハウスでの栽培だと,温度が急激に上昇する場合があるので,換気をする.
気をつけること
有機物は分解してアンモニアに変わりますが,土の中では急速に硝酸というものに変化します.硝化菌(硝酸菌)の働きですね.
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しかし,かなり施肥量が過剰な場合,アンモニアが硝酸へとスムーズに変換されず,亜硝酸ガスというものが発生します.これも,肥料投入量が多いこと,ハウス内温度が高いときに起こることが多いですが,野菜の生育不良が発生する場合があります.
葉っぱが漂白されたように白くなって枯れるとか,イチゴだと黒ずむなど,色々と障害が発生します.
未熟な肥料を入れないこと,多量な肥料を入れることは控えてくださいね!
ぼかし肥料に活用
やっぱり有機栽培とか,家庭菜園とかでしたら,肥料を手作りするという方が多いと思いますが,良質な肥料(ぼかし肥料)を作る際のポイントだけご紹介します.
参考にした論文があります.
福岡県農業総合試験場が出されたもので「ぼかし肥料の原料の違いが窒素無機化及びアンモニアガス発生に及ぼす影響」という学術報告書があるんですけれども,こちらが参考になります.
やはり,手作り肥料を畑で使う際に,ガス障害を防止する工夫はいくつかあります.
今回の論文,結構面白かったのですが,結論からお話しすると,「米ぬか」と「畑の土」です.
有機物は畑に直接入れると,よくないので,一旦ぼかし肥料を作る過程を経ないといけないです.
おこの論文では,菜種油カスと魚粕でぼかし肥料を作るのですが,これに,米ぬかを入れたもの,もしくは土を入れたもので,肥料作りをしております.
その結果,米ぬか及び土を入れて,肥料作りをした方が,窒素無機化が緩慢なので,同時に,アンモニアガスの発生も少なかったという報告を出しております.
はい,ということで,今回はアンモニアガスのお話をさせていただきました.
有機の肥料を作っている方,使っている方,参考になれば幸いです.
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