- 強樹勢︎,深根性を理解した管理を行う!
- 花芽分化や果実肥大に重要な温度,日照などを理解する!
- マンゴーの歴史を把握する!
みんな大好きマンゴーのお話!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
ここ最近はずっとアボカドのことばかり取り上げていましたが,今回からはマンゴーの知識をインプットするために,マンゴー栽培に関する大事なことを色々と取り上げていきます.
基本的にこちらの記事では,学術論文とおいらの沖縄県でのマンゴー栽培の経験をもとに知見を公開しています.全てのマンゴー農家さんや,これからマンゴーの栽培を始めてみたい!と思っている方に参考になれば幸いです!
本日取り上げるテーマは「沖縄県でのマンゴー栽培」について,歴史から基本的な内容を網羅していきたいと思います.よろしくお願いします!
マンゴーという果樹の特性
まずはこれ,マンゴーという熱帯果樹の特性を知らないことには何も始まらないと思うので,色々と学術論文を漁りに漁り,知識をつけました.
こちらに一旦まとめておきます.
- 過繁茂,強樹勢の遺伝的特性!
- 大きな樹体を維持するため,深根性!
- 隔年結果性が強い!
- 生育適温は24~29℃(限界は37℃).
- 弱酸性が望ましい.
- アルカリ性土壌でも栽培が可能だが適している訳ではない.
- 島尻マージでは黄化症が発生しやすい.
- 県内(国内)で栽培されているのはほぼ「アーウィン種」.
- 9月〜10月は晩生のキーツやキンコウなどが出回る.
弱酸性の土壌が好まれる
島尻マージはアルカリ性の土壌で,保水性がなく乾燥しやすい土壌です.
沖縄県は北部付近を中心に,酸性土壌の赤土が多いので,パイナップルの栽培が主流です.
本当南の方では,ジャーガルなどといった粘土質の,割とアルカリチックな土壌が多いのですが,マンゴーの栽培が可能です.
隔年結果を促す要因
安富さんが書かれた学術レポート「沖縄県におけるマンゴー栽培」によると,マンゴーは樹勢がかなり強く,根っこを深いところまで伸ばす性質があるといいます.
深根性だね!
そのせいで,深い土壌から周年を通して窒素や水分の供給が行われ,生殖生長(花や果実をつけず木だけ大きくなる)が起こります.これは結果的に隔年結果を促すことにも繋がります.
そうすると,必然的に強剪定が行われ,結果として更に栄養生長が強くなるといった悪循環が生まれるようです.そのため,地表に浅いところに根群を発達させることが望まれます.
地上部の剪定も大事ですが,地下部の根域管理も大事なのですね.
防根シートや鉢植え栽培が効果的だと言われる所以です.
マンゴー作りの日程
マンゴーの花芽分化から収穫までの道のりは以下です.
今回は,アーウィンを参考に書きます.
- 11月〜1月に花芽分化(前期,収穫後発生した秋の新梢の先端).
- 12月下旬〜2月に出蕾.
- 2月から徐々に開花が味まり,受粉作業.
- 5月から幼果の管理,肥大化.
- 7月中旬から成熟〜収穫.
- 8月下旬から秋枝の発芽,伸長.
上記がざっくりとした栽培の過程です.
乾燥ストレスで花芽を形成
花芽分化期には,やや乾燥した環境の方が良いです.
もともとマンゴーなどの熱帯果樹は,熱帯地域特有の果物なので,花が咲くには乾燥ストレスが必要になります.熱帯地域には四季がなく,雨季と乾季の2つの季節しかなく,だいたい花芽の形成には,雨季から乾季に移行する場合が多いです.
また,この時期は20℃以下の低温が望ましいです.
花の開花と幼果の肥大化
花の開花期〜果実の肥大化の時期には,25℃程度が望ましいです.
この時には,葯の裂開(れっかい),花粉の発芽,花粉管の伸長などが十分行われるように温度管理は必須です.ハウスによる保温だけではなく,ハウス内は日中50℃程度まで温度上昇をすることがあるので,換気などによって,35℃以下にすることも望まれます.
35℃以上だと,花柱内部が損傷するようだよ!
さらに,多湿環境が続くと病気が発生するので,注意する必要があります.
開花期の低温と降雨は受精に影響を受け,不結実となる場合があるので,注意が必要です.
また,虫媒花なので,受粉用のハエやハチなども圃場に入れる必要があります.
うちらの圃場の3月の様子だよ!
枝の誘引と玉吊り
マンゴーは陽光性の果樹なので,密植は返って生産性を下げます.
3m離した農園でも6年目あたりから混み合うことが多いので,5~6mとちょっと大きく離して置いた方が良いです.
樹を低く,さらに水平誘引をするので間隔は大きい方が良いのだね!
結果母枝は太陽光が当たるように一本一本誘引して,さらに開花期間から果実肥大化にかけての玉吊りが必要になってきます.太陽光線がきちんと当たらないと綺麗な鮮紅色になりません.
収穫後は早めの剪定をする!
マンゴーの剪定時期は,果実の収穫後,すぐに開始します.
こちらは,早ければ早いほど,次回の着果率に大きく影響します.
「沖縄県におけるマンゴー栽培」の論文によると,剪定時期と着果率の関係が数値化されおり,以下の結果になっていました.
- 8/1剪定・・・着果率44%.
- 8/20剪定・・・25%.
- 9/10剪定・・・20%.
また,その後発生した新梢の誘引も次回の着果数に大きな影響を及ぼすことが分かっています.
同論文では,45度の誘引よりも水平誘引が効果的であることが示唆されています.
収穫が終わっても休む時間がないね!!笑
沖縄県のマンゴーの歴史と現状
こちらは,「沖縄県におけるマンゴー栽培の現状と課題」という論文を参考にさせていただきました.
- マンゴーの沖縄県への導入は明治中期以前(1900年あたり).
- 当時は,開花時期の雨︎,炭疽病,低温で果実生成が困難.
- 1976年に雨よけ栽培によりマンゴー生産に活路が見出される.
- マンゴー施設栽培面積 1977年は0.1ha,現在は200~250ha.
沖縄県でマンゴー生産に拍車をかけた翁長さん
米本先生の「マンゴー 完熟果栽培の実際」によると,沖縄県のマンゴー生産に貢献したのは翁長進さんという方です.マンゴー畑を作ったのは,1977年からで当時は周りの人の白い目で見られていたそうです.
開花時期に雨がぶつかるなどの理由で結実が難しいマンゴーをビニル被覆によって結実に成功します.
その後,近畿大学や京都大学へ,学術研究支援をされるなど,多方面での貢献されたようです.
ということで,今回はここまで!
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けんゆーさんやいろんな方から学びながら沖縄のフルーツ栽培を効率化を目指し、スマート農業を目指したいと思っています。先日は産業まつりでけんゆーさんに玉文とアウィンマンゴーを選んでもらいました。ありがとうございました。