- 学術的な雑草の定義を考える!
- 雑草が増えたタイミングは人間が栽培を始めたとき
- 雑草の特性を12のリストで公開!
ハイサーイ!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
本日は「雑草とは何なのか?雑草はなぜ増えたのか?」と考えてみたいと思います.
世の中には,雑草生物学という学問の分野がありまして,「雑草」ということを深く考える学者さんがございます.
彼らは,雑草とはなんなのか?雑草の定義はどうしたら良いのか?彼らはいろんな立場からどのような社会的位置付けにいるのか?そして,なぜ増えるのか?そういったことを研究されている方達がいるのですね.
本日は,少し堅苦しい話になると思いますが,一緒に,雑草とはなんなのか?なぜ増えてしまうのか?を考えていきたいと思います.
雑草とは何なのか?
では,早速本題ですが,雑草とは何なのか?これを一言で説明できる人は,おそらく地球上にいないのかなと思われます.それくらい,解釈に幅があるということですね.
雑草学を研究しているロンドンの学者さんでHolznerさん,Numataさんという方が居られるのですが,彼らは,「雑草とは,人為環境下に良く生育し,かつ人類活動に干渉する高等植物」と定義しております.
つまり,雑草というのは,良くも悪くも人間に暮らしと密接な関係であるということですね.
ある人にとっては,雑草は害であるという認識を持つ方,雑草によって生活時間を削られている方も多いという反面,一方で雑草は食べ物や薬草,景観要素として必要だという方もおります.現在では都心部でデスクワークなどをする方にとっては,雑草のことを一日1秒たりとも考えない人もいるでしょうね.
そういった側面から,雑草の定義というのは,非常に難しいものなのです.
1991年に書かれた雑草生物学概説という研究総説によると,雑草の定義こそ難しいけれども,基本的特性としてこのようなものがあるよね,ということで,色々と雑草の特性が紹介されておりました.
1966年に,Kingさんというロンドンの方が雑草の基本的特性を論じる論文を書いていて,そこで雑草の特性を10の項目にまとめられました.
- 望まれない場所に生育する.
- 競争的で攻撃的な習性をもつ.
- 野生的で強大に育つ.
- 除草に対する耐性と残存機能(ざんぞん)を持つ.
- しばしば大きい集団を形成する.
- 役に立たず,嫌われる.
- 人や家畜,作物に害をなす.
- 播種や栽培の手助け無しに自然に生育する.
- 高い繁殖効率をもつ.
- 景観としてみた時に異常である.
以上10の生態的表現がなされました.
いかがでしょうか,なるほどな,と思う反面,本当にそうなのかな?と思わされる部分もあります.
全体的に,いかにも雑草が目の敵にされてますよね.
僕はこの10の項目の羅列をみた時に,すごく人間性が深く滲み出てるな,という感じがしました.
雑草に対して,感情的な,強い敵対視をしてるなと読み取れました.
約55年前の人たちは,生活の中で雑草と向き合う時間が長く,ひどく困憊しているような情景も見えます.
しかし,同じ年くらいの年に,Bakerさんという方も雑草というものに対する特性を論じています.
Bakerさんという方は,人間から見る雑草というよりも,雑草というのは,生態的にこのような特性があるよね,ということを書いております.こちらは12のリストにまとめているのですが,こっちは人間的ではなく,生物的な見方がされてます.
- 多様な環境条件に適した発芽要求性を持つ.
- 内的に支配された不連続な発芽と種子の長い寿命がある.
- 開花までの栄養成長が長い.
- 生育が許容される間に継続して種子生産を行う.
- 自家和合性である.(但し,完全自家受粉や無性生殖ではない.)
- 他家受粉の場合,特殊な総粉昆虫や風などを必要としない.
- 良好な環境下で高い種子生産をする.
- 不都合な環境条件下でもわずかな種子を付ける.(環境耐性と可塑性をもつ.)
- 長距離および短距離の散布に適する.
- 多年草の場合,旺盛な栄養繁殖や断片からの再生産をする.
- 多年草の場合,壊れやすいが引き抜きにくい.
- アレロパシーなどの特殊な方法で種間競争を行う.
どうでしょうか.
いかがでしょうか,雑草の生物としての生態とか,機能面が羅列されてますが,種として最強ですよね.雑草が増えない理由が見つからないというか,どのような環境でも大体は適応できるという,そういった特性を持っています.
なぜこのようなスーパー植物が生まれたのか?
そして,本論文でもちょろっと記載がされているのですが,雑草というものが観測され出したのは,なんと,人類が食料を栽培したあたりから,生まれてきたのだと言います.
つまり,人間が食べるものを選別してきた結果,野菜ができ,雑草ができたと言います.
現在の野菜というものは,人間の介入無しではうまく育たなくなり,多くの野菜も人間の介入を必要とします.生育に関することも種の保存もそうですね.
人間が絶滅すると,絶滅する可能性が高いと言われております.
一方で雑草は,長年,人間が排除しよう手を尽くしてきて,雑草自身は自然という環境しか頼ることができなかった,なので,自然環境下で最も成長がうまくいくように,何千年前から進歩してきた︎,という歴史があるのです.
冒頭の雑草とはなぜ増えるのか?という問いへの回答ですが,おそらく「人間が排除してきたものだから」が答えなのかもしれないですね.
最後に,雑草生物学は,まだまだ未発達な分野です.
定義さえ難しい雑草を,どうにか理解しようと,こういった分野が作られ,その雑草の生物学的特徴は何なのか?起源はどこか?どういった進化をしたのか?こういったことを理解しようとしております.
まだまだ分からないことも沢山あります,皆さんも一緒に考えていけたら良いのかな,と思います.
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